【日産】セドリック(2代目130型)
クラウンとともに日本の高級車市場を牽引したセドリック。1965年に登場した2代目130型では、ヨーロピアンなスタイルに生まれ変わりました。
ピニンファリーナによるその流麗なスタイリングは、国産車とは思えない上品な印象を与えました。
【日産・セドリック(2代目130型)の歴史】
1955年に登場したトヨペット・クラウン(初代RS/S20/S30型)は、初の本格的国産乗用車であり、初の国産高級車でした。これに対抗するモデルとして後に続いたのが、1957年発売のプリンス・グロリア(初代LSI/S3型)と、1960年発売の日産・セドリック(初代30/50型)でした。
日産は1950年代にオースチンA40サマーセットやオースチンA50ケンブリッジをノックダウン生産しており、そのノウハウを生かして開発された独自モデルがセドリックでした。
縦型4灯式ヘッドライトや、テールフィン、大きくラウンドしたフロントウィンドウなど、アメリカ車の影響を大きく受けたデザインが特徴的。たちまち人気となったセドリックは、高級車市場をクラウンと二分化する存在となっていました。
ライバルのクラウンは1962年にフルモデルチェンジを迎え、当時のアメリカ車でも流行していたフラットデッキスタイルに移行。
セドリックもこれにマイナーチェンジで対抗し、横型4灯式ヘッドライトを採用するなど、時代の変化に追従していましたが、1965年にフルモデルチェンジを決行しました。
ホイールベースはクラウンと同様の2690mmに設定。サスペンションはフロントにダブルウィッシュボーン式、リアにリーフスプリングを採用しました。
ブレーキは、高級車と言えどまだ4輪ドラム式でした。
搭載されたエンジンは全て2Lエンジンで、92psの「H20型(直列4気筒OHV・1982cc)」、100psの「J20型(直列6気筒OHV・1973cc)」、105psの「L20型(直列6気筒SOHC・1998cc)」、ツインキャブ仕様で115psの「L20型(直列6気筒SOHC・1998cc)」。タクシー向けには、4気筒LPG車と4気筒ディーゼル車も準備されました。
トランスミッションは、3速MTと4速MTに加えて、ボルグワーナー社製の3速ATをラインナップしました。
ボディバリエーションは、4ドアセダンの他に5ドアワゴン/バンが用意されました。セダンのボディサイズは全長4680mm×全幅1690mm×全高1445mm。
デザインは、イタリアのピニンファリーナの手によるもので、先代のアメリカンスタイルから一転、ヨーロピアンスタイルへと変貌を遂げました。フラットデッキのアメリカンスタイルを参考にしていたクラウンと比べると、ボディラインの流麗さや、デザインの上品さを感じるものでした。
インテリアも欧州車を意識した作りで、横長のスピードメーターの脇には、逆ハの字に補助メーター類が配置され、それを大型のクラスターが覆うもの。
シートは、ベンチシートを標準とし、オプションでセパレートシートが選択可能でした。
ワゴン/バンのリアゲートは、先代同様の開閉機構を持ち、電動開閉式のリアウインドウを下ろした後に、下ヒンジのゲートを開ける方式でした。
1965年10月当初のグレード展開は、H20型を搭載する「スタンダード」「デラックス」、J20型を搭載する「スタンダード6」「カスタム6」、L20型専用グレードの「スペシャル6」。排気量とボディサイズからも分かるように、全車が5ナンバー車でした。
1966年10月にマイナーチェンジを実施。横長で巨大なテールライトに変更となったほか、スペシャル6以外のフロントグリルが変更されました。
また、スペシャル6とカスタム6にはシングルキャブ仕様のL20型を搭載し、新たにJ20型を搭載した「デラックス6」と「パーソナル6」を追加しました。これに伴い、デラックスとスタンダード6は廃止。
1967年10月にもマイナーチェンジが実施され、再度テールライトのデザインを変更。テールライト自体は小型化し、ウインカーレンズがオレンジ色となりました。
1968年9月にビッグマイナーチェンジが行われました。前後のデザインは大きく変わり、より直線を基調としたものになりました。
インパネも大きく変更され、大型クラスターのメーターパネルは廃止。ボルグワーナー社製だった3速ATは、日産製に変更となりました。
また、ワゴン/バンのリアゲートは、一般的な跳ね上げタイプとなりました。
1969年10月のマイナーチェンジでは、J20型搭載車はL20型に置き換えられ、シングルキャブ車が115ps、ツインキャブ車は130psに出力アップとなりました。
グレード構成が見直され、H20型搭載の「スタンダード」、L20型搭載の「パーソナル」「パーソナルデラックス」「カスタム」「スペシャル」「スペシャルGL」、ツインキャブ仕様の「スペシャル」「スペシャルGL」。
新設定されたスペシャルGLには、パワーウインドウやパワーステアリング、フロントディスクブレーキなどを標準装備しました。
モデル末期の1970年には、フロア3速AT仕様車を追加したほか、レザートップ仕様の「パーソナルデラックスV」を発売しました。
1971年2月にフルモデルチェンジとなり、3代目230型に移行。
プリンス自動車との合併により社内競合していたグロリアと姉妹車関係となり、日本初の4ドアハードトップもラインナップするなどで、クラウンに対抗しました。
ピニンファリーナによる魅力的なデザインで対抗したセドリックでしたが、販売台数ではより高級に見えるデザインを採用していたクラウンに軍配が上がりました。
当時の高級車ユーザーは、まだ公用車や社用車向けがほとんどだったこともあり、より保守的なクラウンが好まれた結果でした。
【諸元】
日産・セドリック(2代目130型)
全長×全幅×全高 | 4680mm×1690mm×1455mm |
4690mm×1690mm×1470mm(ワゴン/バン) | |
ホイールベース | 2690mm |
乗車定員 | 6/8名 |
エンジン | H20型 直列4気筒OHV 1982cc(92ps/4800rpm) |
J20型 直列6気筒OHV 1973cc(100ps/5200rpm)(~1969.10) | |
L20型 直列6気筒SOHC 1998cc(105ps/5200rpm)(1966.10~1969.10) | |
L20型 直列6気筒SOHC 1998cc(115ps/5600rpm)(1969.10~) | |
L20型 直列6気筒SOHC 1998cc(115ps/5200rpm)(~1969.10) | |
L20型 直列6気筒SOHC 1998cc(130ps/6000rpm)(1969.10~) | |
駆動方式 | FR |
トランスミッション | 3AT/3MT/4MT |
タイヤサイズ | 7.00-13 4P |