【トヨタ】スターレット(2代目P60型)

トヨタの初の大衆車パブリカを源流とするスターレット。1980年代を目前にハッチバックに生まれ変わり、スモールカーとしての合理的なパッケージングに生まれ変わりました。

軽量さと足回りの良さで軽快な走りを実現し、欧州でも高評価を受けました。

 
 
 
 
 
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トヨタスターレット(2代目P60型)の歴史】

 

 

1.0L以下クラスの大衆車として1961年にデビューしたパブリカ(初代P10/20型)は、低価格を実現するために簡素化しすぎ、当初の販売は低迷。その後、豪華さや高級感を演出することで息を吹き返し、一転してヒット作となりました。

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1969年には2代目P30型へモデルチェンジし、1973年に派生したのがパブリカスターレット(初代P40型)。スポーティな上級モデルを追加することで、ライバルの日産・チェリー(初代E10型)に対抗しました。

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ボディサイズは小さいながらも、装備や価格の面では1クラス上のカローラ(3代目E30/50型)と遜色ない程度にまで成長しており、エントリーカーやスモールカーというクラスの本来の魅力である、手軽さや経済性を失いつつありました。2代目では、この魅力を再発見するパッケージングを目指しました。

スモールカーの本場である欧州市場では、フォルクスワーゲン・ゴルフ、オペル・カデットCシティ、フィアット・127、アウトビアンキ・A112、ルノー・5、プジョー・104など、多くの大衆車メーカーのスモールカーが既にハッチバック車主流。
スターレットの開発には、これらの優れたパッケージングやユーティリティ性が活かされ、全長3.7m級の1.3Lハッチバックとして生まれ変わりました。
国内市場では、ハッチバックの先駆車ながら上級移行していたホンダ・シビック(2代目ST/SL/SR/SS/WD/VC型)と、「リッターカー」として大ヒットしていたダイハツシャレード(初代G10型)の、ちょうど間のクラスとなりました。

シビックシャレード、同年にデビューする日産・パルサー(初代N10型)がFFを採用する中、スターレットは引き続きFRレイアウトとしました。
サスペンションはフロントがストラット式、リアには新開発の4リンク式を採用したほか、ステアリング機構には遊びの少ないラック&ピニオン式を採用。

エンジンは、先代に搭載されていた3K型の排気量を拡大した「4K-U型(直列4気筒OHV・1290cc)」で、72psの最高出力を発揮。700kg級の軽い車重には余裕のあるエンジンでした。
トランスミッションは4速MT、5速MT、2速ATを用意。

標準モデルのボディサイズは、全長3680mm×全幅1525mm×全高1380mm。シビックに倣ったパルサーやミラージュ(初代A150型)、ファミリア(4代目FA4型)などの、全長3800~3900mmクラスより200mm程度小さな車格としました。
先代比でホイールベースを35mm延長した上で、ボンネットを100mm短縮し、FRレイアウトのままでも室内空間を広く取りました。

 
 
 
 
 
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1978年2月にモデルチェンジとなり、3ドアに5グレード、5ドアに4グレードをラインナップ。
構成は、3ドア車のみに設定される最廉価グレードの「スタンダード」、廉価グレードの「DX」、標準グレードの「XL」、大型バンパーや13インチラジアルタイヤを装着したスポーティグレードの「S」、木目インパネを採用した上級グレードの「SE」。

 
 
 
 
 
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10月には、パブリカバン(2代目P30型)の後継として、スターレットバンを追加。リアオーバーハングを延長して荷室を確保し、リアサスペンションは車軸式としました。
エンジンは「3K-HJ型(直列4気筒OHV・1166cc)」を搭載。

 
 
 
 
 
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1980年5月にマイナーチェンジを実施。丸型2灯式だったヘッドライトが角型2灯式となりました。バンは丸型2灯式のまま、ライトの周囲に角型のベゼルを配置。
足回りの改良も行われ、乗り心地を改善しました。

1981年8月に2度目もマイナーチェンジを受け、エンジンの吸気系が改良された通称LASREに変更となり、74psに出力アップ。2速だったATは3速化されました。

1982年1月には、バンのエンジンを「4K-J型(直列4気筒OHV・1290cc)」に変更されました。

 
 
 
 
 
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1982年8月、最後のマイナーチェンジを実施し、車幅灯をヘッドランプ横に移動。バンのヘッドランプも角型2灯式に変更されました。
また、インジェクション化した「4K-EU型(直列4気筒OHV・1290cc)」搭載車も追加されました。

1984年10月にフルモデルチェンジを受け、3代目P70型にバトンタッチ。バンも同時にモデルチェンジされましたが、ロングボディではなく、ハッチバックと同じ車体が使われました。
この頃には同クラスのライバルも増え、駆動方式をようやくFFに転換して対抗。経済的な実用ハッチバックと、ターボエンジンを搭載したホットハッチの2つの顔を持ち、「かっとび」の愛称でも親しまれました。

 
 
 
 
 
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ハッチバック車がようやく馴染んできた1970年代。その多くは、先駆車であるシビックをライバルとし、エントリーファミリーカーとして売り出されました。トヨタはそのクラスをコルサ/ターセル(初代L10型)に任せ、スターレットはより小さなスモールカーとしての位置づけられたことにより、増えつつあった女性ドライバーや、より経済的なクルマを求めるユーザーに受け入れられました。
スターレットの系譜は、その根本的なコンセプトを変えず、現代のヤリスに受け継がれています。

 

 

 

【諸元】

 

 

トヨタスターレット(2代目P60型)

全長×全幅×全高 3680/3725/3745mm×1525/1535mm×1370/1380mm
3850mm×1525mm×1395mm(バン)
ホイールベース 2300mm
2325mm(バン)
乗車定員 2/5名
エンジン 3K-HJ型 直列4気筒OHV 1166cc(67ps/5800rpm)(バン・~1982.1)
4K-J型 直列4気筒OHV 1290cc(72ps/5200rpm)(バン・1982.1~)
4K-U型 直列4気筒OHV 1290cc(72ps/5600rpm)(~1981.8)
4K-U型 直列4気筒OHV 1290cc(74ps/5600rpm)(1981.8~)
4K-EU直列4気筒OHV 1290cc(79ps/5000rpm)(1982.8~)
駆動方式 FR
トランスミッション 2AT/3AT/4MT/5MT
タイヤサイズ 5.00-12 4P / 5.00-12 8P(バン)
6.00-12 4P
155SR12
145SR13