【ホンダ】アコード(初代SJ/SM型)

シビックで大成功を収めていたホンダは、さらにラインナップを拡充すべく、より上級なクルマとしてアコードを開発。

のちにホンダの世界戦略車として成長するアコードは、排ガス規制の中で低公害のCVCCを売りにし、ハッチバックからスタートしました。

 

 

 


【アコード(初代SJ/SM型)の歴史】

 

 

 

1972年発売のシビック(初代SB/SG/SE/VG型)で四輪車メーカーとして一定の地盤を築いたホンダ。国産車ではまだ珍しかったハッチバックボディながら、FFレイアウトにより室内は広く、一躍人気車種に。また、リーンバーン方式により排出ガスをクリーンにするCVCCを採用し、当時最も厳しい規制だった米マスキー法を世界で初めてクリア。欧米でも大人気となりました。

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拡大するモータリゼーションの中で、ホンダとしてはラインナップの拡充が必須。シビックからの買い替え需要にも応えられる、上級モデルの開発へと踏み出しました。

駆動方式は当然ながらFFとし、シビック同様の4輪ストラット式のサスペンションを採用。エンジンは、シビックに搭載されていた1.5LのEC型を最大限までストロークアップし、昭和51年排出ガス規制をクリアした「EF型(直列4気筒SOHC・1599cc)」を搭載。CVCC仕様で、80psを発揮しました。トランスミッションは、4速MTと5速MT、さらに2速ATの「ホンダマチック」を用意。

シビックをスケールアップしたようなスタイリングの2ボックススタイルで、豪華さを演出して高級感を出していたライバル他車とは異なる、プレーンなデザインでした。
全長4105/4125mm×全幅1620mm×全高1340mmのボディサイズは、3ドアが全長3500mm前後、5ドアで全長3700mm程度だったシビックと比べると2回りほど大きいもの。

1976年5月にデビューし、最廉価グレードの「SL」、標準グレードの「GL」、ラジアルタイヤを装着し、専用シート表皮やFMラジオ、簡潔ワイパーを装備した「LX」、パワーステアリングカセットデッキなどの快適装備を備えた最上級の「EX」の4グレードを設定。

1977年9月には、エンジンの改良により82psにパワーアップ。同時に、パワーウィンドウやリモコンミラー、後席専用暖房システムなどの、高級装備を備えた最上級グレード「EX-L」を設定しました。

1977年10月、4ドアセダンの「サルーン」を追加。フロント部分はハッチバックと全く同一で、2380mmのホイールベースも同一。セダンでも十分なホイールベースを当初から準備していたことなどから、ハッチバックのデビュー時には既にセダンも計画されていたことが分かり、極力共用できる部品を増やしてコストダウンを図った証でもあります。搭載されたエンジンもハッチバックと同じEF型で、トランスミッションも同じ構成。
ボディサイズは全長4325/4345/4450mm×全幅1620mm×全高1360mmで、トヨタ・コロナ(5代目T100型)や日産・ブルーバード(5代目810型)と同クラスに設定。
廉価グレードの「SL」、標準グレードの「GF」、ラジアルタイヤを装着し、パワーステアリングカセットデッキ等を備えた「EX」、バンパーにはオーバーライダーを装着し、パワーウィンドウやリモコンミラー、専用のシート地や内張りなどを備えた最上級グレードの「EX-L」の4グレードで販売開始されました。

1978年9月には昭和53年排ガス規制に対応するためにマイナーチェンジを実施。「EK型(直列4気筒SOHC・1750cc)」に変更となり、内外装デザインの変更を行いました。また、上級グレードにはフルオートエアコンや車速感応型パワーステアリングも設定。

1979年10月、2速だったホンダマチックがオーバードライブ付き3速に変更され、パワーステアリングを装備した新グレード「ES」が設定されました。

1980年4月には、エンジンがCVCC-Ⅱにバージョンアップし、95psに向上。燃費性能も20%程度改善されました。
また、サルーンのフロントマスクを丸型4灯式から角形4灯式に変更。グレード体系も見直され、ハッチバックが「GL」「GX」「EX-L」の3グレード、サルーンは「SL」「ES」「EX」「EX-L」の4グレードとなりました。

1980年7月には1.6L車を再ラインナップし、同年にデビューしていたクイント(SU型)用に開発された、「EP型(直列4気筒SOHC・1601cc)」を搭載し、90psを発揮しました。

そして1981年9月に2代目SY/SZ/AC/AD型にモデルチェンジとなり生産終了。当初から世界を見据えていたアコードは、世界90か国に輸出されました。
2代目では、日本車として初めてアメリカの工場で生産を行い、高い人気を誇るなど、世界戦略車としての道を着実に歩みました。

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1978年にはクーペのプレリュード(初代SN型)が登場し、1990年代にかけて人気車となったほか、1981年にデビューした姉妹車のビガー(初代SZ/AD型)や、1989年に上級車として派生したアコードインスパイア(初代CB5/CC2/3型)など、ホンダのモデル展開の中心はアコードとなりました。
アコード自身も、2ドアクーペや5ドアステーションワゴンなどのバリエーションを増やし、欧米を見据えたバリエーション展開を行い、安定した人気を誇っています。
国内ではセダンの販売が不調となり、アコードの存在も徐々に薄くなってしまいましたが、世界的に見るとホンダの中心にあるのは、いつの時代もシビックとアコードの2モデルなのです。

 

 

 

【諸元】

 

 

ホンダ・アコード(初代SJ/SM型)

全長×全幅×全高 4105/4125mm×1620mm×1340mm(ハッチバック
4325/4345/4450mm×1620mm×1360mm(サルーン
ホイールベース 2380mm
乗車定員 5名
エンジン EF型 直列4気筒SOHC 1599cc(80ps/5300rpm)(~1977.9)
EF型 直列4気筒SOHC 1599cc(82ps/5300rpm)(1977.9~1978.9)
EP型 直列4気筒SOHC 1601cc(90ps/5500rpm)(1980.7~)
EK型 直列4気筒SOHC 1750cc(90ps/5300rpm)(1978.9~1980.4)
EK型 直列4気筒SOHC 1750cc(95ps/5300rpm)(1980.4~)
駆動方式 FF
トランスミッション 2AT/3AT/4MT/5MT
タイヤサイズ 6.15-13 4P
155SR13