【トヨタ】ランドクルーザー(2代目J20/30型)

軍用車としてスタートしたランドクルーザーは、1955年に初のフルモデルチェンジを受けて2代目へ移行。悪路走破性の高さに加えて、居住性や乗り心地も向上させるなど、民間向けに相応しいものに生まれ変わりました。

本格的な輸出も始まり、その信頼性の高さから海外で高評価を受け、世界を代表する4WD「ランドクルーザー」の歴史が始まりました。

 

 

 


トヨタ・ランドクルーザー(2代目J20/30型)の歴史】

 

 

警察予備隊(後の陸上自衛隊)の競争入札のために開発されたトヨタジープBJ型でしたが、その入札は本命の三菱・ジープが勝利。入札に負けたトヨタと日産は、民需に活路を見出し、主に警察や消防向けに1953年から生産を開始しました。
1954年に「ジープ」の名称が本家ウイリス社の商標権に抵触するため、現在まで続く「ランドクルーザー」に改称されました。

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もともとBJ型は軍用車両として開発されていたこともあり、外観は無骨で、居住性も悪かったため、民間向けには大きな改善が必要でした。そこで1955年にフルモデルチェンジを実施し、2代目J20型が誕生しました。

シャシーは、先代に引き続き、耐久性に優れるラダーフレームを採用。ホイールベースは、多岐に渡る用途に応えるべく、ショート(2285mm)とミドル(2430mm)の2種類が設定されました。
サスペンションは4輪リーフスープリング式が先代から踏襲しつつ、スプリングの改良によって乗り心地を改善しました。
駆動方式はパートタイム4WDの他に、FR車も用意。

エンジンは85psの「B型(直列6気筒OHV・3386cc)」を先代から踏襲。
トランスミッションは4速MTで、シンクロメッシュ化され、操作性が向上しました。

ボディタイプは、ソフトトップ、ハードトップ、ピックアップ、バン、消防用など、多彩なラインナップを展開。このうちソフトトップとハードトップでショートが選択できました。
先代では無骨なイメージだったスタイリングは、より洗練されたものとなりました。フェンダー上に設置されていたヘッドランプは埋め込み式となり、ボンネットフードも丸みを持たせたデザイン性のあるものになるなど、民間向けに相応しいものに生まれ変わりました。

この頃から、日本車も海外へ輸出をし始め、トヨタトヨペット・クラウン(初代RS/S20/S30型)と共に、ランドクルーザーの輸出を開始しました。
クラウンは、北米市場では出力不足や性能不足、信頼性の低さなどから通用しなかった一方、ランドクルーザーの耐久性や信頼性の高さが高評価を受けました。

発売から3ヶ月後の11月には、先代で消防用シャシーに搭載されていた「F型(直列6気筒OHV・3878cc)」搭載車も設定。105psを発揮しました。
翌年にはB型エンジンは廃止となり、F型エンジンに一本化されました。後にF型は、125psにまで出力を向上。

1959年、ロングホイールベース(2650mm)の4ドアワゴンを追加。ランドクルーザー初のステーションワゴンモデルとなりました。
型式は20番台を使い切っていたため、30番台を使用したFJ35V型が充てられました。
実際のところは、翌年に発売されるJ40系の前倒し投入であり、海外市場からの様々な需要に応えたものでした。

1960年1月にフルモデルチェンジとなり、3代目J40系にバトンタッチ。構造的に大きな変化はないものの、特に海外市場での好調さを受け、外観をブラッシュアップしてスタイリッシュさを演出し、内装や機能面を向上させて、居住性アップに応えたモデルでした。J40系は、1984年のJ70系発売まで24年に渡って販売されたロングセラーモデルとなりました。

初めて民生用として開発された2代目ランドクルーザー。国内ではまだこの手のクルマが自家用車になることは少なく、一部の業務用に限られましたが、海外では安定した高い人気を誇るモデルとなりました。
現在でもランドクルーザーは、世界中で活躍するトヨタを代表するモデルの1つですが、その道を歩き始めた第1歩が、このJ20/30型でした。

 

 

 

【諸元】

 

 

トヨタ・ランドクルーザー(2代目J20/30型)

全長×全幅×全高 3838mm×1665mm×1855mm(ショート)
ホイールベース 2285/2430/2650mm
乗車定員 2/4名
エンジン B型 直列6気筒OHV 3386cc(85ps/3200rpm)
F型 直列6気筒OHV 3878cc(105ps/3200rpm)
F型 直列6気筒OHV 3878cc(110ps/3400rpm)
F型 直列6気筒OHV 3878cc(125ps/3600rpm)
駆動方式 FR/4WD
トランスミッション 4MT