【日産】キャブオール(初代C40/140型)

ボンネットトラックからキャブオーバートラックへ移行した過渡期に登場したキャブオール。

頑丈で快適でたくさん積めるトラックとして、ユーザーが求める姿を実現しました。

 

 

 


【日産・キャブオール(初代C40/140型)の歴史】

 

 

1950年代、トラックのスタイルの主流はボンネットトラックでした。日産は、小型トラックのダットサントラック(3代目120型)と、5t積級の大型トラック(5代目580型)との間を埋める車種として、ジュニア(初代B40/140型)を1956年に発売。
当時ノックダウン生産していたオースチンA50ケンブリッジ(B130型)用の、50psの1.5Lエンジンを搭載した、1.75t積のボンネットトラックで、ライバル他車より最大積載量が多いこと、荷台長が長いこと、耐久性に優れていたことなどから、評判の良いモデルでした。

ジュニアが評判になると、そのタフさのままに、さらに荷台の広いトラックが求められるようになり、合理的なキャブオーバースタイルのトラックとして開発されたのが、ジュニアキャブオールでした。1957年にC40型として発売されました。

シャシーやエンジンはジュニアのものを流用してキャブオーバー化。荷台長は、ジュニアの2130mmに対して、2825mmのロングデッキを実現しました。最大積載量も2tに拡大され、積載性能としてはジュニアより数段向上し、日に日に増す輸送需要に応えられるトラックとなりました。

エンジンは「1H型(直列4気筒OHV・1489cc)」で、ジュニアと同様の50ps。前述のようにオースチンA50ケンブリッジ用のエンジンで、原型はオースチンで開発されたもの。

ジュニアのボンネット部分にキャビンを架装しただけの設計で、キャビン中央にはエンジンの大きな出っ張りがあり、乗車定員は2名。
エンジンの真上にキャビンがあるため、騒音が酷いことや、夏場はエンジンの熱で暑いこと、メンテナンス時には前方にエンジンを引き出す必要があることなどが課題でした。次第に、快適性やメンテナンス性を向上して欲しいという声が聞かれるようになりました。

1958年には、エンジンの最高出力が57psに引き上げられました。

1959年からは、キャブオールのシャシーセミモノコック構造のボディを架装した、「キャブオールマイクロバス」を発売。17人乗りのマイクロバスながら、サイズはキャブオールと変わらない全長4600mm程度で、現代で言えばNV350キャラバン(5代目E26型)の4ナンバー標準バンと同等サイズに、17人が乗車できたことになります。生産は新日国工業京都工場が担当しました。

1960年には大幅な改良を実施。新たにC140型に生まれ変わりました。外観はフロントグリル周りのデザイン変更程度でしたが、エンジンの搭載位置を後方に移動させることで、3名乗車を可能にしました。足元が広くなり、遮音や断熱対策によって快適性は大幅に向上。中央のシートを外すことでサービスリッドが現れる方式によってメンテナンス性も向上しました。
エンジンも変更され、71psの「G型(直列4気筒OHV・1488cc)」を搭載。同年にデビューしたセドリック(初代30型)と同じユニットが採用されました。
また、マイクロバスもカタログモデル化され、20人乗りも追加しました。

1961年、キャブオールマイクロバスの車名が変更され、「キャブオールエコー」となり、サブネームが与えられました。

1962年には、こちらもセドリックと同様の「H型(直列4気筒OHV・1883cc)」に変更され、85psにまでパワーアップとなりました。
このタイミングで、車名からジュニアが取れ、キャブオールとして独立しました。またキャブオールエコーは「エコー」として独立。

1963年のマイナーチェンジでは、ヘッドランプとウインカーが一体式のフロントマスクに変更となりました。エコーには、特装車扱いのロングホイールベース・24人乗り仕様車も登場しました。

1964年、60psの「SD22型(直列4気筒OHVディーゼル・2164cc)」搭載車を追加。

1965年には、ガソリンエンジンは92psの「H20型(直列4気筒OHV・1982cc)」に変更、ディーゼルエンジンのSD22型は65psにパワーアップしました。

1966年8月まで販売され、2代目C240型にフルモデルチェンジ。より高出力エンジンに変更になり、4灯式ヘッドランプを備えるデザインとなるなど、商用車も高速時代に対応していきました。
その後、プリンス自動車をルーツに持つクリッパーと姉妹車関係になった後、1981年からはアトラス(初代H40型)として生まれ変わりました。

 
 
 
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戦前から歴史を持つダットサントラックの豊富な経験を活かし、耐久性と快適性を備えたキャブオーバートラックを実現しました。
上向きの国内経済で物流量が増える中、積載性の向上を望む声に応えたことで、キャブオーバータイプが国内のトラック市場の主流となったのです。

 

 

 

【諸元】

 

 

 

日産・キャブオール(初代C40/140型)

全長×全幅×全高 4555-4650mm×1675mm×1990mm(標準トラック/ライトバン
5515mm×1935mm×2050mm(ロングボディトラック)
4580-4695mm×1675mm×1990/2390mm(マイクロバス14/17人乗)
5100-5190mm×1850mm×2210-2275mm(マイクロバス17/20人乗)
5970mm×1850mm×2275mm(マイクロバス24人乗)
ホイールベース 2390mm
2990mm(ロングボディトラック/マイクロバス24人乗)
乗車定員 2/3/6/14/17/20/24名
エンジン 1H型 直列4気筒OHV 1489cc(50ps/4400rpm)(~1958)
1H型 直列4気筒OHV 1489cc(57ps/4400rpm)(1958~1960)
G型 直列4気筒OHV 1488cc(71ps/5000rpm)(1960~1962)
H型 直列4気筒OHV 1883cc(85ps/4800rpm)(1962~1965)
H20型 直列4気筒OHV 1982cc(92ps/4800rpm)(1965~)
SD22型 直列4気筒OHVディーゼル 2164cc(60ps/4000rpm)(1964~1965)
SD22型 直列4気筒OHVディーゼル 2164cc(65ps/4000rpm)(1965~)
駆動方式 FR
トランスミッション 4MT
タイヤサイズ 7.00-15 6P / 7.00-15 6P
7.00-15 6P / 7.00-15 10P
7.00-15 8P / 7.00-15 10P
7.00-15 6P / 7.50-15 8P
7.00-15 6P / 7.50-15 10P
7.00-15 8P / 7.00-15 12P