【スバル】ジャスティ(初代KA型)

コンパクトハッチバックが出揃いつつあった1984年に登場したジャスティは、発売当初から4WD車を設定した、スバルらしいリッターカー。

当時車種ラインナップが極端に少なかったスバルは、レックスとレオーネの間を埋めることで、販売力強化を狙いました。

 
 
 
 
 
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スバル・ジャスティ(初代KA型)の歴史】

 

 

1980年代初めのスバルの車種ラインナップは、小型車のレオーネ(2代目AB/AF/AJ/AM型)、軽自動車のレックス(2代目KM/KN型)、軽バン/トラックのサンバー(4代目KT/KR型)と、他メーカーと比べても競争力不足が否めない状況。
この中でもレオーネは、セダンの他にクーペやハッチバック、ツーリングワゴン、エステートバンと、バリエーション展開を増やし、多様化するニーズに応えていました。

一方、市場では1970年代後半から、コンパクトハッチバックが台頭してきました。1977年に登場して「リッターカー」という言葉を作ったダイハツシャレード(初代G10型)を筆頭に、1978年のモデルチェンジでハッチバック化したトヨタスターレット(2代目P60型)、個性あふれる姿で1981年にデビューを飾ったホンダ・シティ(初代AA/VF型)、1982年に待望のデビューを果たした日産・マーチ(初代K10型)、ゼネラルモータースとの共同開発によって1983年に登場したスズキ・カルタス(初代AA33/41/43/53/AB33/41/43/51/53型)と、合理的なパッケージングで使い勝手のよいコンパクトなハッチバック車は、既にお互い鎬を削る状況でした。

そんな中でスバルは、エンジンの開発を先行させ「EF10型(直列3気筒SOHC・997cc)」が完成すると、まず搭載されたのは1983年にデビューしたドミンゴ(初代KJ型)でした。
ドミンゴは、サンバーをベースにした7人乗りの1BOX車で、全長3.5m級の小柄なボディに3列シートを配し、サンバー譲りの機動性の高さを備えたモデル。1.0L級で多人数乗車できた唯一のクルマでもあり、根強い人気を誇るクルマとなりました。

次なる展開としては、この1.0Lエンジンを搭載するリッターカーの開発。駆動方式には一般的なFFの他にパートタイム4WDも設定されました。レックスの4WD車と同様に、シフトノブにある4WDスイッチを押すだけで、2WDと4WDを切り替えられるもので、「4WDのスバル」を象徴しました。

エンジンはEF10型を改良して搭載され、最高出力は63ps。3気筒のデメリットである振動対策のため、バランスシャフトが組み込まれました。
当初のトランスミッションは5速MTのみ。

 
 
 
 
 
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レックスにも通ずるスタイリングは、直線を基調としたシンプルなもので、ボディラインナップは3ドアと5ドアのハッチバックが用意されました。3ドアはスポーティ路線、5ドアはファミリー向けの位置づけでした。
デビュー時のボディサイズは、全長3535mm×全幅1535mm×全高1390mm。

1984年2月にデビューを飾ると、クラス初だった4WD車が降雪地域で人気を集めました。
一方、スバル車の独特な機構やどこか垢ぬけないスタイリングによって、そもそもスバル人気が低かったその他の地域では、ジャスティも例外なく販売面では苦戦を強いられました。

1985年10月には、ツインキャブで73psを発揮する「EF12型(直列3気筒SOHC・1189cc)」を搭載車を追加。1.2L車は、NAエンジン搭載のコンパクトカーでは初となる、フロントブレーキにVディスク式を採用しました。

1987年2月、量産車としては世界初となる無段変速機「ECVT」を採用しました。スチールベルトと可変式プーリーを組み合わせた電子制御電磁クラッチ無段変速機でしたが、ライバル他車のAT車よりも高価になったことで、商業的には失敗。ジャスティでの採用後、レックスやサンバー、ヴィヴィオドミンゴに拡大採用されていきました。

 
 
 
 
 
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1988年11月にマイナーチェンジを実施。フルモデルチェンジとも見えるほどのビッグマイナーチェンジで、フロントマスクを大幅に変更。フロントオーバーハングも延長されたほか、ハイルーフ化やインテリアの刷新も行われました。
1.0L車は廃止されて全車1.2Lとなり、4WD車でもECVTが選択できるようになりました。

1991年6月のマイナーチェンジでは、パワーステアリングやオーディオの標準装備化や、ブレーキのノンアスベスト化を実施。

そして1994年12月、デビューから10年の時を経て販売を終了しました。日産との共同開発やOEM供給など、後継車を模索していた時期もありましたが、1989年に発売されたレガシィ(初代BC/BF型)が大ヒットとなっていたほか、1992年にデビューしたインプレッサ(初代GC/GF型)の開発にも注力していたことから、コンパクトハッチバック車の開発は断念となりました。
それから22年が経過した2016年、ダイハツ・トール(M900/910型)のOEM供給を受けたモデルとして、ジャスティの名称が復活。コンパクトトールワゴンとして生まれ変わりました。

 
 
 
 
 
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コンパクトハッチバック車が一大ジャンルとなった1980年代。スバルも後に続けとジャスティを送り出しましたが、スターレット、マーチ、シャレードと言ったクラスリーダーの陰に隠れる形になりました。
他車に設定されたホットハッチモデルを設定しなかったことも一つの要因でしたが、その後のレガシィインプレッサでスポーティモデルをヒットに導く反動になったのかもしれません。

 

 

 

【諸元】

 

 

スバル・ジャスティ(初代KA型)

全長×全幅×全高 3535mm×1535mm×1390mm(~1988.11)
3695mm×1535mm×1420mm(1988.11~)
ホイールベース 2285mm
乗車定員 5名
エンジン EF10型 直列3気筒SOHC 997cc(63ps/6000rpm)(~1988.11)
EF12型 直列3気筒SOHC 1189cc(73ps/6000rpm)(1985.10~)
駆動方式 FF/4WD
トランスミッション CVT/5MT
タイヤサイズ 145SR12
165/65R13