【トヨタ】ウィッシュ(初代AE10型)
様々なミニバンが登場する中、セダンのような乗り味で運転ができ、5ナンバーサイズのスポーティなミニバンとして、2003年に登場したのがウィッシュ。
同コンセプトでヒットしていたホンダ・ストリームの販売シェアを、大きく奪いました。
【トヨタ・ウィッシュ(初代AE10型)の歴史】
多人数での移動や大きな荷物の積載など、多目的な用途で重宝されるミニバン。1994年に発売されたホンダ・オデッセイ(初代RA1-5型)の大ヒット以降、様々なコンセプトやパッケージングのミニバンが登場しました。
全高の低いロールーフミニバンだけを見ても、5ナンバー枠に収めたファミリーミニバンのトヨタ・イプサム(初代XM10型)、同じく5ナンバーミニバンながらスライドドアを装備した日産・プレーリーリバティ(3代目M12型)、オデッセイに対抗して3ナンバー車となった三菱・シャリオグランディス(3代目N80/90型)、全長4300mm級のコンパクトサイズで3列シートを実現したマツダ・プレマシー(初代CP型)など、それぞれに特徴をもったモデルがリリースされていきました。
2001年に登場して大ヒットを記録したのがホンダ・ストリーム(初代RN1-5型)で、全高は1600mm程度に抑え、5ナンバー枠に収めたボディサイズとし、流麗なボディラインでスポーティに仕上げられたストリームは、セダンやステーションワゴンからも違和感なく乗り換えられるクルマでした。
ストリームの登場と同じ2001年にトヨタは、イプサムをフルモデルチェンジ。2代目XM20型では、オデッセイを意識して3ナンバー化して上級移行しており、トヨタの5ナンバーロールーフミニバンは、初代イプサムをベースにしたガイア(XM10型)のみとなっていました。そんな中で、ストリームに対抗すべく開発されたのがウィッシュでした。
駆動方式はFFと4WDを用意。プレミオ/アリオン(初代T240型)のMCプラットフォームをベースに、ホイールベースを50mm延長し、室内空間を最大限確保しました。
サスペンションは、フロントがストラット式、リアはFFがトーションビーム式、4WDにはダブルウィッシュボーン式を採用。
ブレーキには、フロントにVディスク式、リアはドラム式を基本に一部グレードではディスク式を装備しました。
エンジンは、VVT-iの「1ZZ-FE型(直列4気筒DOHC・1794cc)」を搭載し、132psを発揮(4WD車は125ps)。トランスミッションは4速ATで、専用セッティングのSuper ECTを備えました。
ボディサイズは、5ナンバー枠内の全長4550mm×全幅1695mm×全高1590/1600mmで、ストリームと全く同じディメンションに設定されました。後席ドアもヒンジ式の5ドアで、スタイリングもストリームと同じモノフォルムシルエット。
一方のデザインでは、細めのフロントグリルや吊り目のフロントマスク、縦型のリアコンビネーションランプなど、ストリームとは異なる印象のものを採用し、よりスポーティ感を強調しました。
2003年1月の発売時には、標準グレードの「X」とスポーティ仕様の「X Sパッケージ」を基本に、廉価グレードの「X Eパッケージ」がFF車のみに設定されました。
よりスポーティなデザインを採用したウィッシュは、ストリームの人気を見事に奪い、販売台数を大きく伸ばしました。
3ヶ月遅れた4月には、155psの「1AZ-FSE型(直列4気筒DOHC・1998cc)」搭載車を追加。トランスミッションにはCVTが採用されました。
「G」とスポーティな「Z」を設定し、Zにはオーバーフェンダーや17インチアルミホイール、シーケンシャルシフトを装備し、全幅が1745mmとなったため3ナンバー登録となりました。
2004年5月には、新生ネッツ店の誕生を記念した特別仕様車「NEO Edition」を発売。「X」と「G」をベースに、ディスチャージヘッドランプやフォグランプを装備しました。
2005年9月にマイナーチェンジを実施。リアコンビネーションランプのデザイン変更、ヘッドランプのプロジェクター化、ネッツ店専売車向けエンブレムへの変更などが行われたほか、1.8LのFF車にはシーケンシャルシフトを装備し、Zのシーケンシャルシフトは6速から7速に変更されました。
2006年4月には、「X」をベースに、ディスチャージ式ヘッドライト、黒木目調パネル、本革巻き3本スポークステアリング、本革巻きシフトノブなどを装備した、特別仕様車「X Limited」を発売しました。
さらに6月には、「X」をベースに、スマートドアロックリモートコントロール、赤外線カット機能付きウインドシールドガラスなどを装備した「X L Edition」を発売。
2009年4月にフルモデルチェンジとなり2代目AE20型にバトンタッチ。よりシャープなフロントマスクで洗練されたデザインとなりましたが、スライドドアを備えたハイルーフミニバン全盛の時代に突入したことや、SUVの人気などにより、初代ほどの成績は収めることは出来ず、次第に販売台数は低下し、2017年10月をもって歴史に幕を下ろしました。
それまでは腰の高いイメージのあったミニバンでしたが、スポーティでスタイリッシュな、ストリームやウィッシュのようなミニバンが登場したことで、セダンやステーションワゴンから、背の高いミニバンやSUVへの移行がスムーズになりました。これらのロールーフミニバンの流行は一時的なものではありましたが、現代のミニバンやSUVブームを見れば、大きな存在であったことが分かります。
【諸元】
トヨタ・ウィッシュ(初代AE10型)
全長×全幅×全高 | 4550mm×1695mm×1590/1600mm(~2005.9) |
4560mm×1695mm×1590/1600mm(2005.9~) | |
4550mm×1745mm×1600mm(Z・~2005.9) | |
4560mm×1745mm×1600mm(Z・2005.9~) | |
ホイールベース | 2750mm |
乗車定員 | 6名(Z) |
7名 | |
エンジン | 1ZZ-FE型 直列4気筒DOHC 1794cc(125ps/6000rpm)(4WD) |
1ZZ-FE型 直列4気筒DOHC 1794cc(132ps/6000rpm)(FF) | |
1AZ-FSE型 直列4気筒DOHC 1998cc(155ps/6000rpm) | |
駆動方式 | FF/4WD |
トランスミッション | CVT/4AT |
タイヤサイズ | 195/65R15 |
215/50R17(Z) |