【トヨタ】アルファード(初代AH10型)

日産・エルグランドが先陣を切っていた高級ミニバン市場。その牙城を崩すべく、エルグランドのフルモデルチェンジに合わせて、トヨタが送り込んだのがアルファードでした。

高級ミニバン市場でトップシェアを誇る、トヨタの大人気モデルとなりました。

 

 

 


トヨタ・アルファード(初代AH10型)の歴史】

 

 

トヨタの上級ミニバンの歴史は、1990年発売のエスティマ(初代XR10/20型)。

kuruma-bu.hatenablog.com

乗用車専用として開発した意欲作でしたが、北米を見据えた大柄なボディサイズや、高価な価格設定などが仇となり販売は低迷。5ナンバーサイズに収めたエスティマエミーナ/ルシーダを発売して、ライバル車に対抗したことで、上級ミニバンとしてのキャラクターは薄れていました。

そして1995年にハイエース(4代目H100型)をベースにした大型ミニバンのグランビア(XH10型)を発売。

kuruma-bu.hatenablog.com

欧州向けハイエースをベースとする3ナンバー専用車で、広い室内を持ち、当時のトヨタの最上級ミニバンでしたが、ハイエースとの共用部品も多いことなどから、内装には高級感がなくチープさが目立ち、それまでの1BOX車と変わらず商用車の雰囲気を残しており、その後に発売した兄弟車(グランドハイエースハイエースレジアス、ツーリングハイエース)と共に、販売面では苦戦を強いられていました。

1997年に日産が発売したのがエルグランド(初代E50型)。

kuruma-bu.hatenablog.com

キャラバン/ホーミー(E24型)をベースとしながらも乗用専用に開発したミニバンで、セミキャブオーバー型を採用して低床化を実現したことで室内空間は広く、前後席のウォークスルーも可能になりました。外観や内装も豪華に仕上げられ、高級ミニバンとして大ヒットを記録していました。

アルファードは、カムリなどで実績のあるKプラットフォームを採用したFFレイアウト。サスペンションはフロントがストラット式、リアがトーションビーム式を採用し、広いトレッドの効果もあり、高級車にふさわしい乗り心地を実現しました。また、全てのグレードで4WDも選択が可能でした。

エンジンはいずれもVVT-iを採用した2種類を用意し、220psを発揮する「1MZ-FE型(V型6気筒DOHC・2994cc)」と、159psの「2AZ-FE型(直列4気筒DOHC・2362cc)」で、トランスミッションは全車4速ATのみの設定でした。
グランビアなどで用意されていたディーゼルエンジンは設定されず、ガソリンエンジンのみのラインナップとなりました。

全長4800/4845mm×全幅1805/1830mm×全高1935mmのボディサイズは堂々たるもので、全体的にダイナミックでボリュームのある造形が特徴的。大きなグリルを持つ逞しいフロントマスクに、大きなフロントバンパーなど、高級車の名に恥じない力強いデザインが魅力の一つでした。
全車、両側スライドドアを備える5ドアで、リモコンパワースライドドアやパワーバックドアもオプション設定されました。

FFレイアウトの採用により、床面は低く、十分すぎるほどの室内高を実現。室内長3085mm×室内幅1585mm×室内高1390mmを誇るサイズは、国産ミニバンでは最大級のものでした。フラットなフロアによって2列目や3列目のスライド量も非常に大きく、各シートの足元スペースの広さは類まれとも言うべきもの。2列目シートの仕様により、7人乗りと8人乗りが設定されました。3列目は左右に跳ね上げることができ、荷室スペースの拡大が可能。

インパネには木目調パネルやクロームメッキを随所に使用して高級感を演出し、ダッシュボードなどには手触りのいいソフトパッドを採用しました。シート地はグレードによって4種類も用意され、標準グレードにはトリコット、スポーティグレードにはスウェード調、上級グレードにはジャカードのモケット、そして最上級パッケージには本革を用意しました。

トヨペット店からはアルファードGとして、ビスタ店からはアルファードVとして発売され、GとVの違いはフロントグリルで、Gにはメッキグリル、Vにはボディ同色グリルが装着されました。
2.4L車は「AX」「AS」の2グレード、3.0L車は「MX」「MS」「MZ」の3グレードを用意。ASとMSは17インチアルミホイールやエアロパーツ等を装備したスポーティグレード、3.0Lのみに用意されるMZは上級グレードでした。また、VSC&TRCやツインムーンルーフなどが装備される「Gエディション」や、上級装備を備える「Lエディション」、装備を厳選して価格を抑えた「Jエディション」なども用意されました。

ライバルのエルグランドが2代目E51型にフルモデルチェンジしたのが2002年5月21日。翌日の5月22日にアルファードがデビューし、エルグランドの牙城を切り崩しにかかりました。アルファードは、エスティマ(2代目XR30型)と部品を共用するなどでコストダウンを図ったことや、エルグランドよりも躍動感のあるボディデザインを採用したこと、木目などで日本人好みの高級感を演出したことなどが功を奏し、見事エルグランドを抜いてクラストップに躍り出ることが出来ました。

2003年7月には、ハイブリッド車を追加。131psのガソリンエンジン「2AZ-FXE型(直列4気筒DOHC・2362cc)」と、前輪に13kWを引き出すモーター「1EM型」、後輪に18kWを引き出す「1FM型」を組み合わせたエスティマハイブリッドと同様の構成で、トランスミッションCVTを採用しました。
ヘッドライトやグリル、バンパー、リアコンビネーションランプなどは、ハイブリッド専用デザインとし、ガソリンモデルとの差別化を図りました。

また、ガソリン車には特別仕様車「AS/MSプレミアム」を設定。ASとMSをベースに、専用シートやオプティトロンメーター、デュアルパワースライドドア、専用アルミホイールなどを装備し、高級感のあるスポーティモデルを演出しました。

さらに2004年1月には、「AS/MSプレミアム・アルカンターラバージョン」を特別仕様車として発売。AS/MSプレミアムをベースに、アルカンターラとファブリックの専用シートを装備し、さらにアルカンターラ仕様の専用車検証入れまで特別装備されました。

2005年4月にマイナーチェンジを受け、フロントおよびリアのデザインが変更されました。一部のホイールデザインも変更されたほか、インパネの木目調パネルのカラー変更や、エアコン吹き出し口の仕様変更、オプティトロンメーターのデザイン変更も実施されました。また、3.0L車のトランスミッションは5速化。
法規制への対応のため、サイドアンダーミラーが左フェンダー上に装備されました。

さらに、モデリスタが架装する「ロイヤルラウンジ」も設定されました。3列目シートを撤去し、専用の後席キャプテンシートを装着した仕様で、後席にはパワーシートや、窓やカーテンの集中スイッチ、オットマン、読書灯などを備えるもの。2列化によって、後席の足元空間はとてつもなく、高級リムジン並みのものでした。

その後も、特別仕様車をコンスタントに発売しながら好調な販売を見せ続け、2008年5月に販売を終了し、2代目AH20型にフルモデルチェンジとなりました。アルファードトヨペット店専売となり、ネッツ店(旧:ビスタ店)向けには、姉妹車のヴェルファイア(初代AH20型)を発売し、人気を不動のものにしていきました。

 
 
 
この投稿をInstagramで見る

kkoorrrr(@korbomber)がシェアした投稿

エスティマ(初代XR10/20型)やグランビア(XH10型)が不調に終わっていたトヨタは、エルグランド(初代E50型)の大ヒットを黙って見ているわけもなく、アルファードによって見事市場トップの座を奪い返すことに成功しました。その後もヴェルファイアと共に、非常に好調な販売を続けており、高級ミニバン=アルファードというイメージまで付くほどになっています。

 

 

 

【諸元】

 

 

トヨタ・アルファード(初代AH10型)

全長×全幅×全高 4800/4845mm×1805/1830mm×1935mm(~2005.4)
4840/4865mm×1805/1830mm×1935mm(2005.4~)
4840mm×1805mm×1935mm(ハイブリッド)
ホイールベース 2900mm
乗車定員 7/8名
エンジン 2AZ-FE型 直列4気筒DOHC 2362cc(159ps/5600rpm)
2AZ-FXE型 直列4気筒DOHC 2362cc(131ps/5600rpm)(ハイブリッド)
1MZ-FE型 V型6気筒DOHC 2994cc(220ps/5800rpm)
モーター 1EM型(18ps/1130-3000rpm)(前輪)
1FM型(24ps/1910/2500rpm)(後輪)
駆動方式 FF/4WD
トランスミッション CVT/4AT/5AT
タイヤサイズ 205/65R16
225/55R17