【三菱】コルトギャランGTO(A50型)

三菱車のイメージを質実剛健で地味なものから、スタイリッシュでスポーティなものに変えたコルトギャラン。ギャランシリーズ最強のスポーティモデルとして発売されたのがコルトギャランGTOでした。

トランクリッド後端が跳ね上がったダックテールのスタイルが最大の特徴でした。

 
 
 
 
 
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【三菱・コルトギャランGTO(A50型)の歴史】

 

 

1960年代の三菱は、高級セダンのデボネア(初代A30型)と、小型車のコルトシリーズ、軽自動車のミニカ(初代LA20型)というラインナップ。1970年代を目前に、各メーカーから新型車が投入される中、コルトの後継車として1969年に発売されたのがコルトギャラン(初代A50型)でした。

コルトギャランは、ダイナウェッジラインと呼ばれるウェッジシェイプを採用し、それまでの質実剛健で地味な三菱車のイメージを覆す、スポーティでスタイリッシュなデザインとなりました。また、上級仕様のAⅡシリーズのトップグレードとして設定されたGSは、1.5Lエンジンを105psにまでチューンアップされ、同クラス最速を誇りました。さらに、1970年2月には2ドアハードトップモデルも追加され、好調な販売成績を記録しました。

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一方、当時の北米市場では、フォード・マスタングに代表されるスペシャリティカー(ポニーカー)が流行。大衆車のシャシーをベースに、スタイリッシュでクーペボディやハードトップボディを架装し、スポーティにチューンしたエンジンを搭載することで、比較的安価にスポーツカーの雰囲気が味わえました。
国内でも同様の手法が見られ始めたのが1970年頃で、その先駆けだったのがトヨタセリカ(初代A20/30型)と、このコルトギャランGTOの2台でした。

1.3Lと1.5Lを搭載していたコルトギャランに対し、GTOには1.6Lエンジンを用意。「4G32型(直列4気筒SOHC・1597cc)」が搭載され、100psのシングルキャブ仕様と、110psのSUツインキャブ仕様がラインナップされました。

ボディスタイルは2ドアハードトップクーペですが、ギャランハードトップとはドアパネルを共用するだけで、専用デザインのスタイリングを採用。
北米で流行していた、トランクリッド後端を跳ね上げるダックテールがデザイン上の特徴で、当時のキャッチコピーは「ヒップアップクーペ」。
ボディサイズは全長4125mm×全幅1580mm×全高1310mmで、ギャランハードトップに比べて60mmも低い全高でした。

 
 
 
 
 
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1970年10月のデビュー時には、シングルキャブ仕様の「MⅠ」と、ツインキャブ仕様の「MⅡ」の2グレード体制でスタートし、2か月遅れて投入されたのがトップモデルとなる「MR」。
MRには、DOHC化した「4G32型(直列4気筒DOHC・1597cc)」を搭載し、ソレックスのツインキャブレターで125psを発揮しました。このクラスでは当時最強のエンジンで、最高速度は200km/hに達し、0→400m加速は16.3秒を記録。サスペンションなどにも改良が加えられ、ラジアルタイヤを標準装備しました。
外観上も、ボンネット上のエアインテークやサイドストライプなど、よりスポーティに仕上げられました。
MRはこの仕様で112.5万円で販売され、コストパフォーマンスにも優れ、注目を集めました。

1972年2月、SOHCエンジンは1.7Lの「4G35型(直列4気筒SOHC・1686cc)」に変更。シングルキャブが105ps、ツインキャブが115psで、グレード名は「XⅠ」「XⅡ」となりました。
また、赤のみだった角型4灯テールライトは、ウインカーがアンバー色で独立しました。

1972年8月、排ガス規制の影響を受け、MRは生産を終了。短命に終わり、わずか835台の生産に留まりました。

 
 
 
 
 
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1973年1月のマイナーチェンジでは、前後デザインを変更。テールライトは「く」の字を基調としたものになりました。
また、グレード再編とともに2.0Lエンジンがラインナップされ、「4G52型(直列4気筒SOHC・1995cc)」が搭載され、115psのシングルキャブと、125psのツインキャブを用意しました。

1975年2月にもマイナーチェンジを受け、エンジンの改良を実施。3速AT車はこの時廃止されました。トップグレードの「GS-R」には、走行安定性を向上させるためエアダムスカートを装備。

1977年7月、昭和53年排ガス規制への対応が出来ず生産を終了。その後、在庫分が販売され、1978年3月に販売も終了しています。既に3世代目となっていたギャランの2ドアモデルであるギャランΛ(初代A120/130型)が後継車とされました。
その後、スタリオン(A180型)の後継車として「GTO」の名が復活し、三菱のトップスポーツモデルとして活躍しました。

 
 
 
 
 
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ギャランシリーズの最もスポーティなモデルとして華々しくデビューしたGTO。その高性能なスペックは大変魅力的なものでしたが、トップグレードの「MR」が早々に廃止されるなど、排ガス規制に苦しんだモデルでした。
また、同時期にデビューしたセリカのトップグレードである1600GTが、破格の87.5万円という低価格で販売されたことも、GTOにとっては後塵を拝す原因となりました。

 

 

 

【諸元】

 

 

 

三菱・コルトギャランGTO(A50型)

全長×全幅×全高 4125mm×1580mm×1310mm
ホイールベース 2420mm
乗車定員 5名
エンジン 4G32型 直列4気筒SOHC 1597cc(100ps/6300rpm)(~1972.2)
4G32型 直列4気筒SOHC 1597cc(110ps/6700rpm)(~1972.2)
4G32型 直列4気筒DOHC 1597cc(125ps/6800rpm)(1970.12~1972.8・MR)
4G35型 直列4気筒SOHC 1686cc(105ps/6300rpm)(1972.2~)
4G35型 直列4気筒SOHC 1686cc(115ps/6300rpm)(1972.2~1973.1)
4G52型 直列4気筒SOHC 1995cc(115ps/6000rpm)(1973.1~)
4G52型 直列4気筒SOHC 1995cc(125ps/6200rpm)(1973.1~)
駆動方式 FR
トランスミッション 3AT/4MT/5MT
タイヤサイズ 6.15-13 4P
165SR13
175/70HR13
185/70R13