【三菱】コルト600(A13型)

三菱にとって戦後初の自社制作乗用車となった三菱・500の、モデルチェンジ版して1962年に生まれたのがコルト600。

基本構造は三菱・500を踏襲したことなどから販売は低迷し、1965年には後継となるコルト800が発売となり、短命に終わりました。

 
 
 
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【三菱・コルト600(A13型)の歴史】

 

 

国民車構想に基づいた大衆車を目指して製作された三菱・500は、1960年に発売され、その名のとおり500ccのエンジンを搭載した小型2ドアセダンで、39万円という低価格を実現しました。
翌年には、600ccに排気量をアップした「スーパーDX」が追加されて販売拡大を狙いましたが、強力なライバルとなるトヨタ・パブリカ(初代P10/20型)も登場する中で、軽自動車と大差のない三菱・500は競争力不足となり、販売は苦戦しました。

そこでフルモデルチェンジを実施し、1962年7月にデビューしたのがコルト600。シャシーは三菱・500から流用され、RRレイアウトのフルモノコック構造。サスペンションは前後ともトレーリングアーム式を採用した四輪独立懸架でした。

エンジンは、三菱・500スーパーDX用のNE35A型から、「NE35B型(空冷直列2気筒・594cc)」に型式は変更となりましたが、スペックは変わらず、最高出力は25ps。
トランスミッションも同じ3速MTを採用。シフトレバーはフロア式からコラム式となり、シフトパターンも一般的なH型に変更されました。

 
 
 
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大きく変わったのはボディスタイル。ボンネットやトランクが下がったスタイルから一転して、フェンダーを立てたフラットデッキスタイルに生まれ変わり、流行に即したモダンな印象を持つものとなりました。その恩恵で、ボンネット内にはトランクスペースも生まれ、実用性も向上。
ボディサイズは全長3385mm×全幅1410mm×全高1370mmで、一回り大きくなりました。

コラムシフトとなったことで、前席はベンチシートとなり、後席にはアームレストが取り付けられるなど、豪華さも意識。
計器類は速度計と燃料計のみですが、周りを囲うフードが取り付けられたほか、ラジオの標準装備やワイパーのオートストップ化など、高級化されました。

1962年の第9回全日本自動車ショーには、ルーフを切り取り、車体を強化したコンバーチブルモデルを出展。ソフトトップは折り畳んでトランクスペースに収めることが可能でした。
さらに、独自開発した電磁クラッチ付きのイージードライブモデルも展示されましたが、いずれも生産化には至りませんでした。

基本構造は三菱・500のままだったことが災いし、売上は低迷。1965年には、後継モデルとなるコルト800が発売され、コルト600は生産を終えました。
その後コルト1000F、コルト1100F、コルト11Fと排気量を拡大したコルト800とは別に、1963年からは上級シリーズのコルト1000も登場しており、これがコルト1100、コルト1200、コルト1500へと発展し、コルトギャランへと系譜を繋いでいくことになります。

 
 
 
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国民車構想から生まれた三菱・500の後を継いだコルト600は、少しずつスタイリッシュさや豪華さを意識したクルマ作りがなされましたが、ライバル他車に比べるとまだ競争力不足だったことで、販売不振となりました。
乗用車メーカーとしての道を歩み始めたばかりの三菱は、コルト600で着実なステップアップを図り、後のモデルへと活かしていくのでした。

 

 

 

 

【諸元】

 

 

三菱・コルト600(A13型)

全長×全幅×全高 3385mm×1410mm×1370mm
ホイールベース 2065mm
乗車定員 5名
エンジン NE35B型 空冷直列2気筒OHV 594cc(25ps/4800rpm)
駆動方式 RR
トランスミッション 3MT
タイヤサイズ 5.20-12 4P