【三菱】ギャラン(2代目A110型)

質実剛健だった三菱のイメージを、スポーティなものに変えた初代モデルから、ボディサイズを大型化して正統派セダンに生まれ変わった2代目ギャラン。

提携していたクライスラーとの関係や、下位モデルであるランサーの登場などの背景もあり、ギャランの個性は薄れてしまい、販売は低迷しました。

 

 

 


【三菱・ギャラン(2代目A110型)の歴史】

 

 

デボネア(初代A30型)やコルトシリーズなどにより質実剛健なイメージがあった三菱は、1969年に発売したコルトギャラン(初代A50型)や、その派生モデルであるコルトギャランGTO(A50型)によって、スポーティなイメージを確立し、モータースポーツでも活躍しました。

トヨペット・コロナやダットサン・ブルーバードなどのライバル車は、ボディサイズや排気量をモデルチェンジ毎に大型化する中、コルトギャランもモデルチェンジを計画。1.2L~1.4Lクラスをカバーするコンパクトセダンであるランサー(初代A70/140型)が、1973年2月にデビューすることから、1.4L~1.7Lのラインナップだったコルトギャランは、ランサーとはバッティングしない排気量レンジに上級移行しました。
さらに、クライスラーとの提携関係にあった三菱にとっては、ダッジ・コルトとして北米で販売されることも考慮しなければならず、大型化は必然でした。

駆動方式やサスペンションは先代を踏襲しており、オーソドックスなFRレイアウトで、フロントにマクファーソン式の独立懸架、リアに半楕円リーフスプリング式の車軸懸架を採用。

エンジンは多岐に及び、先代から引き継いだ「4G32型(直列4気筒SOHC・1597cc)」は、シングルキャブの通常仕様の他に、MCA-Ⅱと呼ぶ排気ガス対策仕様エンジンも用意。タクシー向けのLPG仕様も存在していました。
さらに、「4G51型(直列4気筒SOHC・1855cc)」はシングルキャブの105ps、ツインキャブの115ps、「4G52型(直列4気筒SOHC・1995cc)」はシングルキャブの115ps、ツインキャブの125psをラインナップしました。4G51型と4G52型は新開発の通称アストロンエンジンと呼ばれました。
トランスミッションは、グレードにより3速MT、4速MT、5速MTが存在し、2.0Lの「GL-Ⅱ」には3速ATも準備されました。

ボディタイプは4ドアセダンと2ドアハードトップが踏襲され、セダンは全長4200mm×全幅1600/1615mm×全高1375/1395mm、ハードトップは全長4200mm×全幅1600/1615mm×全高1360/1380mmのボディサイズで、先代よりも一回り大型化しました。
エステートV」と呼んだ5ドアバンは「エステートバン」に改称しました。

丸型4灯式ヘッドランプのフロントマスクに、横基調のフロントグリルなど、個性を抑えた全体的にクリーンなデザイン。ハードトップは、Bピラーを持たない開放的なサイドビューを実現し、サイドまで回り込むリアウインドウは視認性も優れるものでした。
全体的に当時のクライスラー車と共通のデザイン処理がなされており、輸出を念頭に置いたものだったことが伺えます。

3連の丸型メーターを採用したインパネにはスイッチ類が少なく大変シンプルで、ステアリングコラム右側の1本のレバーで5つの操作が可能なマルチユースレバーを採用。ウインカー操作、ヘッドライトHi-Lo切り替え、パッシング操作に加えて、ワイパーやウインドウウォッシャーまでが可能でした。

1973年6月、「ニューギャラン」の愛称で販売を開始。しかし先代に比べるとインパクトが薄く、販売成績は低迷し、直後に起こったオイルショックの影響もあり、さらに大きな打撃を受けました。

1974年8月には、MCA-Ⅱ仕様車が昭和50年排ガス規制に対応。ライバル他車に先駆けた対応で、クリーンさをアピールしました。

1975年2月、輸出仕様と同じ内外装を持つ「1600GT」シリーズを追加しました。丸型2灯式ヘッドライトやサイドストライプを採用。

1975年11月には、主力モデルが昭和50年排ガス規制に適合し、翌年の規制もクリアしましたが、販売不振を打破すべく、フルモデルチェンジを決定。
1976年5月に個人向けセダンが、ギャランΣ(3代目A120/130型)にバトンタッチして販売終了。ハードトップは1976年11月にギャランΛ(初代A120/130型)にモデルチェンジ。最後まで残ったタクシー向けセダンと5ドアバンも、1977年8月にギャランΣにフルモデルチェンジとなりました。

北米市場を意識したデザインによって、個性が薄くなったことが災いし、比較的短命に終わった2代目ギャラン。
その反動か、後継のA120/130型ではヨーロピアン調に生まれ変わり、歴代のギャランシリーズ中で最も多い販売台数を記録するモデルとなりました。失敗が成功を呼んだ1つの例かもしれません。

 

 

 

 

【諸元】

 

 

 

三菱・ギャラン(2代目A110型)

全長×全幅×全高 4200mm×1600/1615mm×1375/1395mm(4ドアセダン)
4200mm×1600/1615mm×1360/1380mm(2ドアハードトップ
ホイールベース 2420mm
乗車定員 5名
エンジン 4G32型 直列4気筒SOHC 1597cc(97ps/6300rpm)(MCA-Ⅱ仕様)
4G32型 直列4気筒SOHC 1597cc(100ps/6300rpm)
4G51型 直列4気筒SOHC 1855cc(105ps/6000rpm)
4G51型 直列4気筒SOHC 1855cc(115ps/6200rpm)
4G52型 直列4気筒SOHC 1995cc(115ps/6000rpm)
4G52型 直列4気筒SOHC 1995cc(125ps/6200rpm)
駆動方式 FR
トランスミッション 3AT/3MT/4MT/5MT
タイヤサイズ 5.60-13 4P
6.45-13 4P
A78-13 4P
165SR13