【トヨタ】bB(初代XP30型)

1990年代後半にコンパクトカー市場も多様化を迎え、日産・キューブが大ヒット。トヨタがこれに対抗して発売したファンカーゴに続いて、2000年に発売されたのがbBでした。

カスタマイズを前提としたクルマで、若者を中心に人気を博しました。

 

 

 


トヨタ・bB(初代XP30型)の歴史】

 

 

1990年代の国内市場では、多様化が進んだRVブームによって、ミニバンやステーションワゴンSUVなどが人気となり、乗用車の乗り味と、使い勝手を兼ね備えるクルマが求められるようになりました。
1990年代後半になると、かつて背の低いスタイルが主流だったコンパクトカー市場でも、コンパクトハイトワゴンという新しいジャンルが誕生しました。

先陣を切ったのは1998年発売の日産・キューブ(初代Z10型)。

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マーチをベースに、全高を200mmも高く設定したボクシーなスタイリングで、シンプルさと使い勝手を考慮したパッケージングで大ヒットとなりました。

トヨタはこれに対抗して、ファンカーゴ(XP20型)を1999年に発売。ヴィッツ(初代XP10型)をベースに開発したトールワゴンで、欧州風な曲線を多用したスタイリングに、可愛らしいデザインが特徴的で、女性をメインターゲットに開発されました。
さらに、男性をメインターゲットにした新たなトールワゴンとしてbBを開発。ファンカーゴとbBのキャラクターの異なる2車種でキューブに対抗しました。

ヴィッツファンカーゴとプラットフォームは共有し、ホイールベースファンカーゴと共通。駆動方式はFFと4WDが設定され、サスペンション形式も共通でした。フロントがマクファーソンストラット式、リアはFF車がトーションビーム式、4WD車が4リンク式。

エンジンは、88psの「2NZ-FE型(直列4気筒DOHC・1298cc)」と、110psの「1NZ-FE型(直列4気筒DOHC・1496cc)」の2種類が用意されました。
トランスミッションは全車ATで、コラム式が採用されました。

ボディサイズは、全長3825/3845mm×全幅1690mm×全高1640/1645mm。直線基調のボクシーなスタイリングで、フロントウィンドウは立てられ、典型的な2ボックススタイルの北米的なものとして、若い男性をメインターゲットにしました。
そのボディ形状から、室内は広く実用性が高いことや、前後の見切りが良く、車両間隔が掴みやすい点などが功を奏し、老若男女から支持される結果となり、大ヒットモデルとなりました。

水平基調のインパネは、丸型のセンターメーターを配置した特徴的なもの。フロントシートはベンチシートを採用し、左右独立のスライドとリクライニングが可能。FF車の場合にはリアシートもスライドが可能で、6:4の分割可倒式を採用しました。
安全装備も充実しており、全車にデュアルエアバッグやブレーキアシスト、ABSなどが標準装備されました。

bBが発表されたのは2000年1月の東京オートサロン。カスタマイズカーのイベントである東京オートサロンで発表されることは異例で、しかもbBのブースにはノーマルカーは展示されず、全てがカスタムカーでした。
展示車は、トヨタのカスタマイズ部門であるモデリスタや、当時人気だったアフターマーケットメーカー8社のエアロパーツを纏ったもの。実際にこの8社のエアロパーツは、全国のネッツ店で購入して装着することが出来ました。

2001年6月、車体後部をピックアップトラックにした「オープンデッキ」を追加。アウトドアなどの遊びに似合うユニークなクルマとして発売しました。
後席ドアは小型化されて逆ヒンジとなり、観音開き。リアコンビネーションランプを変更する必要が生じたため、ハイラックス(6代目N140)のものを流用しています。また、リアウィンドウはハッチ式に開閉が可能でした。
そのユニークさが注目を浴びましたが、実用性の観点から販売は不振で、2003年1月には生産終了しました。

 
 
 
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2003年4月にマイナーチェンジ。外観上の変更点は、バンパーの大型化と、リアナンバープレートの取付位置変更。バンパーからバックドアに移されました。
インパネのデザインも変更されたほか、電気式バックドアオープナーや、センターロアボックスと呼ばれる便利な収納も全車に標準装備しました。

特別仕様車の発売を、コンスタントに年2回ほどのペースで続けながら、2005年12月にフルモデルチェンジを迎え、2代目QNC20型にバトンタッチ。
箱型のスタイリングは継承しつつ、うねりを効かせて迫力のあるデザインを採用し、好調な販売を記録しました。その後、2016年に車種整理の対象となり、生産を終了しました。

カスタマイズを前提としたクルマとして発売されたbBは、その狙い通り、若い男性を中心に大ヒットを記録し、多くのカスタマイズメーカーから登場したパーツによって、様々なカスタマイズがされました。
さらに、そのボクシーなスタイリングから生まれたパッケージングの高さによって、中高年にも支持を受けるという、うれしい誤算もあり、2000年代を代表するクルマの1つになったのでした。

 

 

 

【諸元】

 

 

トヨタ・bB(初代XP30型)

全長×全幅×全高 3825/3845mm×1690mm×1640/1645mm(~2003.4)
3945mm×1690mm×1640/1645mm(2003.4~)
3895mm×1690mm×1670mm(オープンデッキ)
ホイールベース 2500mm
乗車定員 5名
エンジン 2NZ-FE型 直列4気筒DOHC 1298cc(88ps/6000rpm)
1NZ-FE型 直列4気筒DOHC 1496cc(110ps/6000rpm)(FF車)
1NZ-FE型 直列4気筒DOHC 1496cc(105ps/6000rpm)(4WD車)
駆動方式 FF/4WD
トランスミッション 4AT
タイヤサイズ 185/65R15