【ホンダ】ストリーム(初代RN1-5型)

5ナンバー枠に収まるロールーフミニバンが続々と登場する中、ホンダらしいスポーティさを売りにして大ヒットしたストリーム。

発売10か月で10万台を突破するなど、ベストセラーとなりました。

 
 
 
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【ストリーム(初代RN1-5型)の歴史】

 

 

3列シートを有するロールーフミニバンは、1980年代から存在しており、1982年登場の日産・プレーリー(初代M10型)、1983年発売の三菱・シャリオ(初代D0型)は、ミニバンの走りとも言われるモデル。室内空間の狭さとチープなエクステリアから、ヒットとまでは言えませんでした。

ロールーフミニバンで大ヒットを収めたのがホンダ・オデッセイ(初代RA1-5型)で、1994年の発売以来、安定した人気を収めました。
そこに割って入ったのが1996年発売のトヨタイプサム(初代XM10型)。

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5ナンバー枠に収めた扱いやすいパッケージングが人気を呼ぶと、FMCした日産・プレーリーリバティ(3代目M12型)やマツダ・プレマシー(初代CP型)などが追従し、ミニバンの1ジャンルを作りつつありました。

大ヒット中のオデッセイの最大の弱点は、幅広の3ナンバーボディ。狭い路地や駐車場で取り回しに苦労することに加え、3ナンバー車を敬遠する層もまだ一定数存在したこともあるでしょう。そこでホンダは、オデッセイの弟分となる5ナンバーミニバンを開発しました。

インテグラシビックと同一のグローバルコンパクトプラットフォームを使用し、サスペンションは四輪独立懸架を採用。駆動方式はFFとフルタイム4WDが設定されました。

 
 
 
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エンジンは2種類で、シビック(7代目EU1-4型)にも搭載されていた「D17A型(直列4気筒SOHC・1668cc)」と、新開発された「D20A型(直列4気筒DOHC・1998cc)」。
トランスミッションは全車ATで、2.0LのFF車は5速ATが、その他には4速ATが設定されました。

全てヒンジ式の5ドアミニバンで、ボディサイズは全長4550mm×全幅1695mm×全高1590/1605mm。全長と全幅は先行していたライバル各車と同等でしたが、全高は低く設定されました。
流麗で伸びやかなボディラインは、ミニバンながら空力特性を追求したもの。リアクォーターウインドウは後ろ側を楕円形にデザインしたもので、流麗さを引き立てています。

グレード設定は、1.7L車が標準グレードの「G」、装備を充実させた「L」、スポーティな外観にした「L Sパッケージ」の3種類。2.0L車が標準グレードの「iL」と、スポーティな「iS」の2種類。
スポーティグレードは、ヘッドライトがブラックアウトされ、フロントウインカーレンズがアンバーとなり、ラジオアンテナはセンターアンテナを採用しました。

2001年1月に販売が開始されると、ものの10か月で累計販売10万台を突破。これは、軽自動車を除き、ステップワゴン(初代RF1/2型)を抜いてホンダの最短記録でした。

2001年10月の改良では、オプション設定やカラーリングの追加、装備の充実が図られ、キーレスエントリーシステムにアンサーバック機能も追加されました。

2002年5月には、LとiLをベースに、専用のヘッドライトやフロントグリル、ディスチャージヘッドライトやホワイトメーターを備えてスポーティに仕上げた特別仕様車「スタイルS」を発売。

2003年1月にも、LとiLをベースに、3種類の特別仕様車を発売。「スタイルSⅡ」はスタイルSのバージョンアップ仕様、「スタイルA」はスタイルSⅡにプレミアムサウンドシステムを追加したもの、「スタイルN」はスタイルSⅡにバックカメラ付DVDナビを追加したもの。

さらに2月には、LとiLをベースに、本革巻きステアリングやセンターテーブル、インパネトレイマットなどの内装を充実させた特別仕様車「コンフォートセレクション」を発売。
5月には、LとiSをベースに、スポーティな内外装に仕上げた特別仕様車「エアロステージ」を発売。

 
 
 
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2003年9月にマイナーチェンジを実施。1月に発売されていたトヨタ・ウィッシュ(初代AE10型)への対抗のためでした。
ウィッシュは、ストリームと同じコンセプトのもとで、ほぼ同じボディサイズを持ち、デザインなどは3年分新しい設計だったため、ストリームの人気を見事に奪いました。
ストリームは、流行に合わせてフロントマスクを鋭いものに変更。さらに、専用エアロパーツなどを装備したスポーツモデルの「アブソルート」を設定しました。既存グレードも再編され、「G」「S」「S Sパッケージ」となり、Gは1.7L車のみ。

12月には、アブソルートに2.0L車を追加しました。L20A型を直噴化した「K20B型(直列4気筒DOHC・1998cc)」を搭載し、トランスミッションには、マニュアルモード付のCVTが採用されました。

2004年10月の改良では、オプション設定の「Uパッケージ」の装備品を全て標準装備化し、ボディカラーも新たに2色追加しました。

2006年1月には、S Sパッケージとアブソルートの値下げを実施。廉価グレードのGは廃止されました。
さらに、Sをベースにダーク色の内外装を採用し、Sよりも約10万円安く設定した特別仕様車「スタイルセレクト」が発売されました。

マイナーチェンジで変わった鋭いフロントマスクは、好き嫌いが分かれる結果となってしまい、ウィッシュを前に人気を回復することはできませんでした。
2006年7月にフルモデルチェンジを受け、さらにスポーティに仕上げた2代目へバトンタッチ。その後2014年には販売を終え、後継車のジェイド(FR4/5型)が登場しますが、これも2020年には生産を終えています。

 
 
 
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流行が次第にハイルーフミニバンに移行したことや、3ナンバー車に対する世間のハードルも低くなってきたことで、5ナンバーロールーフミニバンの存在意義は薄れ、ジャンルは消滅してしまいました。
それまで腰の高いイメージのあったミニバンでしたが、スポーティで低重心に仕上げたストリームのスタイリングは、ウィッシュを含めて様々な車種に影響し、かつてのステーションワゴンユーザーなどの受け皿となり、背の高いミニバンやSUVへの移行をスムーズにする役割を果たしました。

 

 

 

【諸元】

 

 

ホンダ・ストリーム(初代RN1-5型)

全長×全幅×全高 4550mm×1695mm×1590/1605mm
4555mm×1695mm×1590/1605mm(アブソルート/S Sパッケージ)
ホイールベース 2720mm
乗車定員 7名
エンジン D17A型 直列4気筒SOHC 1668cc(130ps/6300rpm)
K20A型 直列4気筒DOHC 1998cc(154ps/6500rpm)
K20B型 直列4気筒DOHC 1998cc(156ps/6300rpm)(アブソルート)
駆動方式 FF/4WD
トランスミッション 4AT/5AT
タイヤサイズ 185/70R14
195/65R15
205/50R16