【トヨタ】マークX(初代X120型)

1968年から歴史のあるマークⅡの系譜を継ぐ正統派セダンでありながら、新世代のエンジンやプラットフォームを採用し、12代目クラウン(S180型)と共に、新たなトヨタのセダンを作ったモデルと言えるでしょう。

 
 
 
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マークX(初代X120型)の歴史】

 

  

1980年代から1990年代にかけて、ハイソカーブームをきっかけに、マークⅡ・チェイサー・クレスタの3兄弟は高い人気を集めました。しかし2000年頃になると、ミニバンの人気に押され、このクラスの高級セダンの販売は伸び悩み、マークⅡとヴェロッサ(チェイサーとクレスタの統合後継車)の後継モデルとして、大胆に刷新した新たなセダンとして生み出されたのがマークXです。

開発テーマは「ダイナミックでスタイリッシュなFRセダン」。これまでのマークⅡ兄弟から脱却し、スポーティなセダンとするため、12代目クラウン(S180型)に先行して採用されていた新プラットフォームをベースに開発。

先代マークⅡ(X110型)と比べて30~40mm低くなった全高、ボディ幅いっぱいに広げられたワイドトレッド、彫りが深く厚みのあるボンネットやトランクリッド、印象的な3連ヘッドランプや、リアバンパー一体型のディフューザー等を採用し、高級かつスポーティなセダンを演出しました。特にリアバンパーとマフラーエンドが一体化したディフューザーは、マークXへの採用がトヨタ初。以降、クラウンやクラウン・マジェスタ、レクサス・LSでも採用されました。

マークⅡ時代には直列6気筒エンジンを主軸に展開していましたが、マークXには新世代の直噴V6エンジンを搭載。256psを発揮する「3GR-FSE型(V型6気筒DOHC・2994cc)」と、215psの「4GR-FSE型(V型6気筒DOHC・2499cc」の2種類で、こちらも12代目クラウンと同様。トランスミッションはマニュアルモード付の6AT(4WD車は5AT)。かつてのマークⅡ兄弟に設定されていたスポーツグレード(GTツインターボやツアラーV、もしくはiR-V)のような、MT搭載のターボモデルは消滅しました。

車両型式はマークⅡの「X~」を引き継いで「X120型」となり、2004年11月にデビュー。3.0L搭載の「300Gプレミアム」「300G」、2.5Lの「250G Four」「250G」の4グレードが基本で、300Gプレミアムと250Gには「Sパッケージ」を設定し、専用スポーツサスペンションや、リヤスポイラー、18インチアルミホイールを標準装備しました。250Gには、装備を充実させた「Lパッケージ」と、廉価グレードの「Fパッケージ」も設定。

2005年10月には特別仕様車「250G Four Fパッケージ リミテッド」「250G Fパッケージ リミテッド」を発売。廉価グレードであるFパッケージに、HIDヘッドランプや16インチアルミホイール、運転席パワーシート、本革巻きステアリングを装備しました。

2006年4月、特別仕様車250G Fourと250Gに「プライムセレクション」を発売。専用のシート表皮や木目調パネル、木目調ステアリングを装備し、ボディカラーには2つの新色を特別設定しました。

また、モデリスタがカスタムしたコンプリートカー「スペシャル・バージョン」を100台限定で販売しました。外観をスポーティに変更した2.5L仕様と、スーパーチャージャーを搭載して320psを発揮する3.0L仕様の2種類。

同年10月には、マイナーチェンジを実施。フロントグリル、ヘッドランプ、リアコンビネーションランプの意匠を変更し、ボディカラーには4色を新色として設定。サイドウインカーはフェンダーからドアミラーへと移動しました。シートやインパネの意匠変更や、スマートエントリーシステムの改良などを実施。Sパッケージは、専用フロントグリル、専用コンソールパネル、専用本革巻きステアリングなどを採用し、通常グレードとの差別化を進めました。300Gプレミアムに設定されていたSパッケージは、300Gに設定替えとなりました。

また、モデリスタのコンプリートカーとして「スーパーチャージャー」を発売。スペシャル・バージョンで実績のある、3.0Lエンジン+スーパーチャージャーを搭載しており、さらにスポーツサスペンションキットを採用して、スポーティな仕上がりとなっています。

2007年9月、特別仕様車として250G Fourと250Gに「リミテッド」を発売。専用HIDヘッドランプ、ジャガード織物の専用シート、専用木目調パネル、専用木目調+本革巻きステアリングなどを装備し、ボディカラーには4色を設定しました。

2008年7月、250G Fourと250GのFパッケージに特別仕様車「スマートエディション」を発売。スマートエントリーシステムとイモビライザーを特別装備し、HIDヘッドランプ、16インチアルミホイール、運転席パワーシートも装備しました。

2009年10月に2代目マークX(X130型)へとフルモデルチェンジし、約5年間の販売を終えました。
世界的なSUVの波に押されてセダン市場は縮小傾向であり、各メーカー共、共通プラットフォームによる世界戦略車へとシフトしています。トヨタもその流れを受け、グローバル戦略車であるカムリへ事実上吸収統合し、遂に2019年には2代目マークXは販売を終え、マークⅡから通算51年の歴史に幕を下ろしました。

セダンの売上が低迷していた2000年前後のトヨタでしたが、2010年頃にはクラウンやマークX、レクサス各車のブランド力で、他社にはない高級イメージが定着し、国内の高級セダン市場でトヨタは大きな功績を残しました。そのイメージ刷新に一躍買ったのが、12代目クラウンと、この初代マークXでした。
残念ながら、マークⅡ~マークXの伝統は途切れてしまいましたが、トヨタの歴史を語る上では外すことは出来ないモデルとなることでしょう。

 

【諸元】

 

 

 

トヨタ・マークX(初代X120型)

全長×全幅×全高 4730mm×1775mm×1435/1445mm
ホイールベース 2850mm
乗車定員 5名
エンジン 4GR-FSEV型6気筒DOHC 2499cc(215ps/6400rpm)
3GR-FSEV型6気筒DOHC 2994cc(256ps/6200rpm)
3GR-FSEV型6気筒DOHC スーパーチャージャー 2994cc(320ps/6200rpm)
駆動方式 FR/4WD
トランスミッション 5AT/6AT
タイヤサイズ 215/60R16
225/45R18