【ダイハツ】タント(初代L350/360型)
スズキ・ワゴンRやダイハツ・ムーヴなどの売れ筋トールワゴンよりも、更に全高を高く設定して大ヒットしたタントは、それまでにない抜群の広い室内空間と使い勝手の良さを備えていました。
現在では軽自動車の最も売れ筋ジャンルとなった「軽スーパートールワゴン」を新たにを確立しました。
【ダイハツ・タント(初代L350/360型)の歴史】
軽自動車の売れ筋モデルがトールワゴンとなったのは、1993年のスズキ・ワゴンRの登場が発端。
2年後にはダイハツ・ムーヴが発売され、販売競争が繰り広げられました。その後もホンダ・ライフや三菱・トッポBJ、スバル・プレオなどのライバル車が続々と登場し、それまでの軽ボンネットバンにはない室内空間の広さから、軽自動車の主力ジャンルとなっていました。
ワゴンRが好調のスズキとの差を埋めるべく、2003年にダイハツが送り出したのがタント。全高は、1630mmだったムーヴを95mmも上回る1725mmに設定。さらに、低床化を図ったため室内高を高くすることができました。
また、ホイールベースはムーヴよりも50mm長い2440mmとしたことで、室内長はムーヴより115mmも長い2000mmを誇りました。
ボディ形状は2ボックススタイルながら、エンジンフードを極限まで短くし、Aピラーの角度を立たせることで、室内空間の拡大を図りました。2代目以降は後席スライドドアを採用し、また人気の要因となりますが、初代モデルは後席もヒンジドアとしていました。
運転席側にオフセットされたセンターメーターを採用し、大きなグラスエリアと相まって、視界の良さと開放感は抜群。シフト位置はステアリングコラムの左側に配置するインパネシフトとし、前席はベンチシートを採用。左右のウォークスルーを確保しました。
エンジンは、NA仕様の「EF-VE型(直列3気筒DOHC・659cc)」と「EF-DET型(直列3気筒DOHCターボ・659cc)」の2種類が用意され、それぞれ58psと64ps。トランスミッションは4ATが基本で、NAエンジンの4WD車のみが3AT。FFと4WDが全てのグレードで選択可能でした。
2003年11月にデビューし、当初はその奇抜な頭でっかちなスタイリングが賛否両論でしたが、室内空間の広さが受け、チャイルドシートを装着した際の利便性など、特に子育て世代の女性からの人気が高まりました。
2005年6月、押し出しの強い専用のフロントマスクやエアロパーツを装着して、外観をスポーティにした「タントカスタム」を発売。エンジンは標準型タントと同様にNAとターボの2種類をラインナップし、駆動方式もFFと4WDが用意されました。
同時にタントも改良が行われ、パワーウィンドウスイッチをインパネからドアパネルへ変更して使い勝手を向上させたほか、フロントマップランプや残照式ルームランプなどを標準装備しました。さらに、4WD車の電動格納式ミラーにヒーター機能を追加しました。
11月、福祉車両の「タント・フロントシートリフト」を発売しました。スイッチ操作で助手席が回転し、車外へ下降していくことで、車いす等からの乗り降りがしやすくなっています。
2006年8月には福祉車両「タント・スローパー」を発売。大開口バックドアに引き出し式スロープを備えた車いす仕様車で、室内空間の広いタントならではの車両でした。リアシートレス仕様、リアシート付き仕様、福祉タクシー仕様の3ラインナップで、福祉タクシー仕様以外には助手席シートリフトもオプション設定されました。
2007年12月、後席スライドドアを備えた2代目にフルモデルチェンジし販売終了。
以降のモデルでも、その室内空間の広さを生かしながら、快適装備や安全装備などを装着して高級感を高め、ミニバンのような洗練されたデザインも人気となり、ダイハツの主力車種へと成長しました。
タントによってスーパートールワゴンの人気が火が付き、ホンダ・N BOX、スズキ・パレット、三菱・eKスペースなどのライバル車が続々と登場し、軽自動車の最も売れ筋のクラスとなりました。この新ジャンルを確立した初代タントが残した功績は、非常に大きなものでした。
【諸元】
ダイハツ・タント(初代L350/360型)
全長×全幅×全高 | 3395mm×1475mm×1725mm |
ホイールベース | 2440mm |
乗車定員 | 4名 |
エンジン | EF-VE型 直列3気筒DOHC 659cc(58ps/7600rpm) |
EF-DET型 直列3気筒DOHCターボ 659cc(64ps/6400rpm) | |
駆動方式 | FF/4WD |
トランスミッション | 3AT/4AT |
タイヤサイズ | 145/80R13 |
155/65R14 | |
165/55R15 |