【日産】キャラバン(初代E20型)/ホーミー(2代目E20型)

商用バンの需要拡大や、アウトドアやレジャーブームに合わせて、1970年代に登場したキャラバンは、使い勝手の良い1BOX車。

トヨタハイエースとのライバル関係はここから始まりました。

 
 
 
 
 
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【日産・キャラバン(初代E20型)/ホーミー(2代目E20型)の歴史】

 

 

荷物を雨風にさらさずに運搬するために登場した1BOX車は、1950年代後半に登場し、トラックのシャシーに箱型のボディを乗せたモデルからスタートしました。日産で言えば、1.5t積級のキャブオール(初代C40/140型)のライトバン仕様やマイクロバス仕様が始まり。ライトバンは1966年登場の2代目C240型にもラインナップされていました。

トラックベースの1BOX車の欠点は、どうしても床面が高くなってしまうこと。室内空間が狭くなる傾向にあり、荷物の積み下ろしにも不便でした。1960年代後半になると、これを克服する2つのモデルが登場しました。
1966年に登場したマツダ・ボンゴ(初代FSA型)は、小柄なボディサイズながら、RRレイアウトを採用して床面を下げ、大ヒットを記録。
1967年に登場したトヨタハイエース(初代H10型)は、モノコックボディを採用することで、床面を下げることに成功し、乗用車に近い感覚で運転できることも好評。トラック、ワゴン、デリバリーバン、マイクロバスなどのバリエーションを増やし、バンにはロングやスーパーロングもラインナップし、こちらも大ヒットとなっていました。

一方の日産は、先述したキャブオール、一回り小柄なキャブスター(初代A320型)のライトバン、プリンスとの合併によって日産車となったホーマー(初代T640型)のライトバン仕様、そのホーマーのマイクロバス仕様であるホーミー(初代B640型)と、依然トラックベースのモデルしか存在していませんでした。
1970年代に入ると、商用バンとしての需要拡大のみならず、アウトドアブームによって多くの荷物と多人数での移動が求められるようになり、ハイエースと競合する新たな1BOX車の開発に取り組みました。

標準ボディの2350mmとロングボディの2730mmの2種類のホイールベースを用意。ライトバン、長尺ライトバン、ルートバン、長尺ルートバンの商用ラインナップに加え、9人乗りコーチ、10人乗りコーチ、15人乗りマイクロバスの乗用ワゴンもラインナップしました。

搭載されたエンジンは、77psの「J15型(直列4気筒OHV・1483cc)」と、80psの「J16型(直列4気筒OHV・1567cc)」の2種類。J型エンジンは、ブルーバード(2代目410型)やダットサントラック(6代目520型)に搭載された1.3Lエンジンをベースに、1.5Lに拡大したモデルで、主にダットサントラックやキャブスター(初代A320型)に搭載されていました。

 
 
 
 
 
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ボディは、全長4310/4690mm×全幅1690mm×1905mmで、ハイエースと同等サイズ。台形フォルムをしていたハイエースに比べるとシンプルな箱型のスタイリングで、曲面のフロントガラスが特徴的でした。
1973年2月のデビュー時には、後席ドアは左側スライドドアのみの4ドアで、ボディを一周するモールは、そのスライドレールを隠すため。

1976年1月、プリンスとの合併後も生産が継続していたホーミーをフルモデルチェンジし、キャラバンの姉妹車として2代目E20型に移行。トラックベースのマイクロバスだったホーミーは、1BOX商用バンとして再スタートする形となりました。バンとマイクロバスのみで、5ナンバーのコーチは当初ラインナップされませんでした。
また、J16型エンジンは廃止となり、新たに92psの「H20型(直列4気筒OHV・1982cc)」搭載車を追加しました。

 
 
 
 
 
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1978年5月にマイナーチェンジを実施。フロントグリルを変更したほか、インパネやメーターパネルのデザインも変更しました。
ハイエースへの対抗のため、全高2180mmのハイルーフバンを新たにラインナップし、マイクロバスは全車ハイルーフ仕様となりました。
また、ハイエースに先駆けて、ディーゼルエンジン搭載車も追加されました。搭載されたのは「SD22型(直列4気筒OHVディーゼル・2164cc)」で、65psを発揮。

1979年4月には、J15型エンジンが廃止となり、代わりにJ16型が復活しました。コーチには、105psの「Z20型(直列4気筒SOHC・1952cc)」エンジン搭載車を追加。
また、バンには両側スライドドアの5ドア車がラインナップされました。

そして1980年8月にE23型にフルモデルチェンジ。E23型は、キープコンセプトながらさらに直線を基調としたデザインで、コーチの上級仕様は装備の充実化を図り、RV化の波に対応。ついに、宿敵ハイエースに勝利し、クラストップシェアを実現しました。

 
 
 
 
 
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このクラスの1BOXバンは、平成、令和に至るまで、様々な業種において日本の商業を支えました。その第一人者はハイエースではありましたが、より使いやすい箱型に進化させ、現在の形に近いものを作り上げたのは、キャラバンでした。結果、ハイエースもモデルを追うごとに箱型を強くし、現在に至っています。

 

 

 

【諸元】

 

 

日産・キャラバン(初代E20型)/ホーミー(2代目E20型)

全長×全幅×全高 4310/4690mm×1690mm×1905/2180mm
ホイールベース 2350/2730mm
乗車定員 3/6/9/10/15名
エンジン J15型 直列4気筒OHV 1483cc(77ps/5200rpm)(~1979.4)
J16型 直列4気筒OHV 1567cc(80ps/5200rpm)(~1976.1・1979.4~)
H20型 直列4気筒OHV 1982cc(92ps/4800rpm)(1976.1~)
Z20型 直列4気筒SOHC 1952cc(105ps/5200rpm)(1979.4~)
SD22型 直列4気筒OHVディーゼル 2164cc(65ps/4000rpm)(1978.5~)
駆動方式 FR
トランスミッション 4MT
タイヤサイズ 6.00-14 6P / 6.00-14 8P