【スズキ】カルタス(初代AA33/41/43/53/AB33/41/43/51/53型)

軽自動車に力を注いできたスズキが、フロンテ800(C10型)以来の小型乗用車として発売したカルタス。ゼネラルモーターズとの共同開発で生まれたコンパクトカーで、軽自動車並みの低価格を実現しました。

国内では軽自動車の影に隠れる存在でしたが、国外市場ではスイフトとしてヒットしました。

 

 

 


【カルタス(初代AA33/41/43/53/AB33/41/43/51/53型)の歴史】

 

 

1977年に登場したダイハツシャレード(初代G10型)は、「リッターカー」という言葉を生み出した、コンパクトハッチバックのパイオニア

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その後に続いたのが1978年発売のトヨタスターレット(2代目P60型)で、ハッチバッククーペスタイルだった初代からダウンサイジング。そして1981年にホンダ・シティ(初代AA/VF型)がデビューすると、独特なボディスタイルが受けて好調な販売を見せました。1982年になると、満を持して日産・マーチ(初代K10型)が発売。
それぞれ排気量やボディサイズに多少の違いはあるものの、各メーカーのエントリーモデルとしてライバル関係にあり、鎬を削っていました。

出遅れていたスズキは、ジムニー8(SJ20型)や後継のジムニー1000(SJ40型)を除き、小型車登録のクルマは生産しておらず、ほぼ軽自動車メーカーでした。
スズキ初の小型乗用車は、1965年には発売されたフロンテ800(C10型)で、2ドアセダンに800ccのエンジンを搭載し、トヨタ・パブリカ(初代P10/20型)などと競合。当時の主力クラスであったことで激戦区と化し、販売は不調に終わっていました。1969年のフロンテ800販売終了以降、スズキは小型乗用車市場から一時撤退し、軽自動車に専念。カルタスは約14年ぶりの小型乗用車でした。

小型乗用車市場への参入を画策したスズキは、ゼネラルモーターズGM)と業務提携。シャシーやエンジンはスズキが設計し、内外装はGMが主導することで、世界で通用するものを目指しました。駆動方式はFFとし、当然ながらシャシーは新設計で、軽量なモノコックボディを採用。サスペンション周りには既存の軽自動車のコンポーネンツも一部に流用し、コストダウンを図りました。

エンジンは、小型・軽量・低燃費をコンセプトに新開発され、60psの「G10型(直列3気筒SOHC・993cc)」を搭載。これ以降、このG型エンジンはスズキの主力エンジンとして活躍しました。トランスミッションには4速MTと5速MTを設定。

当初は3ドアハッチバックのみの設定で、直線を基調とした台形フォルム。全長3585mm×全幅1530/1545mm×全高1350mmのボディサイズは、ライバル他車と大差はありません。
車両重量は620~660kgと非常に軽量で、燃費向上に一役買っています。

1983年10月にデビューし、商用登録となるライトバンも発売されました。バンは、後席と倒すと300kgの積載が可能でした。

1984年5月には、80psを発揮する「G10T型(直列4気筒SOHCターボ・993cc)」搭載車を追加し、同時に3速AT車も追加しました。
また、CMのイメージキャラクターに舘ひろしを起用し、インパクトの強い広告を展開したほか、「TACHI VERSION」なる特別仕様車も数回に渡って発売しました。

8月には、ホイールベースを100mm延長して2345mmとした5ドアハッチバックをラインナップ。さらに、75psの「G13型(直列4気筒SOHC・1324cc)」搭載車も追加されました。
この頃になると、米国市場ではGMからシボレー・スプリントの名称でも販売され、取り回しの良さや燃費の良さが評判を得て、高い人気を獲得しました。

1986年6月にはマイナーチェンジを行い、内外装をリフレッシュしたほか、リアサスペンションの形式も変更されました。さらに、「G13B型(直列4気筒DOHC・1298cc)」搭載車を設定し、1.0Lターボ車のインジェクション化も実施しました。
G13B型を搭載した「1300GT-i」は、モータースポーツのベース車としても活躍し、軽量さを活かしてラリーなどで好成績を収めました。

1988年9月にフルモデルチェンジとなりバトンタッチとなりましたが、2代目は上級移行し、初代の売りの1つだった価格も上昇してしまったため、しばらくの間は初代もラインナップを縮小した上で継続販売されました。その後はセダンやワゴンのバリエーションも増やしながら生産を続けた後、2000年にスイフト(初代HT51型)に後を継ぎ、現在に至っています。

国内生産中止後、中国の長春自動車やコロンビアのGMの向上に生産ラインを移設し、コロンビアではなんと2004年まで現地生産されていました。軽量で低燃費、そして扱いやすいサイズと色褪せないデザインなど、カルタスがそれだけ実用車として出来上がっていたということを意味しています。

 

 

 

【諸元】

 

 

スズキ・カルタス(初代AA41/AB41/51型)

全長×全幅×全高 3585/3670mm×1530/1545mm×1350mm(3ドア)
3785mm×1530/1545mm×1350mm(5ドア)
ホイールベース 2245/2345mm
乗車定員 5名
エンジン G10型 直列3気筒SOHC 993cc(60ps/5500rpm)
G10T型 直列3気筒SOHCターボ 993cc(80ps/5500rpm)
G10T型 直列3気筒SOHCターボ 993cc(82ps/5500rpm)
G13型 直列4気筒SOHC 1324cc(75ps/5500rpm)
G13B型 直列4気筒DOHC 1298cc(97ps/6500rpm)
駆動方式 FF/4WD
トランスミッション 3AT/4MT/5MT
タイヤサイズ 145SR12
165/65R13