【いすゞ】ベレットジェミニ(初代PF50/60型)

ベレットの後継車として発売したベレットジェミニは、資本提携を結んだゼネラルモータースのオペル・カデットをベースにした新型車でした。

いすゞらしい高性能スポーツモデルとして、ジェミニZZも登場しました。

 
 
 
 
 
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いすゞ・ベレットジェミニ(初代PF50/60型)の歴史】

 

 

トヨタや日産とともに、かつては日本の自動車メーカーの御三家とも言われたいすゞ。戦後の乗用車分野では、ヒルマンミンクス(初代PH10型)のノックダウン生産に始まり、その後継車ベレル(PS10/20型)や、初の小型車であるベレット(PR10-60/90/95型)を生産しました。
1963年にデビューしたベレットは一定の成績を収めたものの、1.0Lクラスの大衆車を開発しなかったこともあり、いすゞは衰退の道を辿っていました。

そんな中、米国の自動車メーカーからは、日本のメーカーに対し資本参加の自由化が求められ、まずは1969年に三菱がクライスラー資本提携を締結。そして1971年にはいすゞがゼネラルモータース(GM)と資本提携を結び、経営の安定化を図りました。

いすゞの主力車種だったベレットは、トヨペット・コロナ(3代目T40型)やダットサン・ブルーバード(2代目410型)を直接的なライバルとする小型車としてデビュー。
その後、ライバル各車の大型化と、それに伴ってトヨタ・カローラ(初代E10型)やダットサン・サニー(初代B10型)などの大衆車のデビューにより、1970年代に入る頃には、相対的に大衆車クラスに属するようになっていました。
さらに設計が古いことによる陳腐化によって商品力不足が顕著だったため、早急なモデルチェンジが必要でした。そこで、GMの世界戦略車構想に基づき、オペル・カデットをベースとする新型車を開発しました。

基本的なボディと足回りを共通化したGMの「Tカー構想」に基づき、当時はまだオーソドックスだったFRレイアウト。
サスペンションは、フロントがダブルウィッシュボーン式、リアは3リンク式、ステアリング機構にはラックアンドピニオン式が採用されていました。

搭載されたエンジンは、100psに改良された「G161型(直列4気筒SOHC・1584cc)」。トランスミッションは当初4速MTのみでした。

 
 
 
 
 
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ボディタイプは4ドアセダンと2ドアクーペの2種類がラインナップ。カデットをベースにしたスタイリングは、直線を基調としたヨーロピアンスタイルで、フロントデザインもカデットそのままの逆スラントノーズを採用。
全長4135mm×全幅1570mm×全高1365mmのボディサイズで、当時のカローラ(3代目E30/50型)やサニー(3代目B210型)に対してやや大きいものでした。

1974年10月にベレットジェミニとして発売。セダン、クーペともに「LD」「LT」「LS」の3グレードがラインナップされました。
デビューから半年後の1975年4月には、「ベレット」の名称が外れ、単に「ジェミニ」となりました。

1975年12月に、LDとLTに3速AT車を新たに設定したほか、1976年5月にはLSに5速MTをオプション設定しました。

1976年11月にマイナーチェンジを実施。昭和51年排ガス規制への対応したほか、上級グレードの「LTミンクス」を追加しました。

 
 
 
 
 
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1977年6月には、ヘッドライトを丸型2灯式から角型2灯式に変更。
また、110psの「G180型(直列4気筒SOHC・1817cc)」搭載車を追加しました。

1978年11月、1.8Lセダンにスポーティグレードの「ブラックジェミニ」を追加しました。黒のボディカラーが特徴で、ヘッドライトウォッシャーなども装備しました。

1979年6月にビッグマイナーチェンジが実施され、逆スラント形状だったフロントはスラントノーズとなり、ヘッドライトは銀縁付きの角型2灯式に変更。LSのみは、スポーティな丸形2灯式を採用しました。
ベース車のカデットなどは、この年にフルモデルチェンジを実施したため、このスラントノーズは採用されませんでした。

 
 
 
 
 
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1979年11月には、ホットモデルの「ZZ」シリーズを発売。セダン、クーペともに、標準仕様の「ZZ-T」と、軽量化した「ZZ-R」の2種類をラインナップしました。
かつて、117クーペ(PA90/95/96型)やベレット1600GTなどの名車を輩出してきたいすゞらしく、GMの意向にとらわれない、いすゞオリジナルのスポーツモデルを設定したのです。
エンジンは、専用セッティングの電子制御燃料噴射装置を組み込んだ「G180型(直列4気筒DOHC・1817cc)」を搭載し、130psを発揮。このエンジンは、ヘッドカバーを青く塗装し、「ISUZU」のロゴも施され、特別感を演出しました。
LSD、オイルクーラー、大口径クラッチディスク、4輪ディスクブレーキ、補助メーター類、ハイバックシート、専用ステアリングなども装備。

その一方で、経済的なモデルとしてディーゼル車も同時に登場しました。搭載されたのは61psの「Q-D1800型(直列4気筒SOHCディーゼル・1817cc)」で、60km/h定地走行ではありますが、29km/Lの低燃費を実現していました。Q-D1800型はのちに4FB1型とエンジン型式を変えました。

1980年3月には、専用の2トーンボディカラーをまとった、ZZシリーズの最上級グレード「ZZ-L」を発売。

1980年6月、ガソリン車のLSに相当する、「ゴールドディーゼル」を発売。
さらに、エアコンやカーステレオを標準装備した快適仕様の「クリーンLT」を、1.8Lに設定しました。

1981年1月には、廉価使用のディーゼル車「LDスペシャル」を追加。100万円を切る低価格を実現し、経済性を強調しました。

 
 
 
 
 
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1981年10月のマイナーチェンジでは、ヘッドランプを異形角型2灯式に変更し、インパネのデザインも大幅に変更されました。
さらに、1.8Lガソリン車に「LG」、ディーゼル車に「LJ」「LS」を設定。

1982年10月には、ディーゼル車に初の電子制御燃料噴射装置を採用し、66psにパワーアップした「LT-E」「LJ-E」を発売。
さらに11月には、73psの「4FB1-T型(直列4気筒SOHCディーゼルターボ・1817cc)」を搭載車を追加し、世界初の電子制御式ディーゼルターボエンジンとなりました。

その後、改良やグレード整理を繰り返す中、1985年5月には2代目JT150/190/600型の「FFジェミニ」を発売しましたが、ボディサイズを小型化したことや、スポーティなモデルを当初設定しなかったため、初代も継続生産されてしばらく併売されました。

そして1987年2月に生産を終え、2代目に完全移行となりました。2代目は「街の遊撃手」で有名なテレビCMが人気を博したことや、1986年以降に発売されたホットモデルの「イルムシャー」、ロータス社がチューニングした「ハンドリング・バイ・ロータス」などが人気となり、一定の販売成績を収めました。

 
 
 
 
 
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ベレットの陳腐化から1974年に登場した初代ジェミニは、1987年2月まで約13年間生産され、結果としてベレットよりも長いモデルサイクルとなりました。
「ベレGの再来」とも称されたジェミニZZで見せた「スポーツのいすゞ」、低燃費で経済性に優れる「ディーゼルいすゞ」の両面が注ぎ込まれたジェミニは、ライバル他車とは異なる個性溢れるモデルに見え、いすゞの1つの成功作となりました。

 

 

 

【諸元】

 

 

いすゞ・ベレットジェミニ(初代PF50/60型)

全長×全幅×全高 4135/4235mm×1570mm×1340/1365mm
ホイールベース 2405mm
乗車定員 5名
エンジン G161型 直列4気筒SOHC 1584cc(100ps/6000rpm)
G180型 直列4気筒SOHC 1817cc(110ps/5600rpm)(1977.6~)
G180型 直列4気筒DOHC 1817cc(130ps/6400rpm)(1979.11~・ZZ)
Q-D1800型 直列4気筒SOHCディーゼル 1817cc(61ps/5000rpm)(1979.11~)
4FB1型 直列4気筒SOHCディーゼル 1817cc(66ps/5000rpm)(1982.10~)
4FB1-T型 直列4気筒SOHCディーゼルターボ 1817cc(73ps/5000rpm)(1982.11~) 
駆動方式 FR
トランスミッション 3AT/4MT/5MT
タイヤサイズ 6.15-13 4P
175/70HR13