【スズキ】エスクード(初代TA01/11/31/51/TD01/11/31/51/61型)

国内市場では空白地帯だった1.6Lクラスにスズキが送り込んだSUV。ライトクロカンという新ジャンルを作り上げました。

本格クロカン並みの悪路走破性を持ちつつ、乗用車としても十分使える4WD車として大ヒットしました。

 

 

 


スズキ・エスクード(初代TA01/11/31/51/TD01/11/31/51/61型)の歴史】

 

 

1980年代の国内市場では、RVブームが巻き起こりました。三菱・パジェロ(初代L040/140型)やトヨタハイラックスサーフ(初代N60型)、いすゞ・ビッグホーン(初代UBS12/13/17/52/55型)、日産・テラノ(初代WD21型)など、ピックアップトラックをベースにした本格4WD車がその中心で、トヨタ・ランドクルーザー(J60/70系)や日産・サファリ(2代目Y60型)といった、大柄なRV車にも人気が集まっていました。

そんな中で1988年5月にデビューしたエスクードは、ジムニーで小型RVのノウハウを持つスズキが、国内市場で空白地帯だった1.6Lクラスに送り込んだ新たなジャンルのRV車。

基本的なメカニズムは、ジムニー譲りのラダーフレーム構造。サスペンションは、フロントはマクファーソンストラット式で独立懸架でしたが、リアにはトレーリングアームにセンターAアームリジッドを組み合わせた意欲的なもので、フロントのストロークの短さを補っています。
4WD機構はシンプルなセンタースルー方式を採用したパートタイム4WD。

エンジンが新設計で、82psを発揮する「G16A型(直列4気筒SOHC・1590cc)」の1種類。シリンダーブロックやピストンはアルミ製、中空式カムシャフトなどを採用して軽量化が図られました。
トランスミッションは5速MTと3速ATが用意され、これに2速の副変速機が組み合わされました。

当初のボディタイプは2種類で、3ドアハードトップと2ドアコンバーチブルハードトップには4ナンバー登録のバンも用意されました。
ボディサイズは全長3560mm×全幅1635mm×全高1665mmと扱いやすいサイズとされ、フラッシュサーフェス化されたスタイリングは無骨さを感じさせない都会派。直線基調のデザインで、フロントノーズはスラントし、フロントウインドウは立てられ、前後のブリスターフェンダーの張り出しが特徴的。

136.4万円~165.3万円という低価格で発売されると、それまでになかったジャンルであることと、低価格さが受けて大ヒット。「ライトクロカン」という新ジャンルを作り上げました。

1989年5月と10月には、「ヘリーハンセンリミテッド」と「ゴールドウィンリミテッド」を発売。スポーツ用品ブランドとコラボレーションした特別仕様車で、一躍人気グレードとなりました。

1990年8月にはマイナーチェンジを実施。エンジンが8バルブから16バルブに変更され、これにより最高出力は100psに向上しました。AT車は3速から4速に変更。また、4ナンバーバンは廃止されました。

1990年9月には、ホイールベースを280mm、全長を415mm延長し、5ドア化したロングボディの「ノマド」を追加しました。
さらに10月には、コンバーチブルの後部をハードトップ化させた「レジントップ」も追加されました。

1994年12月のマイナーチェンジでは、エンジンラインナップを充実させました。追加されたのは「H20A型(V型6気筒DOHC・1998cc)」と「RF型(直列4気筒SOHCディーゼルターボ・1998cc)」の2種類。
H20A型は、スズキ初のV6エンジンで140psを発揮。RF型はスズキ製ではなくマツダから供給されたもので、その見返りとして1995年2月からはマツダ・プロシードレバンテ(初代TF11/31/TJ11/31型)としてOEM供給を開始しました。
また、フロントマスクや内装のリファインが施されたほか、フレームの強化やトレッドの拡大などで、重量や出力の増加に対応しました。

1996年10月には「H25A型(V型6気筒DOHC・2493cc)」搭載モデルを追加。スズキ初の3ナンバー登録車となりました。
また、2.0L車は「J20A型(直列4気筒DOHC・1995cc)」に変更されたほか、ノマドのサブネームは消滅し、「3ドア」「5ドア」の名称に変更されました。

1997年10月にフルモデルチェンジとなり、生産終了。2代目では、オフロード性能は継続しつつ、より洗練されたスタイリングと、快適性や多用途性に優れた内装パッケージングを実現しました。

 
 
 
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オフロードでも街乗りでも優れた走行性能を発揮するエスクードは、トヨタRAV4(初代XA10型)やホンダ・CR-V(初代RD1/2型)など、1990年代以降に大ヒットするクロスオーバーSUVにも多大な影響を与えました。その後現代でも人気ジャンルとなっている、スタイリッシュな都会派SUVのパイオニアでした。

 

 

 

 

【諸元】

 

 


スズキ・エスクード(初代TA01/11/31/51/TD01/11/31/51/61型)

全長×全幅×全高 3560/3695mm×1635mm×1665mm(3ドア・~1994.12)
3560/3715mm×1635/1695mm×1660/1665mm(3ドア・1994.12~1996.10)
3570/3670/3720mm×1635/1655/1695mm×1700/1705mm(3ドア・1996.10~)
3560mm×1635mm×1695mm(レジントップ)
3975/4100mm×1635mm×1700mm(5ドア・~1994.12)
3975/4095/4220mm×1635/1695mm×1695mm(5ドア・1994.12~1996.10)
3975/4075/4100mm×1635/1655/1695mm×1720/1725mm(5ドア・1996.10~)
ホイールベース 2200mm
2480mm(5ドア)
乗車定員 4名
5名(5ドア)
エンジン G16A型 直列4気筒SOHC 1590cc(82ps/5500rpm)(~1990.8)
G16A型 直列4気筒SOHC 1590cc(100ps/6000rpm)(1990.8~)
J20A型 直列4気筒DOHC 1995cc(140ps/6500rpm)(1996.10~)
RF型 直列4気筒SOHCディーゼルターボ 1998cc(76ps/4000rpm)(1994.12~)
H20A型 V型6気筒DOHC 1998cc(140ps/6500rpm)(1994.12~1996.10)
H25A型 V型6気筒DOHC 2493cc(160ps/6500rpm)(1996.10~)
駆動方式 4WD
トランスミッション 3AT/4AT/5MT
タイヤサイズ 195SR15
205/70R16
215/65R16