【ホンダ】クイント(SU型)
シビックとアコードの間に位置するクイントの特徴は、5ドアハッチバックセダンのボディスタイル。日本では5ドアハッチバックセダンは売れないというジンクスを覆しました。
後にインテグラへと続く、クイントの登場を振り返ります。
【ホンダ・クイント(SU型)の歴史】
1972年に発売して大ヒットしたシビック(初代SB/SG/SE/VG型)と、1976年に上級車としてデビューしたアコード(初代SJ/SM型)の2本立てだったホンダが、その間を埋める中間車種として発売したのがクイント。
プレリュード(初代SN型)の発売と同時に1978年に設置されたベルノ店専売車種として企画され、そのベルノ店の性格から、スポーティでユーティリティな性格付けがされました。
クイントのボディスタイルには5ドアハッチバックセダンが選ばれました。国内市場では、5ドアハッチバックセダンは売れないというジンクスがあり、1965年に追加されたトヨペット・コロナ(3代目T40/50型)の5ドアセダンがその始まり。海外市場で人気が出ていた5ドアモデルを追加したものの、少数が販売されたのみで、国内市場ではまだまだオーソドックスな4ドアセダンが好まれていました。
1978年にフルモデルチェンジしたコロナ(6代目T130型)で再び5ドアモデルをラインナップし、その普及に試みたものの、販売成績は悪く、その多目的性はまだまだ認知されていませんでした。
翌年の1979年には日産が果敢に挑戦し、スタンザ(初代A10型)に5ドアモデルを追加し、スタンザリゾートとして販売しましたが、こちらも販売は不振。そして次に続いたのが1980年2月発売のクイントでした。
主要コンポーネンツはシビックやアコード、さらにプレリュードからも流用されましたが、2360mmのホイールベースはその3車種とは異なるものでした。
サスペンションはストラット式を用いた4輪独立懸架。ブレーキはフロントがディスク、リアはドラム式を採用しました。
エンジンは「EP型(直列4気筒SOHC・1601cc)」で、ホンダ独自の希薄燃焼方式であるCVCC技術を採用し、最高出力は90psを発揮。当時の1.6Lクラスでは高性能な最高速度160km/hを達成しました。
トランスミッションは5速MTと3速ATが用意されました。
全長4110mm×全幅1615mm×全高1355mmのボディサイズでデビューし、標準グレードの「TL」、スポーティな「TS」、豪華仕様の「TE」の3タイプ。TEには、車速感応型パワーステアリングやハロゲンランプ等が標準装備されました。
1980年4月には最上級グレードとして「TER」を、さらに6月にはTERとTEに電動サンルーフ仕様を追加。
その後、1981年9月にマイナーチェンジを実施しました。
そして1985年2月に後継車となるクイントインテグラ(初代AV/DA1/2型)にフルモデルチェンジし、クイントは1代限りで生産を終えました。
その後、2代目(DA5/6/7/8/DB1型)からは単にインテグラと車名を変え、スポーティな3ドアクーペなどが人気車種となり、2006年まで生産されました。
クイントは、コロナやスタンザが成功しなかった5ドアハッチバックセダン市場で、初めて一定の成功を収めたモデルとなりました。その後も、数々の5ドアセダンモデルが登場しましたが、成功した例は少なく、国内市場でその歴史が大きく変わったのは、2003年発売のプリウス(2代目XW20型)のこと。20年以上も早く成功例を作ったクイントは、大きく時代を先取りした存在でした。
【諸元】
ホンダ・クイント(SU型)
全長×全幅×全高 | 4110mm×1605/1615mm×1355mm |
ホイールベース | 2360mm |
乗車定員 | 5名 |
エンジン | EP型 直列4気筒SOHC 1601cc(90ps/5500rpm) |
駆動方式 | FF |
トランスミッション | 3AT/5MT |
タイヤサイズ | 6.15-13 4P |
155SR13 |