【ホンダ】シビック(2代目ST/SL/SR/SS/WD/VC型)/バラード(初代ST型)

CVCC技術とFFパッケージングで大人気となった初代シビックの登場から7年。来たる1980年代に向けて1979年にフルモデルチェンジを果たしました。

ベルノ店専売の4ドアセダンとして、姉妹車のバラードも発売されました。

 

 

 


【ホンダ・シビック(2代目ST/SL/SR/SS/WD/VC型)/バラード(初代ST型)の歴史】

 

 

1972年に発売されたシビック(初代SB/SG/SE/VG型)は、CVCC技術によるクリーンエンジンと、FFレイアウト採用による優れたパッケージングにより、大ヒットを記録。

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1970年代後半になると、ライバル車種も多く登場。1978年には日産・パルサー(初代N10型)や三菱・ミラージュ(初代A150型)がデビューしただけでなく、駆動方式はFRながら、ハッチバック化したマツダ・ファミリア(4代目FA4型)が1977年、セダンとハッチバックをラインナップしたトヨタ・コルサ/ターセル(初代L10型)は1978年に登場。さらに、車格は下ながら、リッターカーとして大ヒットしたダイハツシャレード(初代G10型)なども含めると、小型ハッチバック市場は一気に活性化していました。

1980年代を前に、フルモデルチェンジを決めたホンダは、初代シビックのコンセプトを踏襲しつつ、居住性や実用性、走行性能などを向上させることで、ライバル各車に対抗することとしました。

ホイールベースは先代比で40~50mm延長され、3ドア車は2250mm、5ドア車は2320mmに設定。
サスペンションは先代から4輪ストラット式を踏襲しながら、大幅な改良が加えられ、路面追従性が向上しました。

エンジンは、68psの「EJ型(直列4気筒SOHC・1335cc)」が先代から踏襲されたほか、新開発した80psの「EM型(直列4気筒SOHC・1488cc)」をラインナップ。
トランスミッションには、グレードにより4速MTと5速MT、さらにホンダマチックも用意されました。

 
 
 
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当初のボディバリエーションは3ドアハッチバックと5ドアハッチバックのみ。ボディサイズは、3ドアが全長3760/3870mm×全幅1580mm×全高1350mm、5ドアが全長3830mm×全幅1580mm×全高1350mmと、一回り大きく進化しました。
スタイリング自体は先代のものを色濃く残しており、丸型2灯式ヘッドライトとフロントグリルの周りをぐるりと囲むメッキ枠などは、シビックのイメージそのものでした。

室内の居住性は大幅に向上し、インパネなどの質感も向上。プレリュード(初代SN型)で採用されていた、速度計と回転計を同軸で回転させ、その上に警告灯関係を並べて視認性を向上させた「集中ターゲットメーター」を採用するなど、他車との差別化を図りました。

1979年7月に発売され、「スーパーシビック」というキャッチフレーズも付きました。
3ドアの1.5L車にはスポーティグレードの「CX」もラインナップされ、通常モデルより5ps出力の高い85ps仕様のエンジンを搭載。オーバーライダー付きバンパーと、オレンジ色の専用色が特徴的で、幅広のラジアルタイヤや専用の足回りが装備されました。

2か月後の9月に、商用登録の5ドアバンをフルモデルチェンジ。ハッチバックのリア部分を延長してラゲッジスペースを拡大した商用モデルで、1.3Lエンジンのみのラインナップでした。

1980年1月、アウトドアブームを受けて多様化を見せ始めた自動車市場に対応するため、バンをベースとしたワゴンモデルの「シビックカントリー」を発売しました。
ボディなどはバンのものを流用しつつ、乗用車に相応しい内外装や機構に仕上げました。エンジンは1.5LのEM型を搭載し、ラジアルタイヤを装着。エクステリアでは、サイドやテールゲートの木目調パネル、大型カラードバンパーなどを装着し、バンと明確に差別化しました。インテリアはフルトリム化され、後席シートはリクライニングが可能だっただけでなく、ラゲッジ床面とフラットになる可倒機構も採り入れられました。

1980年6月には、1.3LエンジンにCVCC-Ⅱを採用し、72psにパワーアップ。ホンダマチック車にはオーバードライブが装備されました。
1.5L車には1980年8月に同様の変更を実施。

 
 
 
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1980年8月、姉妹車となる4ドアセダンのバラードがデビュー。
プレリュード(初代SN型)やクイント(SU型)を扱っていたベルノ店専売車種として発売されました。シビックシャシーが流用され、搭載されたエンジンも1.3Lと1.5Lと同様のラインナップでしたが、バラードの方が若干上級に仕上げられました。シビックでは丸型2灯式だったヘッドライトは角形2灯式に変更され、ボディのプレスラインを少しリデザイン。
スポーティなラインナップだったベルノ店向けに、大衆車クラスの4ドアセダンを投入することで、ベルノ店の販売台数を伸ばす目的でしたが、大衆4ドアセダン市場はライバルも多いだけでなく、さらにはわずか半月後にシビックにも4ドアセダンが追加されたこともあり、販売成績はそれほど振るいませんでした。

1980年9月に、シビックに4ドアセダンを追加。
ハッチバックと共通の丸型2灯式ヘッドライトを装着していました。

1981年10月にマイナーチェンジを迎え、全モデルがバラードと共通の角型2灯式ヘッドライトに変更されるなど、内外装のリファインを実施しました。
バラードは、フロントグリル中央にHマークのホンダエンブレムが追加されました。

1982年9月、2度目のマイナーチェンジを実施。シビックはリアコンビネーションランプのデザインを変更、バラードはフロントマスクのデザインを変更して異型2灯式ヘッドライトとなりました。

その後、1983年9月にハッチバックが、1983年10月にセダンとワゴン/バンがフルモデルチェンジとなり、3代目AK/AJ/AU/AG/AH/AT/AR型(バラードは2代目AK/AJ型)に移行しました。
キープコンセプトだった2代目とは打って変わり、新たなコンセプトのもとでデビューした3代目は、「ワンダーシビック」として大ヒットを記録。その後1987年の「グランドシビック」、1991年の「スポーツシビック」など、FFハッチバック市場を牽引する世界戦略車として、活躍していきました。

大ヒットを記録した初代モデルを超えるクルマにはなれなかった2代目シビック。新しさを感じなかったスタイリングや、ライバル他車の台頭など、様々な要因が考えられましたが、ホンダはボディバリエーションを増やすことで何とか対抗しました。
この販売低迷がきっかけで3代目では方針転換し、またしてもヒット車となることができ、1980年代からのホンダの躍進に繋がることになったのです。

 

 

 

 

【諸元】

 

 

 

ホンダ・シビック(2代目ST/SL/SR/SS/WD/VC型)/バラード(初代ST型)

全長×全幅×全高 3760/3870mm×1580mm×1350mm(3ドアハッチバック
3830mm×1580mm×1350mm(5ドアハッチバック
4090mm×1580mm×1350mm(4ドアセダン)
4095mm×1600mm×1345mm(バラード)
3995mm×1580mm×1385mm(バン)
4085mm×1580mm×1380mm(カントリー)
ホイールベース 2250mm(3ドアハッチバック
2320mm(5ドアハッチバック/セダン/バン/カントリー)
乗車定員 2/5名
エンジン EJ型 直列4気筒SOHC 1335cc(68ps/5500rpm)(~1980.6)
EJ型 直列4気筒SOHC 1335cc(72ps/5500rpm)(1980.6~)
EM型 直列4気筒SOHC 1488cc(80ps/5500rpm)
EM型 直列4気筒SOHC 1488cc(85ps/5500rpm)
駆動方式 FF
トランスミッション 2AT/3AT/4MT/5MT
タイヤサイズ 5.00-12 6P(バン)
6.00-12 4P
6.15-13 4P
145SR13
155SR13