【三菱】コルトギャラン(初代A50型)
ギャランの成功によって、質実剛健な三菱車のイメージを刷新し、スポーティなイメージに変えることに成功した三菱。
三菱を長年支えた主力モデルへと発展したギャランの誕生を振り返ります。
【三菱・コルトギャラン(初代A50型)の歴史】
1960年に戦後初の自社開発乗用車として誕生したのが三菱・500。1962年にはコルト600へと発展し、三菱の主力モデルとしてコルトシリーズがスタートしました。コルト600は1965年以降、800cc、1.0L、1.1Lと排気量拡大を続け、直接的なライバルはトヨタ・パブリカでした。
一方で、1963年には1.0L搭載の上級モデルとしてコルト1000が派生。さらに1965年にはデボネアとの間を埋めるためにコルト1500も誕生しました。その後コルト1000は排気量を拡大し、コルト1200まで発展。
パブリカなどのエントリークラスから、カローラやサニーなどの1.0Lクラス、そしてコロナやブルーバードなどの1.3～1.5Lクラスまでを、コルトシリーズでカバーしていたことになります。
1960年代後半になると、マイカー時代が到来し、高速道路も開通。モータリゼーションが本格的に発展し始め、1970年代に向けて各メーカーからは続々とモデルチェンジや新型車が投入されました。
そして三菱からは、コルト1500の後継として、コルトの名を冠したコルトギャランが1969年12月にデビューしました。
デビュー当初は4ドアセダンのみで、ジョルジェット・ジウジアーロのデザイン案をベースに、三菱社内のスタッフが手直ししたと言われる、スタイリッシュでスポーティなデザインで、「ダイナウェッジライン」と呼ばれるベルトラインのウェッジシェイプが特徴的でした。
標準仕様のAⅠと、上級仕様のAⅡの2シリーズ体制で、AⅠには「4G30型(直列4気筒SOHC・1289cc)」、AⅡには「4G31型(直列4気筒SOHC・1499cc)」を搭載し、それぞれ87psと95psを発揮しました。AⅡの最高速度は160km/hを達成していました。
また、AⅡにはトップグレードとして「GS」を設定。4G31型エンジンをツインキャブ仕様とし、105psまでチューンアップしており、最高速度は175km/hを達成し、当時のクラス最速モデルでした。
1970年2月には2ドアハードトップモデルを追加し、AⅡシリーズのみの設定で、GSを含む3グレードをラインナップ。
また、3ドアと5ドアの2種類のライトバン「エステートV」も同時に追加されました。
10月には、コルトギャランの基本設計を流用しつつ、新たなスポーツモデルとしてコルトギャランGTOがデビュー。
1971年3月にはマイナーチェンジを実施し、角型2灯だったヘッドランプは丸型4灯に変更。
同年9月にも再度マイナーチェンジを受け、排気量を拡大。1.3Lエンジンは1.4Lの「4G33型(直列4気筒SOHC・1439cc)」に、1.5Lエンジンは1.6Lの「4G32型(直列4気筒SOHC・1597cc)」にそれぞれ置き換えられました。1.4Lは92ps、1.6Lはシングルキャブが100ps、ツインキャブが110psまでパワーアップ。
1972年9月には、1.6L車に5MTを搭載した新グレード「16L GS-5」を追加。
1973年1月、2ドアハードトップのGSのエンジンを、115psを発揮する「4G35型(直列4気筒SOHC・1686cc)」のツインキャブ仕様に変更。
そして6月にはフルモデルチェンジにより生産終了となりました。2代目からはコルトの名が消え、単にギャランと名乗るようになります。その後、ギャランΣ（4ドア）とギャランΛ（2ドア）の2車種時代も含め、ボディサイズを拡大しながら8代目まで続き、2005年に国内生産を終了しました。
デボネアとコルトによる、質実剛健で地味な三菱車のイメージは、スタイリッシュでスポーティなコルトギャランの登場と、2ドアモデルやGTOなどのスポーツモデルを派生させたことで、スポーティなイメージを確立。以降のモータースポーツで見せつけた高い実力も、このコルトギャランが登場していなければ見られなかったでしょう。
【諸元】
三菱・コルトギャラン（初代A50型）
| 全長×全幅×全高 | 4080mm×1560mm×1385mm（4ドアセダン） |
| 4080mm×1560mm×1370mm（2ドアハードトップ） | |
| ホイールベース | 2420mm |
| 乗車定員 | 5名 |
| エンジン | 4G30型 直列4気筒SOHC 1289cc（87ps/6300rpm） |
| 4G33型 直列4気筒SOHC 1439cc（92ps/6300rpm） | |
| 4G31型 直列4気筒SOHC 1499cc（95ps/6300rpm） | |
| 4G31型 直列4気筒SOHC 1499cc（105ps/6700rpm） | |
| 4G32型 直列4気筒SOHC 1597cc（100ps/6300rpm） | |
| 4G32型 直列4気筒SOHC 1597cc（110ps/6700rpm） | |
| 4G35型 直列4気筒SOHC 1686cc（115ps/6300rpm） | |
| 駆動方式 | FR |
| トランスミッション | 3AT/4MT/5MT |
| タイヤサイズ | 6.15-13 4P |
