【トヨタ】スポーツ800(P10型)
トヨタ・スポーツ800は、小型軽量なボディにタルガトップを備えた、トヨタ初のライトウエイトスポーツ。
「ヨタハチ」の愛称で親しまれました。
【トヨタ・スポーツ800(P10型)の歴史】
1962年の第9回全日本自動車ショーに、トヨタは小型スポーツカーの試作車を出展しました。その名も「パブリカスポーツ」。
パブリカのコンポーネンツを流用し、丸みを帯びたスポーティなボディを乗せ、最大の特徴はキャビンが戦闘機のように後方にスライドする、スライディングキャノピーを備えていました。
当初は市販化の予定はなかったというパブリカスポーツでしたが、自動車ショーの回転ステージに展示された魅力溢れるクルマに問い合わせが相次ぎ、販売部門からの要望で市販化が決定しました。
シャシーはパブリカから流用されており、フロントがダブルウィッシュボーン式、リアがリーフリジッド式のサスペンションや、前後ドラム式のブレーキのそのまま。
ただし、パブリカではコラム式だったシフトレバーはフロア化されました。
エンジンは700ccのパブリカ用では非力だったため、排気量を100cc拡大し、「2U型(空冷水平対向2気筒OHV。790cc)」が搭載されました。ツインキャブレターそ装備しましたが、それでも45psの最高出力しかなく、スポーツカーとしてはまだまだ非力なものでした。
トランスミッションは4速MT。
ボディサイズは全長3580mm×全幅1465mm×全高1175mmで、現代の軽自動車程度のものでした。空気抵抗の低減のため、ボディは全体的に丸みを帯びたもので、愛嬌のある可愛らしいデザインが特徴。
市販化に伴い、ショーモデルで特徴的だったスライディングキャノピーは一般的な開閉式ドアに変更され、後年にタルガトップと呼ばれることになる、リアピラーが残るオープンボディを採用しました。
1965年4月に市販され、販売価格は59.2万円。先行していたホンダ・S600が50.9万円、翌年発売されるホンダ・S800が65.3万円だったことから、この価格はおおよそ打倒でもあり、スポーツカーとしては十分安価なものでした。
盛んになりつつあった当時、レースでも活躍しました。4気筒DOHCエンジンを搭載していたライバルのS600に対し、2気筒OHVエンジンで対抗するのは不可能にも思えました。
しかし、空気抵抗の低さや徹底した軽量化のおかげで、燃料消費やタイヤ摩耗が少なく、ピットインの回数を少なくすることで、ライバルを凌駕してみせたのです。
一方の販売成績は振るわず、1969年10月までの4年半で販売されたのは、わずか3131台。マイカー時代がようやく到来するかどうかという時期に、安価であれど、2シーターのスポーツカーが売れることはなかったのでした。
このスポーツ800と、ライバルのホンダSシリーズは、日本のライトウェイトスポーツの走りとも言えるモデル。
時代が少し早すぎたせいで、十分な販売成績こそ収められませんでしたが、未だにファンの多いクルマの1つとなっています。
【諸元】
トヨタ・スポーツ800(P10型)
全長×全幅×全高 | 3580mm×1465mm×1175mm |
ホイールベース | 2000mm |
乗車定員 | 2名 |
エンジン | 2U型 空冷水平対向2気筒OHV 790cc(45ps/5400rpm) |
駆動方式 | FR |
トランスミッション | 4MT |
タイヤサイズ | 6.00-12 4P |