【トヨタ】ハイエース(2代目H20/30/40型)

大ヒットした初代ハイエースの後を継ぐ形で、1977年に登場した2代目ハイエースは、そのパッケージングの良さを活かしながら、より洗練されて使い勝手のいいものに進化しました。

モデル途中からはRV要素を強め、来たるRV時代にも応えられる上級ワゴンの道を歩み始めました。

 

 

 


トヨタハイエース(2代目H20/30/40型)の歴史】

 

 

1966年に登場したハイエース(初代H10型)は、それまでトラックだった商用車の主流を1BOXに変え、天候に左右されずに荷物を運ぶことが出来ることがユーザーに受けて大ヒット。デリバリーバン、ロングバン、スーパーロングバン、ワゴン、コミューター、トラックと、多くのバリエーションを用意し、様々な需要に応えました。

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1973年には最大のライバルとなる日産・キャラバン(初代E20型)がデビュー。

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旧態化が進んでいたハイエースは次第に競争力を失うようになり、1977年2月にフルモデルチェンジを遂げて登場したのが、この2代目H20/30/40型。
豊富なバリエーションが当初から用意されており、標準、ロング、スーパーロングの3種類のホイールベースを設定したバンとコミューター、9人乗りと10人乗りの2つの仕様が用意されたワゴン、さらに数種類のトラック。

エンジンラインナップは、100psの「18R-U型(直列4気筒SOHC・1968cc)」、95psの「16R-J型(直列4気筒SOHC・1808cc)」、80psの「12R-J型(直列4気筒OHV・1587cc)」の3種類。バンとコミューターには1.6Lと1.8L、ワゴンには2.0L、トラックには1.6Lをラインナップしました。

 
 
 
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ボディサイズは初代とほとんど変わりありませんが、よりボクシーなスタイルとし、荷室面積や容積を拡大し、スーパーロングにはハイルーフが採用されました。
また、バンのバックドアには4リンク式の跳ね上げドアを採用したことで、狭いスペースでも開閉が容易になりました。
スライドドアは、開口幅を245mmも拡大した上で、開閉に必要な力は軽くし、後席の乗降性能も大幅に向上。

ワゴンは、4列シート10人乗りは「デラックス」のみのモノグレードでしたが、3列シート9人乗りには「カスタム」「デラックス」「スタンダード」の3グレードが設定され、3列シート車の2-3列目にはリクライニング機構が備わりました。
しかし、バンやコミューターとの相違点は少ないシンプルな1BOX車で、まだ小さなバスといったイメージのクルマでした。

 
 
 
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トラックには、新たに「ジャストロー」を設定しました。高床トラックをベースに、タイヤ径の小さなラジアルタイヤを履かせることで、荷台地上高を755mmまで下げ、三方開きとして積み下ろしを容易にしたモデル。トラックへのラジアルタイヤの採用はこれが初めてでした。

1979年3月、ワゴンのエンジンを105psの「21R-U型(直列4気筒SOHC・1972cc)」に変更し、昭和53年排ガス規制に適合しました。
さらに、ワゴンの10人乗りはロングホイールベース化を実施。

1979年7月には、バンに初めてディーゼルエンジン車を追加しました。「L型(直列4気筒SOHCディーゼル・2188cc)」を搭載し、最高出力は72ps。前年5月にディーゼルエンジンを追加していたキャラバンに対抗しました。

1980年1月に初のマイナーチェンジを受け、メーターパネルのデザイン変更や、マニュアルトランスミッションの5速(OD付)化、ディーゼルエンジンのラインナップを全車に拡大しました。
また、ワゴンには最上級グレードとなる「スーパーカスタム」を追加。スーパーカスタムは専用シート地やフルトリム化によって豪華な印象となり、2-3列目は回転対座モードも可能でした。

1981年1月のマイナーチェンジでは、RV時代を見据えた変更を実施しました。前後バンパーは大型化され、ワゴンのヘッドランプは丸型2灯から角形2灯式に変更、トラックを除く全車に吊り下げ式クーラーに代わるエアコンがオプション設定され、スーパーカスタムには電動サンルーフが設定されました。
また、バンにも上級グレードの「GL」を設定しました。

1982年12月、トラックを除いて3代目H50/60/70型にフルモデルチェンジ。トラックはフロントグリルを変更して継続生産となりました。
1985年8月、トラックがH80/90型にフルモデルチェンジとなり、生産終了。
3代目や4代目H100型では、スーパーカスタムを中心としたワゴンの上級グレードが大人気となり、RVブームの1ジャンルとして活躍しました。

スーパーカスタムの登場により一気に多目的化が進んだハイエース。しかし先行していたのは実は日産で、1980年8月にキャラバンが2代目E23型にモデルチェンジした際に、ワゴンを「コーチ」と名付け、上級グレードを設定して大人気となっていました。
追う立場ながら、ハイエーススーパーカスタムが絶大な人気モデルとなったあたりが、さすがのハイエース、さすがのトヨタと言ったところでしょうか。

 

 

 

 

【諸元】

 

 

 

トヨタハイエース(初代H20/30/40型)

全長×全幅×全高 4340mm×1690mm×1925mm(標準バン/コミューター)
4690mm×1690mm×1920mm(ロングバン/コミューター)
4990mm×1690mm×2115mm(スーパーロングバン/コミューター)
4340mm×1690mm×1910mm(ワゴン9人乗り)
4340/4690mm×1690mm×1910mm(ワゴン10人乗り)
4335/4440mm×1690mm×1940mm(トラック)
ホイールベース 2290mm(トラック)
2340mm(標準バン/コミューター/ワゴン)
2545mm(ロングバン/コミューター/ワゴン)
2845mm(スーパーロングバン/コミューター)
乗車定員 3名(バン/トラック)
6名(バン/トラックダブルキャブ)
9名(バン/ワゴン)
10名(ワゴン)
12名(コミューター12人乗り)
15名(コミューター15人乗り)
エンジン 12R-J型 直列4気筒OHV 1587cc(80ps/5200rpm)
16R-J型 直列4気筒SOHC 1808cc(95ps/5600rpm)
18R-U型 直列4気筒SOHC 1968cc(100ps/5500rpm)(~1979.3)
21R-U型 直列4気筒SOHC 1972cc(105ps/5200rpm)(1979.3~)
L型 直列4気筒SOHCディーゼル 2188cc(73ps/4200rpm)(1979.7~)
駆動方式 FR
トランスミッション 4AT/4MT/5MT
タイヤサイズ 6.00-14 6P
175R14(トラックジャストロー)