【ホンダ】モビリオ/モビリオスパイク(GB1/2/GK1/2型)

ミニバンブームに沸いていた国内市場。2001年にホンダが投入したモビリオは、全長4m級のボディに3列シートを配置したコンパクトミニバンの走りでした。

ホンダが得意とした低床パッケージングとショートノーズ化によって、余裕のある室内空間を実現し、多彩なシートアレンジも可能でした。

 
 
 
 
 
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【ホンダ・モビリオ/モビリオスパイク(GB1/2/GK1/2型)の歴史】

 

 

多人数乗車が可能な3列シート車の主流が、それまでの商用バンベースの1BOX車から、乗用車専用設計のミニバンへと一気に変わったのが1990年代のこと。ホンダ・オデッセイ(初代RA1-5型)、ホンダ・ステップワゴン(初代RF1/2型)、トヨタイプサム(初代XM10型)、日差・エルグランド(初代E50型)など、様々なミニバンが登場し、ヒットを飛ばしました。
一方で、子供の送り迎え等に使用する女性ユーザーなどからは、よりコンパクトで取り回しの良いミニバンが求められるようになっていました。

当時、コンパクトミニバンが存在しなかったわけではありません。軽商用車の1BOXを小型乗用車枠まで拡大したモデルがいくつか存在しており、1998年まではスバル・ドミンゴ(2代目FA型)が、それ以降はスズキ・エブリィ+(DA32型)、三菱・タウンボックスワイド(U60型)、ダイハツ・アトレー7(S220/230型)などで、アトレー7はトヨタにスパーキー(S220型)としてOEM供給されました。しかし、軽商用車ベースであることから容易に想像がつくように、居住性や運転性能などは悪く、ファミリーカーとして使用するには無理がありました。

トヨタは1997年にカローラスパシオ(E100型)を発売しており、全長4.2m級のボディサイズで、2+2+2の6人乗りを実現。2,3列目の足元は決して広くはありませんでしたが、多彩なシートアレンジが可能でした。
ホンダは、さらに小型な全長4.0m級のサイズで3列シートを実現すべく、先行していたフィット(初代GD1-4型)と同様にグローバルスモールプラットフォームを採用。ホンダお得意の、フロントシート下に燃料タンクを配置する構造によって、広い室内スペースを実現しました。

搭載されたエンジンは、90psの「L15A型(直列4気筒SOHC・1496cc)」。トランスミッションは、ホンダマチックSと呼ばれるスポーティモード付のCVTを組み合わせました。

ボディサイズは、全長4055mm×全幅1685mm×全高1705/1740mm(4WD車は+20mm)。
特徴的なのは外観で、大型のヘッドライトとそれに反するショートノーズ、室内空間の確保のために1740mmまで高く設定された全高、開放感を演出する非常に大きなウインドウ、3列目の乗降性を高めたスライドドア、低床化の恩恵を受けて大開口を実現したリアゲートなど、それまでの一般的なクルマとは一線を画すユニークなものでした。

2+3+2の7人乗りを実現した室内は、室内高の高さと大きなグラスエリアの恩恵を受け、全長4.0m級とは思えないほどの広さを演出。ミラクルシートと名付けられた多彩なシートアレンジや、3列目シートが2列目シートの下に収まる機構も魅力的なものでした。

 
 
 
 
 
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2001年12月の発売時は、上から「W」「A」「Y」の3グレードを設定。AにはプライバシーガラスやCDオーディオが装着され、最上級のWには両側イージードアクローザーやオートエアコンも装備されました。デュアルエアバッグEBD付ABS、ブレーキアシストなどの安全装備は全車に標準装備。

 
 
 
 
 
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2002年9月には、派生車としてモビリオスパイクを追加しました。3列目シートを廃した5人乗りのトールワゴンで、ファミリー向けを意識したモビリオとは異なり、広い荷室空間を売りにした趣味のためのクルマとしてデビューしました。そのため、リアゲート幅を確保するためにリアコンビネーションランプはバンパーに埋め込まれました。
2名乗車時には奥行き1855mmの荷室空間を確保し、当時クラストップレベルの1045Lの大容量を誇りました。さらに、助手席を倒して長尺物を積載したり、リアシートを跳ね上げて背の高い物を積載するなど、多彩で使い勝手の良い室内アレンジが可能でした。
エンジンはVTEC仕様で110psを発揮するものを搭載。

2002年12月、モビリオのマイナーチェンジが実施され、パワースライドドアやイモビライザー、ボディ同色電動格納ドアミラーなどが設定されました。

2003年7月には、2列目左側席に電動リフトアップシートや、荷室に車いす固定装置を装備した、福祉車両モビリオアルマスが発売されました。

 
 
 
 
 
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2004年1月にモビリオが再度マイナーチェンジを受け、フロントマスクがより洗練されたデザインに変更されたほか、リアコンビネーションランプの意匠も変更。
また、エンジンはモビリオスパイクと同一のVTEC仕様に変更されました。
モビリオスパイクは翌月にマイナーチェンジとなり、フロントグリルやリアバンパー周りの意匠を変更。

2005年9月には、モビリオのAをベースにした特別仕様車「スマイルエディション」と、モビリオスパイクのAをベースにした特別仕様車「スタイリッシュエディション」を発売。

 
 
 
 
 
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2005年12月のマイナーチェンジでは、ボディカラーの変更やグレード展開の変更を実施。
さらに、モビリオスパイクのエクステリアデザインが変更され、フロントバンパーやヘッドライト、リアコンビネーションランプなどのデザインを一新しました。

その後、特別仕様車の発売などを経ながら、2008年4月に生産を終了。翌月の5月に後継車となるフリードが発売され、バトンタッチとなりました。2010年には、モビリオスパイクの後継車となるフリードスパイクも発売されています。

 
 
 
 
 
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コンパクトカーからの乗り換えでも違和感なく乗れるボディサイズという点において、全長4.0m級という設定は、特に女性ユーザーにはちょうどいいサイズでした。トヨタは負けじとシエンタ(初代XP80型)を2003年に発売して対抗。モビリオやフリード、そしてシエンタによって、一大コンパクトミニバンブームが訪れ、2020年代に入った今もなお活躍し続けています。

 

 

 

【諸元】

 

 

ホンダ・モビリオ/モビリオスパイク(初代GB1/2/GK1/2型)

全長×全幅×全高 4055mm×1685mm×1705/1725/1740/1760mm(モビリオ・~2004.1)
4070mm×1685mm×1705/1725/1740/1760mm(モビリオ・2004.1~)
4110mm×1695mm×1705/1725/1740/1760mm(モビリオスパイク・~2005.12)
4125mm×1695mm×1705/1725/1740/1760mm(モビリオスパイク・2005.12~)
ホイールベース 2740mm
乗車定員 5名(モビリオスパイク
7名(モビリオ
エンジン L15A型 直列4気筒SOHC 1496cc(90ps/5500rpm)
L15A型 直列4気筒SOHC 1496cc(110ps/5800rpm)
駆動方式 FF/4WD
トランスミッション CVT
タイヤサイズ 185/65R14