【スバル】フォレスター(初代SF型)

スバルの得意分野である4WDと水平対向エンジンを活かして開発された、スバルらしさ溢れるクロスオーバーSUVフォレスター

レガシィインプレッサで息を吹き返したスバルの「第3の柱」となりました。

 

 

 


【スバル・フォレスター(初代SF型)の歴史】

 

 

1990年代に入って流行し始めたクロスオーバーSUVは、ラダーフレーム構造を持つ本格SUVとは異なり、乗用車と同様にモノコック構造を採用することで、オンロードの快適さを備え、乗用車の実用性とSUVの遊び心を両立させたクルマ。1991年発売の三菱・RVR(初代N10/20型)、1994年発売のトヨタRAV4(初代XA10型)や日産・ラシーン(NB14型)、1995年発売のホンダ・CR-V(初代RD1/2型)などがブームの中心でした。

1990年代のスバルは、レガシィ(初代BC/BF型)やインプレッサ(初代GC/GF型)によって、不振だった業績を回復。次のニューモデル開発にあたり、スバルが得意なシンメトリカル4WDを活かしたクロスオーバーSUVを計画しました。
SUVの魅力である悪路走破性や高いアイポイントによる視界の良さと、乗用車の魅力である乗り心地の良さやオンロードでの快適さを備えるために、スバルが考えたパッケージングは、最低地上高200mmと着座位置600mmを確保した上で、既存SUVステーションワゴンの中間的なボディスタイルを持つクルマでした。

プラットフォームはインプレッサのものがベースで、全車フルタイム4WD。AT車にはアクティブトルクスプリット方式、MT車にはビスカスLSD付センターデフ方式を採用しました。サスペンションは前後ともにストラット式の四輪独立懸架。

エンジンは「EJ20T型(水平対向4気筒DOHCターボ・1994cc)」の1種類のみ。スバルの主力であるEJ20型は、レガシィのデビューに合わせて新開発され、その後バリエーションを増やしており、特にターボ搭載エンジンは定評がありました。フォレスターに搭載された仕様はインタークーラー付シングルターボで、250psを発揮。
トランスミッションは4速ATと5速MTが用意されました。

先述したコンセプトを実現したボディサイズは、全長4450mm×全幅1735mm×全高1580mmで、レガシィインプレッサの中間サイズで取り回しのいい全長に、SUVらしくブリスターフェンダー採用によってワイドな全幅、当時のステーションワゴンの主流サイズよりも100mm程度高い全高を備え、ユーザーには新しいジャンルのクルマに映りました。

1997年2月にデビューし、「C/tb」「S/tb」「T/tb」の3グレードをラインナップ。199.7万円~248.5万円の価格設定で、ハイスペックな分ライバル車より高価だったものの、市場では高評価を受けて好調な販売を記録し、北米市場でも人気となりました。

1997年7月には、NA車の「C/20」を追加。搭載されたのは「EJ20型(水平対向4気筒SOHC・1997cc)」で、135psの仕様。ターボ車と同様に4速MTと5速MTが用意され、MT車には低速副変速機を付けた「デュアルレンジ」を備えました。

1998年1月、特別仕様車「S/20」を発売。C/20をベースに、フォグランプやマフラーカッターなどを装備してスポーティに仕上げたモデルで、本革巻シフトレバーやハンドブレーキレバー、MOMO製本革巻ステアリングなどを装備しました。

1998年9月にエンジンの改良を実施。ターボ車は240psにパワーダウンしたものの、最大トルクを引き上げました。
また、可変バルブタイミング機構を装備して167psを発揮する「EJ25型(水平対向4気筒DOHC・2457cc)」を搭載した、新グレード「T/25」を追加しました。T/25は4速ATのみをラインナップ。

1998年11月には、S/20をベースに、ケンウッド製サウンドシステムやフロントキャプテンシート、フロントUVカットガラスを装備した特別仕様車「S/20リミテッド」を発売。

1999年5月、特別仕様車「S/tb typeA」を発売しました。S/tbをベースに、アンダースポイラーなどのエアロパーツ、メッシュタイプゴールドアルミホイール、ゴールドエンブレム、専用シートを装備し、2000台限定で販売されました。

2000年1月にマイナーチェンジを受け、内外装のデザインを変更。2.0LのNAエンジンはリーンバーン仕様に変更して燃費を向上させました。MT車にはクラッチスタートシステムを追加し、T/25はドアミラーを大型化。グレード整理が行われ、C/20、S/20、S/tb、T/25の4グレード体制となりました。

2000年5月には、オンロードでの走行性能を高めた「S/tb-STi」を発売。S/tbをベースにエアロパーツを装着した上で、車高は1550mmまで下げられ、STIによる専用チューニングが施されたモデルで、4速ATのみを設定しました。

2000年7月、C/20をベースに15インチアルミホイールやメッキグリル、CDチェンジャー付オーディオ、電動格納式リモコンドアミラーなどを装備した「C/20スペシャル」を発売。ベースモデルのC/20とほぼ同じ価格で販売されたお得なモデルでした。

2000年12月の改良では、全車にデュアルSRSエアバッグを装備。
同時に、S/tb-STiのマイナーチェンジモデル「S/tb-STiⅡ」を発売しました。BBS製17インチアルミホイールを装備し、足回りの改良を実施したほか、新タイプのルーフレールやブラックインテリアを採用しました。
また、S/tbとT/25にはパナソニック製の専用サウンドシステムを設定し、T/25にはダーク木目調センターパネルやダークウッド色のMOMO製本革巻ステアリングを装備しました。

2001年6月には、S/20をベースに、S/tb-STiⅡと同じエアロパーツを装着し、専用のシート表皮などを装備した特別仕様車「S/20 typeA」を発売。

 
 
 
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2001年10月には、S/tbをベースに、S/tb-STiと同じエアロパーツを装着し、エンジンや足回りをSTIが専用チューンした「STiⅡタイプM」を追加しました。
さらに、S/tb-STiⅡをベースにRAYS製17インチ鍛造アルミホイールなどを装備した「S/tb-STiⅡリミテッド」と、C/20スペシャルをベースに本革巻ステアリングホイールや本革巻シフトレバー、本革巻サイドブレーキレバーなどを追加した「C/20スペシャルⅡ」を特別仕様車として発売しました。

2002年2月、2代目SG型へモデルチェンジし、販売を終了。
キープコンセプトとしながらポテンシャルを向上させ、高級感をプラス。その後、多くの競合するクロスオーバーSUVが台頭してきたことから、3代目SH型ではライバル車に近い車格とするべくサイズを大型化し、現代に至っています。

 
 
 
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スバルの代名詞とも言える4WDを最大限に活かしたフォレスターの魅力は、その走破性だけでなく、レガシィインプレッサで培ったハイパフォーマンスなエンジン、そのスポーティさを外観でも実現すべく必要以上に背を高くしなかったスタイリングなど、スバル流のクロスオーバーSUVをうまく実現できたことに終始します。
フォレスターはスバルの目論見通り、見事に第3の柱になることが出来ました。

 

 

 

 

【諸元】

 

 

 

スバル・フォレスター(初代SF型)

全長×全幅×全高 4450mm×1735mm×1580/1595mm(~2000.1)
4460mm×1735mm×1580/1595mm(2000.1~)
4460mm×1735mm×1550mm(S/tb-STi
4460mm×1735mm×1535mm(S/tb-STiⅡ)
4485mm×1735mm×1535mm(STiⅡタイプM)
ホイールベース 2525mm
乗車定員 5名
エンジン EJ20型 水平対向4気筒DOHC 1994cc(135ps/5600rpm)(~1998.9)
EJ20型 水平対向4気筒DOHC 1994cc(137ps/5600rpm)(1998.9~)
EJ20T型 水平対向4気筒DOHC ICターボ 1994cc(250ps/6250rpm)(~1998.9)
EJ20T型 水平対向4気筒DOHC ICターボ 1994cc(240ps/6000rpm)(1998.9~)
EJ20T型 水平対向4気筒DOHC ICターボ 1994cc(250ps/6000rpm)(STiタイプM)
EJ25型 水平対向4気筒DOHC 2457cc(167ps/6000rpm)
駆動方式 4WD
トランスミッション 4AT/5MT
タイヤサイズ 205/70R15
215/60R16
225/45ZR17(S/tb-STiⅡ/STiタイプM)