【三菱】リベロ(CB1/2/4/5/8/CD2/5/8型)

ステーションワゴンブームに合わせ、ランサー/ミラージュをベースに開発したのがリベロ。ランサー譲りのスポーティな走りを持ち、様々なカスタマイズが可能で、スポーツワゴンのパイオニアの1台に数えられています。

しかしながら、ライバル他車と同様に商用バン仕様も併売されたため、差別化に苦しみ、訴求力不足となってしまいました。

 

 

 


【三菱・リベロ(CB1/2/4/5/8/CD2/5/8型)の歴史】

 

 

RVブームの1つとして、1990年代にステーションワゴンが流行しました。セダンの乗り味と、アウトドア等の多目的用途を両立できることが最大の売りでした。以前より、多くのセダンモデルに5ナンバーワゴンもラインナップされていましたが、4ナンバーバンとの差別化が図られていなかったことで、国内市場においてはワゴンは極めて少数派。
それを変えたのが1989年発売のスバル・レガシィツーリングワゴン(初代BF型)で、商用モデルを設定しなかったことや、ハイパフォーマンスエンジンなどが評判となり、ステーションワゴン市場を牽引する大人気モデルとなりました。

日産はスカイラインワゴン/バンとブルーバードワゴン/バンを統合して、1990年にアベニール(初代W10型)を発売。トヨタカローラワゴンにスポーティさやRVらしさを演出するようになり、1991年のフルモデルチェンジでカローラツーリングワゴン(7代目E100型)として発売。同年には、ホンダが北米で生産されるアコードワゴン(4代目CB9型)を国内でも販売するなど、「バンらしくないワゴン」が登場し始めていました。
三菱は、独立したモデルとしてリベロを1992年5月に発売し、ランサーワゴン/バン(2代目C10/30型)とミラージュワゴン/バン(2代目C10/30型)の統合後継車としました。

ベースはランサー/ミラージュ(4代目CD3-8/CB1-8型)の4ドアセダンで、主要なシャシーコンポーネンツは共用。FFとフルタイム4WDがラインナップされました。
リアサスペンションは、セダン系のマルチリンク式から変更され、荷物の積載を考慮して車軸式となっています。

当初のエンジンは1種類で、120psを発揮する「4G93型(直列4気筒SOHC・1834cc)」。同クラスの主力は1.5L~1.6Lエンジンの中で、比較的排気量の大きなエンジンが採用され、ライバル他車に比べてスポーティな一面が目立っていました。
トランスミッションは5速MTと4速ATを設定。

全長4270mm×全幅1690mm×全高1470/1515mmのボディサイズで、全高以外はセダン同等。フロントマスクやインパネはランサーセダンと共通でした。

4ナンバー登録で最大積載量400kgの「カーゴ」も同時に発売されており、「4G13型(直列4気筒SOHC・1298cc)」と「4G15型(直列4気筒SOHC・1468cc)」を搭載。1.5L車には4WDも設定されました。

1992年7月には、ディーゼル車を追加しました。ワゴンには88psの「4D68T型(直列4気筒SOHCディーゼルターボ・1998cc)」、カーゴには73psの「4D68型(直列4気筒SOHCディーゼル・1998cc)」を搭載。

1994年1月の改良では、スポーティグレードの「GT」を追加。ランサーGSRに搭載されていた「4G93T型(直列4気筒DOHCターボ・1834cc)」を採用し、最高出力は205psを誇り、4WDのみで発売されました。

1994年8月に、カーゴにも4D68T型を搭載したディーゼルターボ車を設定。

1994年10月には、2つの特別仕様車を発売しました。
「レッズバージョン」は、浦和レッズとのコラボレーションで、浦和レッドという専用ボディカラーを纏い、埼玉県限定で販売されました。
「サージ」は、サーファー向けに専用ボディカラーを設定し、重防錆対策がされたモデルで、湘南ナンバーの誕生と共に発売されました。

1995年9月のマイナーチェンジでは、GTのフロントマスクを、ランサーエボリューションと同じデザインに変更したほか、エンジンを10ps向上させて215psにまでパワーアップしました。
さらに、簡易フロントグリルガードを装着し、屋根はハイルーフとした、RV風の新グレード「モンテ」を追加しました。

1996年10月には、「4G92型(直列4気筒SOHC・1597cc)」を搭載した新グレード「V」を追加。
4G15型をワゴンに搭載した廉価グレード「MVVワゴン」も設定されました。
さらに、RV風な外観のセットオプション「RVパッケージ」も新たに用意されたほか、全車に運転席エアバッグとABSを標準装備しました。

1997年10月、Vをベースにグリルガードやツートンカラーを備え、RV風に飾った新グレード「グリーンフィールド」を追加しました。

1999年7月には、5月に特別仕様車として発売されていた「Vリミテッド」をカタログモデル化しました。Vにキーレスエントリーやプライバシーガラスを装備してお買い得に仕上げたモデルで、1.6LのFF車と、1.8Lの4WD車に設定されました。

2000年11月、後継となるランサーセディアワゴン(CS2型)が発売されたことで、ワゴンは生産終了。カーゴは生産が継続されました。

2003年3月に、低排出ガス基準やアイドリング規制に対応できなくなり、カーゴも販売を終了。ランサーセディアワゴンの商用版である、ランサーカーゴ(初代CS2型)が後継として発売されました。
その後、国内市場でのステーションワゴン市場は不振の時代となり、ランサーセディアワゴンは2007年には販売が打ち切られ、ランサーカーゴも2008年からは日産・ADバン(4代目Y12型)のOEM車となり、純粋なランサー/ミラージュのワゴン/バンの系譜を継ぐモデルは無くなってしまいました。

1990年代のステーションワゴンブームでは、レガシィに続けと様々なモデルがデビューしましたが、その多くは、車種ラインナップの都合で4ナンバー商用バンを併売し、これによってワゴンとバンの差別化が図れず、ユーザーへの訴求力不足に陥っていました。
リベロも、ランサー譲りのコンポーネンツを武器にスポーティさを演出しましたが、販売面では苦戦を強いられる結果となったのです。

 

 

 

 

【諸元】

 

 

 

三菱・リベロ(CB1/2/4/5/8/CD2/5/8型)

全長×全幅×全高 4270mm×1690mm×1470/1515mm(~1995.9)
4270/4310/4320mm×1680/1695mm×1470/1515mm(1995.9~)
4420mm×1690mm×1470mm(グリーンフィールド)
4420mm×1680/1690mm×1485/1530mm(モンテ)
4270mm×1690mm×1430/1450mm(カーゴ/MVVワゴン)
ホイールベース 2500mm
乗車定員 5名
エンジン 4G13型 直列4気筒SOHC 1298cc(79ps/6000rpm)(カーゴ)
4G15型 直列4気筒SOHC 1468cc(85ps/6000rpm)(カーゴ/MVVワゴン)
4G92型 直列4気筒SOHC 1597cc(110ps/6000rpm)
4G93型 直列4気筒SOHC 1834cc(120ps/6000rpm)
4G93T型 直列4気筒DOHC ICターボ 1834cc(205ps/6000rpm)(GT・~1995.9)
4G93T型 直列4気筒DOHC ICターボ 1834cc(215ps/6000rpm)(GT・1995.9~)
4D68型 直列4気筒SOHCディーゼル 1998cc(73ps/4500rpm)(カーゴ)
4D68T型 直列4気筒SOHCディーゼルターボ 1998cc(88ps/4500rpm)
駆動方式 FF/4WD
トランスミッション 4AT/5MT
タイヤサイズ 155R13 6P(カーゴ)
155SR13(MVVワゴン)
175/70R13
185/60R14
185/70R14
195/65R14