【日産】プレジデント(初代150型)

1960年代、国産のショーファードリブンカーの要望が強くなる中で、日産が1965年に発売したのがこのプレジデント。

トヨタ・センチュリーと競合する、長い歴史が始まりました。

 

 

 


日産・プレジデント(初代150型)の歴史】

 

 

1960年代、様々な国産車が次々とデビューする時代が到来すると、それまで欧米車に頼っていたショーファードリブンカーを、国産メーカーが開発することが要望されるようになりました。

まずは既存車種を大型化して対応しようと、2台のクルマがデビュー。それが、1963年発売の日産・セドリックスペシャル(50型)と、1964年発売のトヨタ・クラウンエイト(G10型)でした。
セドリックスペシャルは、セドリック(初代30型)の全幅は5ナンバーサイズのままに、ホイールベースと全長を延長し、直列6気筒の2.8Lエンジンを搭載したモデル。
一方のクラウンエイトは、クラウン(2代目S40型)のホイールベース、全長、全幅を拡大し、V8の2.6Lエンジンを搭載したモデルで、全幅は1845mmにまで達していました。

要人を乗せるショーファードリブンカーには、高い信頼性が欠かせない中で、専用設計による高級乗用車の開発に最初に立ち上がったのは、技術の日産でした。

2850mmを誇るホイールベースはセドリックスペシャルよりも長いもので、フロントにはダブルウィッシュボーン式、リアにはリーフ式のサスペンションを装備しました。

エンジンラインナップは、180psを誇る「Y40型(V型8気筒OHV・3988cc)」と、130psの「H30型(直列6気筒OHV・2974cc)」の2種類。
Y40型は、サイレントチェーンなどの採用により静粛性を向上させ、4バレルキャブレターやデュアルエギゾースト、アルミ製シリンダーヘッドを採用した強力エンジン。
一方のH30型は、ハイヤーでの使用を想定して経済性に考慮したものでした。
トランスミッションは3速ATと3速MTで、ボルグワーナー製のATは2速発進が出来ることが特徴でした。

全長5045mm×全幅1795mm×全高1460mmのボディサイズは堂々としたもので、国産乗用車としては初めて全長5mを超えました。一方の全幅は、同クラスのアメリカ車よりも控え目なもので、日本の道路事情に考慮されたもの。

当時の北米のトレンドであった、水平を基調としたデザインは、元々はセドリック(2代目130型)用に計画されていたものでしたが、セドリックがピニンファリーナによるデザインに差し替えられたために、サイズ拡大とリファインされて転用されたものでした。

余裕のある室内は、当時のアメリカのフルサイズセダンよりも広いものでした。前席はベンチシートやセパレートシート、セミセパレートシートなどのバリエーションがあり、シート地を合わせると、実に42種類の組み合わせから選べるようになっていました。

グレード体制は下から「A」「B」「C」「D」の4種類で、AとBにH30型エンジン、CとDにY40型エンジンを搭載していました。
最高級仕様のDには、国産車初のパワーステアリングなどのアクセサリーをフル装備しており、車両価格は300万円に達し、当時としてはあまりに突出した高額さでした。

1965年10月にデビューすると、当時の佐藤栄作首相の公用車や、高松宮家の御料車としても納入されたほか、大企業や官公庁に多数納入されました。

1968年10月の改良では、安全装備の追加やボディカラーの追加が行われました。

1971年10月にマイナーチェンジが実施され、ボルグワーナー製だったATは自社製に変更。ボンネット両端のオーナメントの形状変更や、リアデザインの変更が行われました。また、グレードが見直されてCが廃止されました。

1973年8月にフルモデルチェンジとなり、2代目250型にバトンタッチ。フルモデルチェンジとは言うものの、ビッグマイナーチェンジ相当でしたが、エンジンとボディが大型化され、1990年まで生産されました。
その後、3代目G50型、4代目F50までモデルチェンジされ、2010年に生産を終えました。

 
 
 
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センチュリーとは終始ライバル関係にありましたが、2年早くデビューしたプレジデントは、1980年代まではセンチュリーの2倍の販売台数を誇り、日本のショーファードリブンの代名詞的存在でした。1990年代には形勢が逆転してしまいますが、いち早くデビューを飾ったブランド力が、勝利の決め手となったのでした。

 

 

 

 

【諸元】

 

 

日産・プレジデント(初代150型)

全長×全幅×全高 5045mm×1795mm×1460mm
ホイールベース 2850mm
乗車定員 5/6名
エンジン H30型 直列6気筒OHV 2974cc(130ps/4400rpm)
Y40型 V型8気筒OHV 3988cc(180ps/4800rpm)
駆動方式 FR
トランスミッション 3AT/3MT
タイヤサイズ 7.00-14 6P