【トヨタ】アルテッツァ(XE10型)

トヨタが1998年に発売したアルテッツァは、走り好きが飛びついたFRスポーツセダン。

2.0LのハイパワーNAエンジン、6速MT、そしてスポーツセダンに相応しいスタイリングなど、モデルバリエーションの豊富なトヨタだからこそ出来た、遊びのクルマでした。

 

 

 


トヨタアルテッツァ(XE10型)の歴史】

 

 

1970年代にコンパクトクラスから始まった乗用車のFF化は、80~90年代には次第にミドルクラスやアッパーミドルクラスにまで至り、セダンばかりでなく、それをベースとするスペシャリティカーもFF化していきました。

トヨタで言えば、コロナやカリーナをベースにしたセリカは1985年の4代目T160型から、カローラレビン/スプリンタートレノは1987年の6代目E90型から、FF化されており、走りを楽しめるFRスポーツで1990年代まで生き残っていたのは、ソアラ(3代目Z30型)やスープラ(2代目A80型)などの本格スポーツカーや、マークⅡ/チェイサー/クレスタ(X90型)に存在したツインターボ搭載グレードくらい。いずれも、大柄なボディサイズや高価な価格設定により、手軽に楽しめるスポーツモデルではなかったため、コンパクトなFRセダンの開発がスタートしました。

一方で、海外展開を行うレクサスブランド向けに、フラッグシップセダンのLS(2代目XF20型)(日本名:セルシオ)、スポーティなプレミアムセダンのGS(2代目S160型)(日本名:アリスト)、FFプレミアムセダンのES(2代目XV20型)(日本名:ウインダム)に次ぐ、欧州Dセグメント車への対抗車種としての役割も担うこととなり、スポーツセダンとプレミアムセダンを両立する必要が生じました。

プログレ(初代XG10型)に採用されていたプラットフォームを改良し、サスペンションには4輪ダブルウィッシュボーン式を採用。プログレも、欧州Dセグメント車のような、小さな高級車をテーマに開発されたモデルであることから、ロングホイールベースのFRプラットフォームがコンセプトに合致しました。
また、アリスト用の大径ブレーキ(リアはアリスト用より1サイズ大きいもの)が採用され、非常に高い制動性能を実現しています。

国内向けには2種類の2.0Lエンジンが用意され、160psの「1G-FE型(直列6気筒DOHC・1988cc)」と、210ps(AT車は200ps)の「3S-GE型(直列4気筒DOHC・1998cc)」で、前者がラグジュアリー志向の「AS200」に、後者がスポーティ志向の「RS200」に搭載されました。
トランスミッションは、AS200には4速ATを、RS200には5速ATと6速MTを用意。

デザインのポイントは、ショートオーバーハングとロングホイールベース。これに大径ホイールを装着することで、スポーティなスタイリングを実現しています。メルセデスベンツ・Cクラス(初代W202型)やBMW・3シリーズ(4代目E39型)とも共通するスタイリングで、後のトヨタやレクサスの高級セダンにも受け継がれています。

スポーティなブラック基調の内装で、バケットシートを装備。スピードメーターの内側に水温計などの3つの計器をレイアウトした、クロノグラフ形状のメーターパネルも、インテリアの特徴でした。
当初はアルミニウム削り出しのシフトノブが採用されていましたが、夏場の炎天下での使用に支障があり、後に合成皮革製のものも登場しました。

1998年10月に発売され、AS200とRS200のそれぞれに「Zエディション」を設定。17インチアルミホイールフォグランプ、本革巻きステアリングなどを装備したスポーティ仕様でした。発売後は、走り好きの若者を中心に、RS200の6速MT車が売れ筋となりました。

 
 
 
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レクサスブランド版は1999年から「IS」として販売されました。欧州Dセグメントに対抗するモデルの位置づけのため、3S-GEエンジン搭載車はなく、全車直列6気筒。北米では3.0Lのみ、欧州では2.0Lと3.0Lがラインナップされ、高級ブランドであるレクサスの基準を満たすため、国内向けに比べて上質な質感や装備が奢られました。
全長4500mm前後の高級セダンは、当時ドイツ車しか存在しておらず、ライバル車の少ない環境もあって、非常に高い人気を得ました。

1999年5月には、ISと同等のラグジュアリー仕様とした「Lエディション」を追加しました。

2000年5月になると、AS200にも6速MTを設定し、特別仕様車だったLエディションをカタロググレード化しました。

2000年8月に「AS200 iエディション」、2001年1月に「AS200 ヨーロピアンエレガントエディション」と、AS200をベースに外観や快適装備を充実させた特別仕様車を設定。

2001年5月にマイナーチェンジを受け、フロントグリルはISと共通化され、HIDヘッドランプの一部採用や、LEDストップランプのオプション設定が行われました。

 
 
 
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2001年7月には、ステーションワゴン風の5ドアハッチバックアルテッツァジータ」を発売。レクサスからは、ISスポーツクロスとして販売されました。ワゴンやハッチバックの利便性や、クーペのようなスタイリッシュさを、アルテッツァの走りに融合した、欧州でいうシューティングブレイクのようなモデル。
アルテッツァと同様の1G-FE型に加えて、ISに搭載されていた220psの「2JZ-GE型(直列6気筒DOHC・2997cc)」をラインナップしました。グレードは、排気量ごとに「AS200」「AS300」を設定し、AS200にはスポーティな内外装の「Zエディション」、AS200とAS300に豪華装備の「Lエディション」、AS300には装備をシンプル化した「Nエディション」を用意しました。

2001年10月には「Wiseセレクション」、2002年8月には「WiseセレクションⅡ」と、AS200をベースにした特別仕様車を設定しました。

2003年8月には、HIDヘッドランプを全車に標準装備したほか、ボディカラーの見直しを実施。
また、ジータは6速MTの廃止と、AS300 Nエディションが廃止されました。

2005年7月に販売終了。8月からレクサスブランドの国内展開開始に伴い、後継はレクサス・IS(国内初代XE20型)となりました。XE20型以降のISは、アルテッツァよりも大幅に価格帯を上げ、クラウンなどとプラットフォームを共有するプレミアムセダンへと進化しました。

FRのスポーツモデルが数少なくなる中、2ドアクーペ市場の縮小もあり、4ドアFRスポーツセダンの開発に踏み切ったトヨタ
クラウンやマークX、レクサス各車など、その後のトヨタの高級セダンにも通ずる、ラグジュアリーとスポーティを兼ね備えたスタイルの礎を作りました。

 

 

 

 

【諸元】

 

 

 

トヨタアルテッツァ(XE10型)

全長×全幅×全高 4400mm×1720mm×1410mm(~2001.5)
4400mm×1725mm×1410mm(2001.5~)
4505mm×1725mm×1420mm(ジータ)
ホイールベース 2670mm
乗車定員 5名
エンジン 3S-GE型 直列4気筒DOHC 1998cc(200ps/7000rpm)(AT車
3S-GE型 直列4気筒DOHC 1998cc(210ps/7000rpm)(MT車
1G-FE型 直列6気筒DOHC 1988cc(160ps/6200rpm)
2JZ-GE型 直列6気筒DOHC 2997cc(220ps/5800rpm)(ジータ)
駆動方式 FR
トランスミッション 4AT/5AT/6MT
タイヤサイズ 195/65R15
215/45ZR17