【日産】レパード(初代F30型)

1980年代を迎え、日産の新たな高級パーソナルカーとして開発されたレパード。半年後に登場したトヨタソアラと共に、時代を彩りました。

近未来的なスタイリングや最新技術を武器に売り出されたものの、人気を集めたのは圧倒的にソアラで、レパードは後塵を拝しました。

 
 
 
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【日産・レパード(初代F30型)の歴史】

 

 

オイルショックや排出ガス規制への対応に苦難した1970年代の自動車メーカー。高性能なニューモデルの開発は足踏み状態となっていた中で、2大メーカーであるトヨタと日産は、既存車種に6気筒エンジンを搭載する手法で、高級パーソナルカーを作り出していました。

トヨタは、1972年に登場したマークⅡ(2代目X10/20型)に、クラウンから移植した6気筒2.0Lエンジン搭載車をラインナップ。1976年にフルモデルチェンジした3代目X30型では、2.6Lエンジンを搭載した3ナンバー車も登場しました。

日産も、1972年登場のローレル(2代目C130型)に6気筒2.0L車を用意しました。翌1973年のマイナーチェンジからは2.6Lエンジン搭載車を追加し、1975年にはこれを2.8Lに変更。ブルーバード(4代目610型)にも、6気筒エンジンを搭載した2000GTシリーズを1973年に追加し、1976年にモデルチェンジした5代目810型にも、G6シリーズとして6気筒車がラインナップされました。

1980年代を前に、もっと高品質なモデルを求めるユーザーの声が高まる中、メーカーとしては、既存車種のバリエーションを拡大するだけでは限界に達しており、高性能で高品質なニューモデルを創出することで、販売戦略を繰り広げようとし、そこで登場したのが、日産・レパードとトヨタソアラ(初代Z10型)でした。

レパードのベースになったのは、ブルーバード(6代目910型)の北米向けロングホイールベースモデルで、6気筒エンジンを搭載していたマキシマ(G910型)。
サスペンションもブルーバードやマキシマと同様で、前輪にマクファーソン式、後輪にセミトレーリングアーム式を採用した4輪独立懸架。

エンジンも既存のものを搭載しており、145psの「L28E型(直列6気筒SOHC・2753cc)」、130psの「L20E(直列6気筒SOHC・1998cc)」、105psの「Z18型(直列4気筒SOHC・1770cc)」の3機種。
170psを発揮する新開発のDOHCエンジンを搭載してデビューしたソアラと比べても、高性能なニューモデルを目指した割には旧態依然のエンジンラインアップでした。
トランスミッションは3速ATと5速MTを用意。

 
 
 
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ボディタイプは、4ドアハードトップと2ドアハードトップの2種類が用意されました。全長4630mm×全幅1690mm×全高1335/1345/1355mmのサイズで、ローレルとほぼ同等。直線を巧みに組み合わせたスタイリングや、スラントノーズなどにより、Cd値は0.37を実現しました。デザイン上は、リアウインドウがサイドまで大きく回り込んだベンドグラスを、4ドアと2ドアどちらにも採用したことが最大の特徴でした。

インテリアは総ソフトトリムで仕上げられ、ASCD(クルーズコントロール)、エレクトロニックボイスインフォメーション、エレクトロニックデジタルメーターなどの先進技術や、「光通信ステアリング」と称したオーディオステアリングスイッチ、最大6スピーカーのオーディオシステム、フルオートエアコン、電動サンルーフなどの快適装備も設定され、高級感を演出していました。

ブルーバードG6の後継であることから日産店から1980年10月に発売され、同時にチェリー店向けのレパードTR-X(トライエックス)もデビューしました。外観上の違いはヘッドライトで、レパードが異型角形2灯式、TR-Xは規格型の角型4灯式を装着。
レパードの発売に先立ち、ブルーバードは6代目910型から6気筒車をラインナップから外していただけでなく、セドリック/グロリアは1979年登場の430型から、ローレルは1980年登場の4代目C31型から、2ドアハードトップが廃止されており、事実上レパードに後を継ぎました。

半年後の1981年2月に登場した最大のライバルであるソアラは、より高性能なエンジンだけでなく、直線基調ながら流麗で優れたスタイリング、高級感溢れるインテリアや最新機能を武器に、レパードを大きく凌ぐ人気を獲得。
レパードはこれを挽回しようと、1981年7月にターボ車を追加しました。「L20ET型(直列6気筒SOHCターボ・1998cc)」を搭載し、145psを発揮。

1982年9月にマイナーチェンジを受け、フロントグリルやリアコンビネーションランプのデザインが変更され、AT車はオーバードライブ付きの4速ATに変更されました。
また、グレード整理によって、2.8L車は廃止されました。

1984年6月、3ナンバー車を復活すべく、「VG30ET型(V型6気筒SOHCターボ・2960cc)」搭載車を追加。フェアレディZ(3代目Z31型)に搭載されたハイパワーエンジンで、230psを発揮しました。

1986年2月にフルモデルチェンジを迎え、2代目F31型にバトンタッチ。ブルーバードの北米向けロングホイールベース版である、V6エンジンを搭載したマキシマが、国内にも導入されたことで、2代目レパードはブルーバードから脱却を果たし、スカイライン(7代目R31型)をベースにした高級2ドアスペシャリティカーに生まれ変わりました。

より魅力に溢れたソアラに対し、高性能エンジン車の追加などで対抗したレパード。しかし、レパードに2.0Lターボ車を追加した同月にはソアラも2.0Lターボ車を追加しただけでなく、レパードが3.0L車をラインナップした翌年には、ソアラも2.8Lエンジンを3.0Lに変更。最大出力は190psに留まり、230psのレパードには及びませんでしたが、既にブランドイメージはソアラが大きく勝っており、レパードに勝ち目はありませんでした。
共に1986年に2代目にフルモデルチェンジを行い、その戦いは第2章へと流れていったのです。

 

 

 

 

【諸元】

 

 

 

日産・レパード(初代F30型)

全長×全幅×全高 4630mm×1690mm×1335/1345/1355mm
ホイールベース 2625mm
乗車定員 5名
エンジン Z18型 直列4気筒SOHC 1770cc(105ps/6000rpm)
L20E型 直列6気筒SOHC 1998cc(130ps/6000rpm)
L20ET型 直列6気筒SOHCターボ 1998cc(145ps/5600rpm)(1981.7~)
L28E型 直列6気筒SOHC 2753cc(145ps/5200rpm)(~1982.9)
VG30ET型 V型6気筒SOHCターボ 2960cc(230ps/5200rpm)(1984.6~)
駆動方式 FR
トランスミッション 3AT/4AT/5MT
タイヤサイズ 175SR14
185/70SR14
195/70SR14
195/70HR14
205/60R15