【トヨタ】トヨペット・クラウン(2代目S40型)/マスターライン(3代目S40型)/クラウンエイト(G10型)

初の本格的国産量産車だった初代モデルのクラシカルなデザインから一転し、アメリカンなフラットデッキスタイルに生まれ変わった2代目クラウン。

静粛性と低振動を実現したX型フレーム+モノコックボディの組み合わせは、1990年代まで続くクラウンの伝統となりました。

 

 

 


トヨペット・クラウン(2代目S40型)/マスターライン(3代目S40)/クラウンエイト(G10型)の歴史】

 

 

1955年にデビューしたクラウン(初代RS/S20/S30型)は、初の本格的な国産量産車で、他車が外国車のノックダウン生産を行う中で、純国産にこだわり、クラスシェアが50%を超えるほどの人気を誇りました。

お手本としていたアメリカ車市場では、1950年代までのクラシカルなボディスタイルから、ワイド&ローのフラットデッキスタイルに変わったのが1960年頃のこと。この先進的なスタイリングに国産メーカーも目を付け、クラウンとライバルのプリンス・グロリアが1962年9月にフルモデルチェンジを行いました。

国内では高速道路の整備も始まり、高速時代が到来することが予想されており、根本的なメカニズムの改良が必要となりました。低床ラダーフレームから脱却し、新たに採用されたのがX型フレームで、これも当時のアメリカ車で採用されていたもの。フレームの軽量化を図ることができた上に、ねじれに強く、安定した走行が可能で、当時の国産車としては先進的なものでした。

これにエンジンやサスペンションなどを組み付けた後、モノコック構造のボディを被せる独自の方式を採用しました。当時の路面状況を考慮し、耐久性を十分に持たせるための工夫だった一方、静粛性と低振動を実現でき、クラウンの売りとなっていきました。フルモノコックを採用する10代目S150型まで、クラウンの伝統として、この方式が採用され続けました。

エンジンは先代から流用された「3R型(直列4気筒OHV・1897cc)」を搭載。
トランスミッションは1速以外にシンクロ機構を持つ3速コラムMTを基本とし、半自動2速ATのトヨグライドも用意しました。最高速度は140km/hとされ、高速時代の到来にも実用上十分な性能を発揮しました。

新しい小型車枠に合わせた、全長4610mm×全幅1695mm×全高1460mmのボディサイズで、先代よりも長くて広くて低いスタイリングが与えられました。
ヘッドライトは4灯式となり、存在感のあるフロントグリルも特徴的。グリルに取り付けられた王冠のエンブレムは、11代目S170型まで同じデザインが使用されました。

4ドアセダンに加えて、ステーションワゴンの「カスタム」を設定。さらに、カスタムと車体を共用する4ドアバンは、先代に引き続き「マスターライン」として発売され、マスターラインにはシングルピックアップとダブルピックアップも設定されました。
乗用ワゴンのカスタムは、商用バンのマスターラインとの差別化のため、セダン同等の内装を備え、荷室にはジャンプシート(収納式の補助座席)を2名分装備しました。

1962年9月に発売され、セダンには「デラックス」と「スタンダード」の2グレードを設定。

1963年9月にマイナーチェンジを実施。外観上は、「涙目テール」と呼ばれたバックランプは、テールランプとは独立して矩形のものに変更され、フロントグリルは大型化されました。
また、MT車はフルシンクロ化、AT車は完全自動化が行われました。

1964年4月には、上級車種のクラウン・エイト(G10型)を発売。全長4720mm×全幅1845mmに拡大されたボディに、「V型(V型8気筒OHV・2599cc)」を搭載し、トヨタ初の3ナンバー車であり、日本初のV8エンジン搭載車となりました。
パワーステアリング、パワーウィンドウ、電磁式ドアロック、オートドライブ(クルーズコントロール)など、当時としては極めて豪華な装備が採用されました。
運転手付きのショーファードリブンはアメリカ車の独占状態だった中、国産メーカーも食い込もうとしたもので、日産でも前年に、プレジデントへと発展するセドリックスペシャル(50型)を発売しています。

1965年7月のマイナーチェンジでは、フロントウィンカーのバンパー埋め込み化や、丸型1灯式だったテールランプの横長コンビネーションランプ化などが行われました。
また、デラックスの装備を簡略化した、オーナードライバー向けの「オーナースペシャル」を追加しました。
クラウンエイトもマイナーチェンジを受け、普及グレードの「スペシャル」を追加したほか、4速フロアMT車を設定しました。

1965年11月には、105psを発揮する「M型(直列6気筒SOHC・1988cc)」搭載車を追加しました。
新たにスポーティグレードの「S」も追加され、ツインキャブで125psの「M-B型(直列6気筒SOHC・1988cc)」を搭載。Sはフロントディスクブレーキやフロアシフト、タコメーターなどを装備しました。

1966年3月、オーナースペシャル、スタンダード、カスタムにもM型搭載車を追加。

1966年11月には、パワーウィンドウなどを装備した最上級グレード「スーパーデラックス」を追加しました。

1967年7月、後継となるセンチュリー(初代G20型)発売に伴い、クラウンエイトの販売を終了。約3年の間に、3800台余りが生産されました。

1967年9月にクラウンもフルモデルチェンジにより販売終了。3代目S50型からは商用モデルもクラウンを名乗るようになったため、マスターラインの名称はS40型をもって消滅しました。
3代目S50型は、オーナードライバーに向けた販売戦略が取られ、「白いクラウン」のキャッチフレーズや、2ドアハードトップの設定など、新たな高級車の時代へと踏み出していきました。

国産乗用車として大きな一歩を踏み出した先代に続き、2代目でも時代の先端を行くクルマ作りによって、大きな成功を収めました。
高級車にもスポーティグレードを設定するなど、その後のマイカー時代にも通ずる販売戦略が取られていたことも、特筆すべき点かもしれません。

 

 

 

 

【諸元】

 

 

 

トヨペット・クラウン(2代目S40型)/マスターライン(3代目S40型)/クラウンエイト(G10型)

全長×全幅×全高 4610/4635mm×1695mm×1460mm
4690mm×1695mm×1470mm(カスタム/マスターラインバン)
4690mm×1695mm×1510mm(マスターラインピックアップ)
4720mm×1845mm×1460mm(クラウンエイト)
ホイールベース 2690mm
2740mm(クラウンエイト)
乗車定員 3/5/6名
エンジン 3R-B型 直列4気筒OHV 1897cc(80ps/4600rpm)
3R型 直列4気筒OHV 1897cc(90ps/5000rpm)
M-C型 直列6気筒SOHC 1988cc(100ps/5200rpm)
M型 直列6気筒SOHC 1988cc(105ps/5200rpm)
M-B型 直列6気筒SOHC 1988cc(125ps/5800rpm)
V型 V型8気筒OHV 2599cc(115ps/5000rpm)(クラウンエイト)
駆動方式 FR
トランスミッション 2AT/3MT
タイヤサイズ 7.00-13 4P
7.00-13 6P
6.40-14 4P
6.95-14 4P
7.00-14 4P