【トヨタ】グランビア/グランドハイエース(XH10型)

ミニバン全盛の時代を前に、ミニバン専用設計の3ナンバーモデルとして登場したグランビア。

より高級感溢れる日産・エルグランドが登場すると、影が薄くなってしまいましたが、その反動から、のちに不動の人気を誇るアルファードの開発へと繋がっていきました。

 
 
 
 
 
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トヨタ・グランビア/グランドハイエース(XH10型)の歴史】

 

 

1980年代まで、日本国内の3列シート車といえば、商用バンをベースに乗用仕様にした1BOXワゴンが当たり前。トヨタで言えば、ハイエースワゴン(3代目H50/60/70型)やマスターエースサーフ/タウンエースワゴン(R20型)、ライトエースワゴン(3代目M30型)と言ったモデルがそうでした。
この頃の北米市場では、ダッジ・キャラバンやシボレー・アストロなどにより、ミニバンブームが沸き起こっており、これにトヨタが反応して開発したのがエスティマ(初代XR10/20型)。しかし国内市場では、ミッドシップという独特なレイアウトだったことや、国内では大きすぎるボディサイズなどが仇となり、思ったほどの反応は得られませんでした。

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そこで次に乗り出したのが、日本国内に特化した新たなミニバンの開発。広々とした室内や快適性を持ち、国内でも受け入れられる、ハイエースワゴンからの乗り換えを想定したクルマとして、グランビアが1995年にデビューしました。

ベースとなったのは、欧州仕様のハイエースで、駆動方式はオーソドックスなFR。ディーゼル車にはセンターデフ方式の4WDもラインナップされました。
フロントにダブルウィッシュボーン式、リアにセミトレーリングアーム式のサスペンションをセットし、4輪独立懸架を採用。

エンジンは、145psの「3RZ-FE型(直列4気筒DOHC・2693cc)」と、130psの「1KZ-TE型(直列4気筒SOHCディーゼルターボ・2982cc)」の2種類。当時は燃費性能に優れるディーゼルが人気だったこともあり、グランビアの主力エンジンも3.0Lディーゼルターボでした。トランスミッションはコラム4速ATを採用。

 
 
 
 
 
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ボディは全長4715mm×全幅1800mm×全高1965mmの堂々たる3ナンバーサイズ。タマゴ型の先進的なフォルムが特徴的だったエスティマに対し、オーソドックスな1.5BOXのスタイリングを採用しました。
衝突安全性の問題などから、1BOXスタイルから1.5BOXへとちょうど変化していた時代であり、グランビアも漏れなく1.5BOXを採用し、同乗する家族の安全性にも配慮されていました。

余裕たっぷりの室内空間は、大きなボディサイズの恩恵そのもの。フロア高を低くしたこともあり、それまでの1BOX車とは比べ物にならないほどの広さを実現しました。2列目シートの仕様により、7人乗りと8人乗りを用意。
シートアレンジも多彩で、回転対座モードやフルリクライニングも可能でした。3列目を折り畳めば、2650Lという広大なラゲッジルームも出現しました。開放感溢れるツインムーンルーフ仕様車も全グレードで選択可能。

 
 
 
 
 
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1995年8月デビュー時は、7人乗りの「Q」と8人乗りの「G」の2グレードでスタート。優れた室内空間や安定した走行性能などに一定の評価を得ましたが、どこかハイエースの雰囲気を残していたことや、市場には3ナンバー車に対する敬遠がまだ残っていたこと、1BOX車としては高価だったことなどから、決して成功と言えるほどの成績は残せませんでした。

1996年4月、Gの装備を充実させた特別仕様車「Gリミテッド」を発売。

1996年8月の改良では、前席にセンターテーブルを標準装備したほか、フロントドアにUVカットガラスを採用。Gには、助手席アームレストやスライドドアのイージークローザーなどが装備されました。
また、Qに「エクセレントパッケージ」、Gに「ラグジュアリーパッケージ」を設定し、福祉車両の「ウェルキャブ」も新設定されました。

1997年5月には、最大のライバルとなる日産・エルグランド(初代E50型)がデビュー。内外装ともに豪華さを演出し、3.3LのV6エンジンを搭載していたエルグランドは、圧倒的に高級感に溢れ、大人気となりました。

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エルグランドへの対抗のため、1997年8月にマイナーチェンジを実施し、新たに180psの「5VA-FE型(V型6気筒DOHC・3378cc)」をラインナップしました。また、国産ミニバン初の両側スライドドアが一部グレードで選択可能となったほか、前後デザインのリファイン、衝突安全ボディGOAも採用。
装備の充実化やバリエーションの拡充のため、「Q エクセレントセレクション」「Q プレステージセレクション」「G コンフォートセレクション」「G クルージングセレクション」も追加されました。

1998年5月、2.7Lエンジンが廃止され、3.4Lガソリンと3.0Lディーゼルのみとなりました。また、G コンフォートセレクションをベースに、装備を充実させた「Gエクステージ」を設定。

 
 
 
 
 
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1999年8月に2度目のマイナーチェンジを実施し、デザインを大幅に変更。エルグランドを意識した大型グリルによる押し出し感の強いマスクに変更されたほか、テールランプも高級感の高いものになりました。内装デザインも変更されたほか、Qグレードは全車両側スライドドアを装備。3.4L車には電子制御ATを採用し、3.0Lディーゼルエンジンは140psに出力を向上させました。

 
 
 
 
 
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この時、販売力強化のために姉妹車のグランドハイエースが登場。グランビアとの相違点は、前後デザインのみで、特にフロントグリルはメッキ加飾を多用してより高級感溢れるものを装着。ビスタ店扱いだったグランビアに対し、トヨペット店で販売されました。

1999年10月、モデリスタの手による「ハイルーフラウンジ」を発売。標準車よりも215mmも高いルーフを持ち、室内空間はさらに広大となり、豪華仕様の「A仕様」ではウッドパネルや豪華な室内照明なども装備しました。

2000年4月には、グランビアに「G エアロスポーツバージョン」「G クルージングセレクションエアロスポーツバージョン」「G デュアルスライドドアセレクション」を、グランドハイエースに「G エアロストームエディション」「G Xエディション5ドア」「G Lエディション」を追加。
さらに2001年8月には、グランビアに「G クルージングリミテッド」、グランドハイエースに「G プライムセレクション」を設定するなど、装備の充実化などを図りました。

2002年5月に販売を終了し、後継車となるアルファード(初代AH10型)がデビューしました。欧州仕様ハイエースとは別に設計された国内専用モデルとなったことで、FF化しただけでなく、国内市場で好まれる木目などで豪華さを演出し、一気にシェアを拡大。エルグランドを抜いてクラストップに躍り出ることに成功しました。

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グランビア/グランドハイエースは、保守的なトヨタが考えた大型ミニバンの形。一方のエルグランドは、豪華さや高級感を惜しげもなく発揮したことが、大ヒットの要因でした。
しかし、その失敗を踏み台に開発されたアルファードは、20年以上に渡りトップシェアを飾っており、クルマ業界における「失敗は成功のもと」のいい例の1つとなっています。

 

 

 

【諸元】

 

 

トヨタ・グランビア/グランドハイエース(XH10型)

全長×全幅×全高 4715mm×1800mm×1965/1995mm(~1999.8)
4790mm×1800/1830mm×1965/1995mm(1999.8~)
4790mm×1800mm×2445/2475mm(ハイルーフラウンジ)
4840mm×1835mm×1965/1995mm(エアロスポーツバージョン)
ホイールベース 2985mm
乗車定員 7/8名
エンジン 3RZ-FE型 直列4気筒DOHC 2693cc(145ps/4800rpm)(~1998.5)
1KZ-TE型 直列4気筒SOHC ターボ 2982cc(130ps/3600rpm)(~1999.8)
1KZ-TE型 直列4気筒SOHC ICターボ 2982cc(140ps/3600rpm)(1999.8~)
5VZ-FE型 V型6気筒DOHC 3378cc(180ps/4800rpm)(1997.8~)
駆動方式 FR/4WD
トランスミッション 4AT
タイヤサイズ 205/70R15
215/65R15
215/70R15