【日産】ステージア(初代WC34型)

レガシィで火が付いた1990年代のステーションワゴンブーム。セダンの乗り味のまま、ラゲッジルームが大きく使い勝手のいいワゴンが重宝され、大小さまざまな車種が各メーカーから投入されました。

全車6気筒エンジンを搭載し、3ナンバー専用ボディを纏った上級ワゴンとしてデビューしたステージアは、高級感と走行性能、そして実用性にも優れた新たなワゴンのスタイルでした。

 

 

 


日産・ステージア(初代WC34型)の歴史】

 

 

1989年にデビューしたレガシィのヒット以降、各メーカーのステーションワゴンのラインナップは着々と充実していきました。
トヨタ・カローラ/スプリンターツーリングワゴン(E100型)や日産・サニーカリフォルニア(Y10型)、ホンダ・シビックシャトル(EF1/2/3/5型)、三菱・リベロ(CD9/CE9型)、スバル・インプレッサスポーツワゴン(GF型)などのクラスがボトムライントヨタカルディナ(T190型)や日産・アベニール(W10型)、マツダ・カペラカーゴ(GV型)などがファミリーカークラス。スバル・レガシィツーリングワゴン(BG型)、ホンダ・アコードワゴン(CE1/CF2型)がその上に位置していました。トヨタ・マークⅡワゴン(X70型)やトヨタ・クラウンワゴン(S130型)、日産・セドリック/グロリアワゴン(Y30型)は上級ワゴンながら、1980年代の旧型を継続生産しており、既に旧態化が進んでいました。さらに、トヨタ・セプターワゴン(XV10型)は北米向けカムリを国内販売したもので、大柄なボディとは裏腹に、装備等は上級とは言い難いものでした。

1996年10月に日産が送り出したステージアは、セプターワゴンに匹敵する大きな3ナンバーボディを持ち、マークⅡワゴンやクラウンワゴンにも対抗できる豪華な内装や装備を備え、スカイラインをベースとすることでレガシィにも対抗できる運動性能を持つ、新しい上級ワゴンのスタイルを持ってデビューしました。

スカイライン(9代目R33型)やローレル(7代目C34型)とプラットフォームを共用したことから、実質的にはこれらのワゴン仕様でした。
ボディは堂々とした全長4800mm×全幅1755mm×全高1490mmのサイズを持ち、広いラゲッジスペースは実用性十分。ワゴンながらも4ドアハードトップのようなサッシュレスドアを持っており、ワイド&ローのスタイルと、シンプルであっさりとしたフロントマスクなども、スポーティなイメージを訴求しました。

発売当初ラインナップされた搭載エンジンは3種類で、130psの「RB20E型(直列6気筒SOHC・1998cc)」をベースとし、主力となる190psの「RB25DE型(直列6気筒DOHC・2498cc)」、インタークーラーターボを装備して235psを発揮する「RB25DET型(直列6気筒DOHCターボ・2498cc)」。
トランスミッションは4ATで、一部グレードには5MTも用意されました。ブレーキには4輪Vディスクを採用。駆動方式はFRを基本に、4WDも設定されました。

1997年8月のマイナーチェンジでは搭載エンジンを変更しました。RB20E型はDOHC化されて「RB20DE型(直列6気筒DOHC・1998cc)」となり155psにパワーアップ。RB25DE型は通称「NEOストレート6」に改良されて200psにパワーアップしました。

10月、オーテックジャパンが手掛けた特別仕様車「260RS」が発売。スカイラインGT-R(R33型)のパワートレーンをそのまま流用した極め付けのスポーツワゴン。エンジンは「RB26DETT型(直列6気筒DOHCツインターボ・2568cc)」で、スカイラインGT-Rと同じ280psを発揮しました。

1998年8月にマイナーチェンジし後期型となりました。フロントマスクやリアコンビネーションランプなどのデザイン変更により、グリルに埋め込まれたフォグランプが特徴。
そして、RB25DET型エンジンも改良を受けて280psにパワーアップしました。

特別仕様車の発売なども経て、2001年3月には生産を終了して在庫対応とし、10月に2代目となるM35型にフルモデルチェンジ。
V35型のスカイラインをベースとした新たなステージアへ移行しました。次第にミニバンやSUVのニーズが高まり、ステーションワゴン市場の縮小のため、2007年にはステージアの名は途絶えてしまうことになりました。

ステーションワゴンの人気絶頂の中、堂々としたサイズと高級感、使い勝手の良さ、そしてスカイライン譲りの優れた走行性能が評価されて人気モデルとなりました。
単純なスカイラインのワゴンではなく、多目的車としての魅力を持ち合わせることで、新しいマーケットを開拓した、ステーションワゴン史に残る1台です。

 

 

 

【諸元】

 

 

日産・ステージア(初代WC34型)

全長×全幅×全高 4800mm×1755mm×1490mm(FR車)
4800mm×1755mm×1495mm(4WD車)
4885mm×1755mm×1510mm(260RS)
ホイールベース 2720mm
乗車定員 5名
エンジン RB20E型 直列6気筒SOHC 1998cc(130ps/5600rpm)
RB20DE型 直列6気筒DOHC 1998cc(155ps/6400rpm)
RB25DE型 直列6気筒DOHC 2498cc(190ps/6400rpm)
RB25DE型 直列6気筒DOHC 2498cc(200ps/6400rpm)
RB25DET型 直列6気筒DOHCターボ 2498cc(235ps/6400rpm)
RB25DET型 直列6気筒DOHCターボ 2498cc(280ps/6400rpm)
RB26DETT直列6気筒DOHCツインターボ 2568cc(280ps/6800rpm)
駆動方式 FR/4WD
トランスミッション 4AT/5MT
タイヤサイズ 195/65R15
205/60R15
205/55R16
225/50R17