【トヨタ】ウィンダム(初代XV10型)

トヨタ・カムリプロミネントの後継として1991年に登場したウィンダムは、FFレイアウトにV6エンジンを搭載する3ナンバーセダンで、北米市場を意識したクルマ。

海外向けにはレクサス・ESとして販売された高級セダンでした。

 

 

 


トヨタウィンダム(初代XV10型)の歴史】

 

 

1986年にフルモデルチェンジしたトヨタ・カムリ(3代目V20型)は、1987年からカムリプロミネント(初代V20型)をラインナップに加えました。北米仕様と同じ大型バンパーを備え、2.0LのV6エンジンを搭載し、装備なども充実した上級仕様でした。

そもそも北米市場では6気筒エンジン搭載車が人気。トヨタはそれまで、クレシーダ(マークⅡの輸出仕様車)を北米で販売してきましたが、FRレイアウトに直列6気筒とコンベンショナルな方式だったクレシーダに代えて、当時人気になりつつあったFFレイアウトにV型6気筒を搭載したモデルを作り出したのでした。カムリプロミネントは、発足したばかりのレクサスブランドからES250として販売されました。

国内メーカーではまだ、V6エンジン搭載のFFセダンは少なく、輸出向け仕様を国内でも販売した日産・ブルーバードマキシマ(初代U11型/2代目J30型)や、V6搭載グレードを途中で追加した三菱・ギャランΣ/エテルナΣ(E10型)、ホンダのフラッグシップカーであるホンダ・レジェンド(初代KA1-6型)など。
そんな中で、ギャランΣ/エテルナΣハードトップの後継車である三菱・ディアマンテ(初代F10/20型)は、好景気に伴って高級セダンが好調だったことや、税制改正を味方にして全車3ナンバーのワイドボディにしたことなどにより、FF高級セダンとして初とも言える、大ヒットを記録していました。

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カムリは、1990年に4代目V30型にモデルチェンジし、V6エンジンを搭載するプロミネントも継続してラインナップしていましたが、ディアマンテに対抗でき、北米市場をメインターゲットにした、FF高級セダンとして新たに計画されたのが、ウィンダムでした。
また、当時カローラ店に3ナンバーセダンの取り扱いがなかったため、その穴を埋める役割も果たしました。

プラットフォームは、同時期に発売されたカムリの北米向けワイドボディと共通。この北米向けカムリは後にセプター(XV10型)として国内でも販売されました。
ホイールベースは従来型のカムリよりも長い2620mmに設定。サスペンションはカムリと同一形式の4輪ストラット式が採用されました。

エンジンは当初1種類で、200psを発揮する「3VZ-FE型(V型6気筒DOHC・2958cc)」。
トランスミッションは4速ATが組み合わせられました。

 
 
 
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ボディは4ドアハードトップのみ。3ナンバー専用ボディは、当然ながらカムリプロミネントより一回り大きく、全長4780mm×全幅1780mm×全高1390mm。当時のクラウン(9代目S140型)よりもやや小さいくらいでした。プラットフォームを共通とする北米向けカムリとはほぼ同サイズ。
全高を抑えた3ボックススタイルに、4灯式プロジェクターヘッドランプが採用されるなど、全体的にスタイリッシュさを感じる外観でした。

高級車らしく装備も充実しており、オプティトロンメーターやスーパーライブサウンドシステムが用意され、上位グレードには、電子制御サスペンションの「TEMS」やトラクションコントロール、ABS、運転席エアバッグなども標準装備しました。

1991年9月に発売され、「3.0」と「3.0G」の2グレード体制でスタート。同時に、北米ではレクサス・ES300として販売が開始され、国内にはない5速MT車も存在しました。

1993年8月、2.5Lを搭載していたカムリプロミネントを吸収する形で、「4VZ-FE型(V型6気筒DOHC・2496cc)」を搭載した「2.5」を追加しました。

1994年8月のマイナーチェンジで、前後ランプの意匠変更を実施。インテリアでは、木目調パネルの範囲拡大や、大型コンソールボックスを採用しました。
また、2.5L車には装備を充実させた「2.5G」を追加。

1995年4月には、2.5をベースとした特別仕様車「2.5レクスター」を設定。スーパーシルバーⅢメタリックトーニングGという新色を採用しました。

1996年8月にフルモデルチェンジとなり、2代目XV20型にバトンタッチ。外観においては前後デザインを含めてキープコンセプトで、プラットフォームを共通とする北米向けカムリのモデルチェンジに伴うものでした。
北米向けカムリは国内でもカムリグラシアとして発売され、従来型の国内向けカムリ(5代目V40型)と併売。1998年にV40型が生産終了になった後は、グラシアのサブネームが取れてカムリとなり、その後現代にまで系譜を繋いでいます。
一方のウィンダムは、3代目XV30型まで発売された後、2006年に生産を終え、カムリ(8代目XV40型)に統合され、元の鞘に戻る形となりました。

FF高級セダンとして、カムリを高級化しただけのプロミネントは、マークⅡ/チェイサー/クレスタなどよりも格下の印象が拭いきれずにいましたが、北米向けに用意されたカムリのワイドボディをベースに、国内で人気だったハードトップ化したウィンダムは、堂々とFF高級セダンとして訴求することに成功しました。
クラウンやマークⅡなどの正統派FRセダンとは異なる販売路線は、世界戦略車として大型化を続けた現代のカムリに通じています。

 

 

 

【諸元】

 

 

 

トヨタウィンダム(初代XV10型)

全長×全幅×全高 4780mm×1780mm×1390mm(~1994.8)
4785mm×1780mm×1390mm(1994.8~)
ホイールベース 2620mm
乗車定員 5名
エンジン 4VZ-FE型 V型6気筒DOHC 2496cc(175ps/6000rpm)(1993.8~)
3VZ-FE型 V型6気筒DOHC 2958cc(200ps/5800rpm)
駆動方式 FF
トランスミッション 4AT
タイヤサイズ 205/65R15