【マツダ】ボンゴフレンディ(SG型)

ボンゴワゴンとボンゴブローニイワゴンの後継モデルとして1995年に発売されたボンゴフレンディ

屋根の前方が持ち上がって大人2人が寝られるテントが現れる、電動開閉式ルーフの「オートフリートップ」が最大の特徴でした。

 

 

 


マツダボンゴフレンディ(SG型)の歴史】

 

 

マツダの1BOX車の主力だったボンゴは、1983年に3代目SS/SE型にフルモデルチェンジ。乗用ワゴン、商用バン、トラックをラインナップしました。
数か月前にはボンゴブローニイ(初代SR/SD型)も先行発売され、ホイールベースを延長したモデルで、トヨタハイエースや日産・キャラバン/ホーミーに対抗しました。

RVブームの中、ボンゴは4WD車やディーゼル車の追加、乗用ワゴンの装備充実化など、マイナーチェンジを重ねて1990年代まで生産が続いていました。
1990年代に入ると、ライバルの日産・バネットからバネットセレナ(初代C23型)が独立。商用車ベースでもなく、セダンベースでもない、全く新しいクルマとして開発された3列シート車で、扱いやすいボディサイズの中で広い室内を実現した、ファミリーミニバンの原点とも言えるモデルでした。

その後、1992年デビューのトヨタエスティマエミーナ/ルシーダ(XR10/20型)や、1994年デビューの三菱・デリカスペースギア(PA/PB/PC/PD/PE/PF型)などが大ヒットし、乗用車として開発された3列シート車が人気となる中で、マツダはボンゴワゴンの後継車としてボンゴフレンディを1995年6月にデビューさせました。

ボンゴフレンディ用に、ボンゴワゴンをベースにしたSGプラットフォームを開発。エンジンは運転席下に搭載するキャブオーバー型で、後輪を駆動するFRレイアウトとしました。この辺りは先行していたバネットセレナと共通のレイアウトで、コンベンショナルなもの。ディーゼルエンジン搭載車には、4WD車もラインナップされました。

エンジンは、105psの「FE-E型(直列4気筒SOHC・1998cc)」、160psの「J5-D型(V型6気筒DOHC・2494cc)」、125psの「WL-T型(直列4気筒SOHCディーゼルターボ・2499cc)」の3種類をラインナップ。
トランスミッションは4速ATを基本とし、ディーゼル車には5速MTも用意されました。

前方にクラッシャブルゾーンを確保した1.5ボックススタイルで、外観上はセミキャブオーバースタイルに見えますが、前述のとおりエンジン搭載位置は座席下。後席スライドドアは片側のみの、4ドアのみのラインナップでした。
全長4585mm×全幅1690mm×全高1960/2090mmのボディサイズは、ボンゴワゴンよりは一回り以上大きく、ボンゴブローニイワゴンのロングボディと同等サイズ。

最大の特徴とされたのは、ルーフ部分が電動で持ち上がる「オートフリートップ」の採用で、キャンピングカーのポップアップテントのように、展開するとルーフ上に部屋が出現するもの。広さは大人2人が就寝できるほどのスペースがあり、アウトドアでは重宝しました。
昇降は1列目と2列目シートの間にあるアクセスホールから行い、就寝時などにこのアクセスホールが使用できない時などのために、小さなものの受け渡しに使える小窓も用意されていました。
オートフリートップ搭載車は、全高が2000mmを超えるため、全車3ナンバー。オートフリートップ仕様の他に、ノーマルルーフ仕様とサンルーフ仕様もラインナップされました。

オートフリートップ仕様は5人乗りの「RS-V」と8人乗りの「RF-V」で、全車ディーゼル車。その他のルーフ仕様では、5人乗りの「RS-V」、7人乗りの「RF-V」、8人乗りは装備により「RS-V」「RF-V」「リミテッド」が用意され、RS-Vはディーゼル車と2.0Lガソリン車、その他はディーゼル車と2.5Lガソリン車が選択可能でした。
さらに、3列目シートを片側のみとし、空いたスペースにシンクやコンロ、冷蔵庫などを装備し、窓に換気扇もビルトインされたキャンピンググレード「RF-Vキャンパー」も存在し、6人乗りで8ナンバー登録でした。

1995年6月に発売され、姉妹車の「フォード・フリーダ」も同時にデビュー。当時フォード車の販売チャネルだったオートラマ店で販売されました。ボンゴワゴン時代にもフォード・スペクトロンが販売されており、この後継車とされました。

1997年11月の改良では、オートフリートップ仕様にも2.0Lガソリン車を用意。コーナーセンサーや5.8型ナビゲーションなどを設定し、装備の充実化を図ったほか、助手席エアバッグが標準装備され、安全性も向上させました。
また、オートフリートップのルーフ色を従来のシルバーからボディ同色としました。

1998年9月には、8人乗りの「RF-V」をベースに、ルーフスポイラーやリモコン式電動格納ドアミラー、UVカット機能付リアダークガラス、電動ロールカーテンなどを装備した特別仕様車「RF-Vスペシャル」を発売。オートフリートップとノーマルルーフの2種類を用意しました。

1999年2月にマイナーチェンジを実施し、前後のデザインを変更。3種類のエンジン、3種類のルーフ仕様はそのままに、全車8人乗りに一本化され、5速MT仕様は廃止されました。

1999年12月以降は、エアロパーツやリアスポイラーなどを装着し、スポーティな外観を持った特別仕様車「シティランナー」シリーズをコンスタントに発売。そのスタイリッシュさが好評となりました。

2001年9月に2度目のマイナーチェンジを受け、デュアルエアバッグや4W-ABS、ブレーキアシストを全車に標準装備し、安全性を向上。グレード整理も行われました。

2004年4月に、2.5Lガソリンエンジン車が廃止された後、2006年4月に販売を終了。
直接の後継車は作られず、2008年7月のビアンテ(CCE型)の登場まで、ハイルーフミニバンがマツダのラインナップから無くなりました。

オートフリートップ仕様がアウトドア派のユーザーから高い人気を得たボンゴフレンディでしたが、アウトドアユースは使い勝手に優れるクロスオーバーSUVに代わるようになったほか、同クラスのミニバン各車もFF化と共により優れたパッケージングのクルマへと変わっていく中で、ボンゴフレンディの魅力は次第に薄くなってしまいました。
発売からわずか8年でモデル廃止に追い込まれるあたりは、多様化を迎えた1990年代以降の、ブームの変化の早さを物語っている気がします。

 

 

 

【諸元】

 

 

マツダボンゴフレンディ(SG型)

全長×全幅×全高 4585mm×1690mm×1960/2090mm(~1999.2)
4620/4655mm×1690mm×1960/2090mm(1999.2~)
4585mm×1720mm×2090mm(RF-Vキャンパー)
ホイールベース 2920mm
乗車定員 5/6/7/8名
エンジン FE-E型 直列4気筒SOHC 1998cc(105ps/5000rpm)(~2002.9)
FE-E型 直列4気筒SOHC 1998cc(101ps/4500rpm)(2002.9~)
WL-T型 直列4気筒SOHCディーゼル ICターボ 2499cc(125ps/4000rpm)(~1999.11)
WL-T型 直列4気筒SOHCディーゼル ICターボ 2499cc(130ps/4000rpm)(1999.11~)
J5-D型 V型6気筒DOHC 2494cc(160ps/6000rpm)
駆動方式 FR/4WD
トランスミッション 4AT/5MT
タイヤサイズ 195/70R15 / 215/65R15
195SR15 / 215/70R15
195/80R15 / 215/70R15