【三菱】チャレンジャー(K90型)

RVブームに沸いた1990年代。その中心にいたパジェロをベースとした、よりスタイリッシュな都会派モデルが、1996年に登場したチャレンジャー。

パジェロ譲りのオフロード性能を生かし、ラリーでも大活躍した本格4WDでした。

 
 
 
 
 
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【三菱・チャレンジャー(K90型)の歴史】

 

 

 

1980年代、三菱・パジェロ(初代L040/140型)やトヨタハイラックスサーフ(初代N60型)などを中心に、ピックアップトラックをベースとしたRV車が流行し始め、一大ブームとなりつつありました。1989年登場のハイラックスサーフ(2代目N130型)、1991年登場のパジェロ(2代目V10/20/30/40型)やいすゞ・ビッグホーン(2代目UBS25/26/69/73型)など、1990年代には快適性や高級感も兼ね備えたモデルが流行の中心となりました。
三菱では、パジェロをベースにした新たな都会派モデルを開発し、1996年にデビューしました。

シャシーパジェロラダーフレームを流用。フロントがダブルウィッシュボーン式、リアが3リンク式のサスペンションもパジェロと同一。
4WDシステムも、パジェロと同様にスーパーセレクト4WDを搭載し、一部グレードではイージーセレクト4WDも採用されました。

エンジンは、185psの「6G72型(V型6気筒SOHC・2972cc)」と、125psの「4M40型(直列4気筒SOHCディーゼルターボ・2835cc)」、105psの「4D56型(直列4気筒SOHCディーゼルターボ・2476cc)」の3種類をラインナップ。
ガソリン車は4速ATのみ、ディーゼル車では5速MTも選択が可能でした。

ボディスタイルは、跳ね上げ式ハッチゲートを持つ5ドア。そのため、当時としては珍しく背面タイヤを備えておらず、オプション設定とされました。
全長4530mm×全幅1695/1775mm×全高1710/1730mmのボディサイズで、廉価グレードの「S」のみが5ナンバーサイズ、その他はワイドタイヤとワイドフェンダーを備えた3ナンバーサイズ。パジェロに比べてルーフを低めたスタイリッシュなボディスタイルで、都会派の雰囲気を演出しました。

パジェロのロング仕様は、3列シートの7人乗りでしたが、チャレンジャーは3列目シートを取り去り、全車が5人乗り仕様。
後席左側をフロアに落とし、助手席のシートバックをフラットにすると、最大2800mmの長さの荷室も生まれ、長尺物を積載するアウトドアにも重宝されました。

 
 
 
 
 
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1996年7月にデビューし、231.8万円~314.8万円の価格設定で発売されました。
販売の中心は2.8Lディーゼル車と3.0Lガソリン車で、「Z」「X」「XR」の3グレードを設定。2.5Lディーゼル車には「S」「Z」の2グレードをラインナップしました。

1997年1月には、Xをベースにした特別仕様車「シティクルージング」を発売。スポーティグリル、フロントエアダム&ルーフスポイラー、エアロサイドステップカバー、専用アルミホイール、専用ボディストライプなどを備えた外装や、木目調インパネ、プライバシーガラス、本革シート、キーレスエントリーなどを備えました。

1997年8月のマイナーチェンジでは、エンジンラインナップを変更。ガソリン車は「6G74型(V型6気筒DOHC・3496cc)」に変更され、245psにまで出力を向上。ディーゼル車は4D56型が廃止されて4M40型に統一され、電子制御化により出力は145psとなりました。また、ガソリン車はGDI化に合わせてスポーツモード付5速ATに変更。
外観では、フロントグリル、ドアミラー、ドアハンドルなどをメッキ化しました。

1997年11月には、「シティクルージングⅡ」と「リミテッド」の2種類の特別仕様車を発売。
シティクルージングⅡには、フロントグリルやブリスターフェンダーなどの専用エアロパーツや、シート地やカーボン調インパネなどの専用インテリアを備えました。
リミテッドには、電動スライドサンルーフやプロジェクターフォグランプ、本革シートが採用されました。

1998年8月の改良では、グレード整理が行われたほか、シティクルージングの駆動方式をスーパーセレクト4WDからフルタイム4WDに変更。
ディーゼル車は「XG」のみとなり、フロントバンパーガード、スペアタイヤキャリア、ルーフスポイラー、ルーフレールを標準装備化しました。

 
 
 
 
 
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1999年6月に2度目のマイナーチェンジを受け、フロントマスクのデザインを一新。
ディーゼル車は廃止され、全車ガソリン車となりました。標準グレードの「X」と上級グレードの「XR」の2グレード展開となり、4WDシステムはスーパーセレクト4WDから全車フルタイム4WD化されました。

2001年6月、ひと回り小柄なエアトレック(CU2/4/5型)の発売に伴い、国内での販売を終了。以降は海外専売モデルとなり、一部地域では2011年まで生産が続きました。
国内市場ではミニバンが大ブームとなる中で、大柄なSUVパジェロに一本化し、よりマルチユースなエアトレックを事実上の後継車としたのでした。

 
 
 
 
 
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まだ3ナンバー車が敬遠される傾向にあった国内市場では、それほど販売は振るいませんでしたが、1997年のパリダカールラリーでは総合4位に入賞するなど、パジェロ譲りのオフロード性能は非常に高いレベルにあり、特に海外市場での評価は非常に高く、累計約61万台が生産されました。

 

 

 

 

【諸元】

 

 

三菱・チャレンジャー(K90型)

全長×全幅×全高 4530mm×1695mm×1710mm(S・~1997.8)
4530mm×1775mm×1730mm(~1999.6)
4620mm×1775mm×1735mm(1999.6~)
4775mm×1775mm×1775mm(ディーゼル車・1998.8~1999.6)
ホイールベース 2725mm
乗車定員 5名
エンジン 4D56型 直列4気筒SOHCディーゼル ICターボ 2476cc(105ps/4200rpm)(~1997.8)
4M40型 直列4気筒SOHCディーゼル ICターボ 2835cc(125ps/4000rpm)(~1997.8)
4M40型 直列4気筒SOHCディーゼル ICターボ 2835cc(140ps/4000rpm)(1997.8~)
6G72型 V型6気筒SOHC 2972cc(185ps/5500rpm)(~1997.8)
6G74型 V型6気筒DOHC 3496cc(245ps/5500rpm)(1997.8~)
駆動方式 4WD
トランスミッション 4AT/5AT/5MT
タイヤサイズ 215SR15
265/70R15
255/70R16