【スズキ】フロンテ(2代目LC10型)

先代までのFFからRRレイアウトに刷新した2代目フロンテは、スズキが本格的な軽乗用車市場への進出を狙ったモデルでした。

高性能でピーキーなスポーティモデル「フロンテSS」も登場しました。

 
 
 
 
 
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【スズキ・フロンテ(2代目LC10型)の歴史】

 

 

二輪車メーカーだったスズキは、1955年に発売したスズライト(初代SS/SL/SP/SD型)で、日本初の量産型軽自動車を実現しました。その後、1958年にスバル・360(K111/212型)発売を機に、軽自動車市場が活性化すると、スズライトは1959年にモデルチェンジをして2代目TL型に移行。1962年に追加された乗用車仕様がスズライトフロンテでした。

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三菱・ミニカ(初代LA20型)やマツダ・キャロル(初代KPDA型)、ダイハツ・フェロー(初代L37型)などの軽乗用車も台頭する中、商用車がベースだったフロンテはフルモデルチェンジとなり、2代目LC10型へ移行しました。

スズライトの頃から採用していたFFレイアウトから転換し、RRレイアウトを採用しました。RRは、FFと同様に、エンジンと駆動輪が近いことでメカニズム系を集中配置することができ、室内スペースを広く採ることが出来ることが利点。
FFの場合には、駆動と操舵を同じタイヤで行うことから、複雑な構造が必要となりますが、RRの場合はそれが不要となることも、量産体制のためには必要なことでした。
ライバルの中では、スバル・360とキャロルがRR、ミニカとフェローがFRを採用していました。

乗用車専用として新設計され、シャシーにはモノコック構造を採用。サスペンションは、フロントにダブルウィッシュボーン式、リアにトレーリングアーム式とした4輪独立懸架。
タイヤは12インチから10インチに小径化し、室内スペースの拡大を図りました。

先代では2気筒だったエンジンも新開発され、3気筒に進化。「LC10型(直列3気筒2ストローク・356cc)」で、25psを発揮しました。冷却方式は空冷で、シリンダーブロックを独立にすることで冷却効果を高めています。
トランスミッションは4速MTで、コラムシフトからフロアシフトとなりました。最高速度は110km/hに達し、ライバルとの差を見せつけました。

 
 
 
 
 
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商用車としての実用性も重視されて箱型に近いスタイリングだった先代と比べ、乗用車としてのデザイン性も備わった流麗なシルエットに変貌を遂げ、当時の北米で流行していた「コークボトルライン」が採用されました。
2ドアのみで、エンジンが収まる小さなノッチがリアにあるセミファストバックセダンでした。

1967年4月に、「フロンテ360」として販売を開始。
フロンテのモデルチェンジ後も、先代のスズライトはバンが継続生産され、1969年1月にFRレイアウトのフロンテバン(LS10型)が登場するまで販売されました。

一方、同時期にデビューした極力なライバルが、ホンダ・N360(N360型)でした。高出力エンジンを搭載し、スタイリングも良く、それでいて安価だったN360は大人気となり、ライバル各車はN360対策に追われ、ダイハツがスポーティモデルのフェローSSを発売。これを発端に、軽自動車の高出力化競争が始まりました。

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フロンテも1968年11月に「フロンテSS」を発売。2輪メーカーだったスズキらしいスポーティなエンジンが用意され、36psの「LC10型(直列3気筒2ストローク・356cc)」を搭載しました。フルチューンに近いこのエンジンを操るには、相当なテクニックが必要で、3500rpm以下ではエンストしてしまうことがあるほどの高回転型。
ヘッドレスト一体型バケットシートやシートベルトを標準装備するなど、安全性にも配慮されました。

1970年4月には、SSの装備を充実させた「SSS」を発売したほか、SSの外観にノーマルエンジンを搭載した「S」も追加されました。

1970年11月にフルモデルチェンジとなり、3代目LC10-Ⅱ型にバトンタッチ。スティングレイルックと呼ばれる直線基調ながら低いスタイリングに生まれ変わり、さらに広くなった室内空間や、豪華装備が魅力の1つでした。
1971年には本格的な軽クーペのフロンテクーペ(LC10型)も派生し、1970年代を代表する軽自動車へと成長していきました。

 
 
 
 
 
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商用車を主力に展開していた先代のスズライトに変わり、乗用車専用設計となったことで、ライバル各車と十分渡り合えるクルマとなりました。
RR化による実用性の向上や、SSの発売によるスポーティさのアピールなどが功を奏したフロンテは、着々と販売台数を伸ばしました。こうしてスズキは、1970年代に軽自動車販売台数のトップに躍り出ることに成功しています。

 

 

 

【諸元】

 

 

スズキ・フロンテ(2代目LC10型)

全長×全幅×全高 2995mm×1295mm×1330mm
ホイールベース 1960mm
乗車定員 4名
エンジン LC10型 直列3気筒2ストローク 356cc(25ps/5000rpm)
LC10型 直列3気筒2ストローク 356cc(36ps/7000rpm)(SS/SSS)
駆動方式 RR
トランスミッション 4MT
タイヤサイズ 4.80-10 2P