【トヨタ】アバロン(XX10型)

北米トヨタの大型上級セダンとして発売されたアバロン。初代モデルは日本にも輸出され、国内でも販売されました。

高級感の乏しさから国内販売は低迷の一途を辿りましたが、セルシオに匹敵するほどの室内空間の広さが最大の売りでした。

 
 
 
 
 
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トヨタアバロン(XX10型)の歴史】

 

 

1980年代の北米では、日本の自動車メーカーは大衆車メーカーとして認識されていました。高級車市場は、メルセデスベンツBMWに代表される欧州車の独断場という状況の中、安価な大衆車として韓国車が進出を始め、日本のメーカーはシェアを奪われつつありました。そこに円高の影響も加わり、利益の確保が困難になっていき、北米市場で生き残るためには、利幅の大きい高級車市場に食い込む必要があったのです。

トヨタは1989年に、高級車販売チャネルのレクサスブランドを立ち上げました。当初のラインナップはLS(日本名:セルシオ)とES(日本名:カムリプロミネント)。特にLSは、欧州の同クラス車よりも格段に安い価格設定と、欧州車に勝る静粛性などが注目を集め、トヨタは大衆車メーカーから脱却していきました。

一方、レクサスではないトヨタブランドから、長年販売されていた上級セダンはクレシーダで、これは国内でいうマークⅡの北米向け仕様車。北米市場でも大衆車のFF化が進む中、FRセダンのクレシーダは1992年に販売を終了となりました。
ミドルセダンであるカムリが4代目V30型から北米向けを独立させ、XV10型(日本名:セプター)として大型化しましたが、大衆車のイメージが根付いているカムリではクレシーダの穴は埋められず、トヨタブランドのフラッグシップとなる新たなFF大型セダンの開発が必要となりました。

北米カムリのプラットフォームをベースに、ホイールベースを100mm延長し、サスペンションには4輪ストラット式を採用。
ブレーキは4輪ディスク式で、フロントにはベンチレーテッド型を採用しました。

エンジンは新開発され、200psの「1MZ-FE型(V型6気筒DOHC・2994cc)」を搭載。以降、国内でもウィンダム(2代目XV20/3代目XV30型)やハリアー(初代XU10/2代目XU30型)、アルファード(初代AH10型)などの大型FF車に多く搭載されました。
トランスミッションは4速ATのみ。

 
 
 
 
 
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スタイリングは曲線を多く取り入れた6ライトウインドウの4ドアセダンで、全長4845mm×全幅1785mm×全高1435mmのボディサイズ。当時のクラウン(9代目S140型)よりも大きな堂々としたサイズを誇りました。
厚めのライト類に、バンパー埋め込みの細長いウインカーなど、当時のLSをイメージしたかのようなフロントデザイン。

大型FF車の恩恵でもある、室内空間の広さがポイントで、室内長は2050mmを誇り、レクサス・LS(初代XF10型)の2010mmをも上回るものでした。
国内ではフロアシフトのみの設定でしたが、北米ではコラムシフト+ベンチシートの仕様もラインナップ。

1994年9月からケンタッキー州の工場で製造を開始し、日本では1995年5月から逆輸入して販売されました。
ベースグレードの「3.0」と、上級グレードの「3.0G」の2種類で、ABSや運転席SRSエアバッグトラクションコントロールが標準装備。3.0Gには、助手席SRSエアバッグやクルーズコントロール、CDチェンジャーも装備されました。販売価格は288万円と313万円。

1996年10月の改良では、デュアルエアバッグを全車に標準装備したほか、内外装のリファインを実施。5.8インチワイドマルチAVステーションをオプション設定しました。エンジンは10ps出力が向上し、210psとなりました。
この頃からは、韓国での試験販売も開始。日本車の輸入が禁止されていた韓国で、アメリカ車として販売されました。

 
 
 
 
 
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1997年10月にマイナーチェンジを実施し、衝突安全ボディのGOAを採用。前後デザインを変更したほか、登降坂変速制御システムを導入し、燃費を向上させました。

1999年6月に日本国内での販売は終了。北米では2000年まで生産が継続され、2代目XX20型にフルモデルチェンジとなり、国内向けにはプロナード(初代XX20型)として2004年まで販売されました。

 
 
 
 
 
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室内空間の広さが最大の売りだったアバロンでしたが、大型セダンはFRという概念がまだ根強かったこと、同価格帯のFFセダンであるウィンダムに対して高級さに欠けたことなどにより、国内販売は低迷しました。
日本と北米のニーズの違いが表れた結果であり、ラインナップが豊富で選択肢の多いトヨタならではの結果でもありました。

 

 

 

 

【諸元】

 

 

トヨタアバロン(XX10型)

全長×全幅×全高 4845mm×1785mm×1435mm(~1997.10)
4895mm×1790mm×1435mm(1997.10~)
ホイールベース 2720mm
乗車定員 5名
エンジン 1MZ-FE型 直列4気筒DOHC 2994cc(200ps/5400rpm)(~1996.10)
1MZ-FE型 直列4気筒DOHC 2994cc(210ps/5400rpm)(1996.10~)
駆動方式 FF
トランスミッション 4AT
タイヤサイズ 205/65R15