【トヨタ】カルディナ(初代T190型)

1990年代前半、RVブームの煽りを受けて人気を博したステーションワゴントヨタが、ワゴン専用モデルとして満を持して投入したのがカルディナでした。

理想のステーションワゴンを目指して開発された自信作で、一定の結果を残すも、リーダーカーだったレガシィツーリングワゴンとは何が違ったのか。

 
 
 
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カルディナ(初代T190型)の歴史】

 

 

 

1980年代までは、ステーションワゴンは決して人気ジャンルではありませんでした。セダンモデルに設定された商用バリエーションであるバンを乗用仕様や装備にしたもの、といったイメージが先行し、商用車の域を脱することが出来ずにいました。

そんな常識を覆したのが1989年にデビューしたスバル・レガシィ。商用モデルを設定せずに、乗用ワゴンとして専用設計され、フルタイム4WDやハイパフォーマンスエンジンと相まって人気を博しました。

トヨタもこれに続くべく、デビューさせたのがカルディナでした。ワゴンの他にバンも設定。ワゴンモデルのカリーナサーフ、バンのコロナバンとカリーナバン、この3車種の統合後継車として、1992年11月にデビューしました。

この頃、日産も同様の動きを見せており、スカイラインワゴン/バンとブルーバードワゴン/バンを統合し、1990年にアベニールを発売。カルディナと同様にワゴンとバン(カーゴ)が設定されました。

初代カルディナは、T190型コロナ/カリーナをベースに、曲面を多用したスポーティなデザインの専用ボディが与えられ、全長4545mm×全幅1695mm×全高1450mmのボディサイズ。居住空間やラゲッジルームはクラストップレベルの広さを誇りました。

搭載されたエンジンは、ハイメカツインカムガソリンエンジン2種類「4S-FE型(直列4気筒DOHC・1838cc)」「3S-FE型(直列4気筒DOHC・1998cc)」と、ディーゼルエンジン1種類「2C型(直列4気筒SOHCディーゼル・1974cc)」。
バンは、同様のディーゼルエンジンと1.5Lのガソリンエンジン「5E-FE型(直列4気筒DOHC・1496cc)」。

駆動方式はFFと4WDがラインナップされ、トランスミッションは4ATと5MTが設定されました。ワゴンのサスペンションは4輪ストラットが採用されましたが、バンのリアはリーフリジッドとされ、積載性能とコストが考慮されています。

ワゴンのグレード構成は、上から「TZ」「CZ」「FZ」の3つ。全車にオートエアコン、パワーウィンドウ、3本スポークのスポーティなステアリングなどを標準装備しました。後席には6:4の分割可倒式を採用。

華々しくデビューしたカルディナでしたが、フロントマスクから受ける印象はコロナ。デザインは若々しく変わっていたものの、新鮮な印象は薄く、同じスタイルでバンもデビューさせたことが拍車をかけました。広くて使い勝手のいいラゲッジルームだからこそのバン設定ではありますが、当時レガシィツーリングワゴンに憧れたレジャーユースのユーザーには、マイナスイメージとなってしまったのです。

 
 
 
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1993年2月には、スカイキャノピー仕様を発売。ルーフを85mmも高くし、大型の5分割サンルーフを備えたスカイキャノピーは、特に後席からの眺めが抜群で、非常に高い開放感を実現。最上級グレードのTZがベースとされていることから、装備面でも充実しており、RV時代には魅力的な仕様でした。

1995年2月、新グレード「TZ-G」を追加。175ps(AT車は165ps)を発揮する「3S-GE型(直列4気筒DOHC・1998cc)」を搭載し、4WD専用グレードとされました。

 
 
 
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1996年1月にはマイナーチェンジを受け、インパネはT210型コロナプレミオと同一デザインに変更されました。1.8Lエンジンは「7A-FE型(直列4気筒DOHC・1762cc)」に、ディーゼルエンジンは「2C-T型(直列4気筒SOHCディーゼルターボ・1974cc)」に変更。
スカイキャノピーに代わり、大型サンルーフを採用した「エアリアル」をTZとTZ-Gに設定し、全高はスカイキャノピーよりも35mm低くなりました。

1997年9月、2代目に入れ替える形でワゴンは販売終了し、フルモデルチェンジ。

一方でバンは継続販売され、1999年にはディーゼルエンジンを「3C-E型(直列4気筒SOHCディーゼル・2184cc)」に換装、4WDには3S-FE型搭載モデルを追加しました。
その後2002年7月にバンも終了となり、サクシードが後継車となりました。

ワゴン専用に設計されたカルディナは、軽快で気持ちのいい走りや乗り心地、使い勝手のいいラゲッジルーム、スポーティなデザインなど、それまでのカリーナサーフなどにはない魅力を確実に持っており、好調な販売台数で、一時期はトヨタの主力モデルとなりました。
しかしながら、レガシィツーリングワゴンの若々しくスポーティなイメージを塗り替えることは出来ず、
販売面でもレガシィを凌ぐことは出来ませんでした。

 

 

【諸元】

 

 

トヨタカルディナ(初代T190型)

全長×全幅×全高 4545mm×1695mm×1425mm(バン)
4545mm×1695mm×1450mm(ワゴン標準ルーフ)
4545mm×1695mm×1520mm(エアリアル
4545mm×1695mm×1520mm(スカイキャノピー)
ホイールベース 2580mm
乗車定員 5名
エンジン 5E-FE型 直列4気筒DOHC 1496cc(94ps/5400rpm)バンのみ
7A-FE型 直列4気筒DOHC 1762cc(115ps/5400rpm)
4S-FE型 直列4気筒DOHC 1838cc(125ps/6000rpm)
3S-FE型 直列4気筒DOHC 1998cc(140ps/6000rpm)
3S-GE型 直列4気筒DOHC 1998cc(175ps/7000rpm)
2C型 直列4気筒SOHCディーゼル 1974cc(73ps/4700rpm)
2C-T型 直列4気筒SOHCディーゼルターボ 1974cc(88ps/4000rpm)
3C-E型 直列4気筒SOHCディーゼル 2184cc(79ps/4400rpm)
駆動方式 FF/4WD
トランスミッション 3AT(1.5L車のみ)/4AT/5MT
タイヤサイズ 155R13 8P(バン)
165R13 6P(バン)
175/70R14
185/65R14
195/60R15