【マツダ】アテンザ(初代GG/GY型)

カペラの後継車として登場したアテンザは、従来の5ナンバーサイズに囚われることなく、世界に通用するミドルセダンとして生まれ変わりました。

「クロノスの悲劇」以降、不調が続いたマツダにとっては、空前のヒット作となりました。

 

 

 


マツダ・アテンザ(初代GG/GY型)の歴史】

 

 

1970年に初代SNA/SU2/S122A型が発売されたカペラは、マツダの乗用車ラインナップの中核を担うファミリーカー。1990年代に入ると、マツダの5チャンネル化戦略と、税制改正による3ナンバー化のため、カペラの後継車として新たにクロノス(GE型)を発売。各販売チャンネル向けには、5ドアハッチバックセダンのアンフィニ・MS-6(GE型)、スポーツセダンのオートザム・クレフ(GE型)、2ドアクーペのMX-6(GE型)、フォードブランド扱いのフォード・テルスター(3代目GE型)などの姉妹車を発売したほか、派生車種のアンフィニ・MS-8(MB型)やユーノス・500(CA型)なども販売。知名度のあるカペラの車名を捨て、姉妹車全てに異なる車名を付けたことで、圧倒的な知名度不足となり、これらの姉妹車の販売は絶不調に陥りました。これがいわゆる「クロノスの悲劇」であり、マツダの経営を圧迫してしまいました。

1994年、早急なテコ入れが必要となったマツダは、クロノスのプラットフォームをベースに、再びカペラの名称で新型車を発売。異例の短期間で開発されたカペラ(6代目CG型)は、5ナンバーサイズに戻され、それなりの成績を収めることができました。

カペラ(7代目GF/GW型)の後継車として、1998年に開発がスタートしたのがアテンザ。3代目CB型以降、欧州市場への輸出にも力を入れてきたカペラの思想を引き継ぎ、日本だけでなく欧州や北米市場でも受け入れられることを前提とした上で、国内でも徐々に3ナンバーへの抵抗感が薄れてきたこともあり、アテンザでは5ナンバーサイズに囚われることなく、3ナンバー化。

 
 
 
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駆動方式はFFで、カペラ用のプラットフォームをベースに新開発したGGプラットフォームを採用し、ステーションワゴン用にはGYプラットフォームが用意されました。
サスペンションも新設計で、フロントがダブルウィッシュボーン式、リアはマルチリンク式

エンジンも新開発され、144psの「LF-DE型(直列4気筒DOHC・1998cc)」と、178psを発揮する「L3-VE型(直列4気筒DOHC・2260cc)」の2種類をラインナップ。シリンダーブロックやヘッドはアルミ製となり、軽量化を図ったほか、連続可変バルブタイミング機構(S-VT)や吸気管長可変機構(VIS)などを採用し、燃費や性能の向上を実現しました。トランスミッションは4速ATのみの設定。
欧州向けには2.0Lディーゼルターボエンジンや5速MTも用意されていました。

ボディタイプは3種類。4ドアセダンの「アテンザセダン」、5ドアステーションワゴンの「アテンザスポーツワゴン」、4ドア+ハッチゲートを持つ5ドアハッチバックの「アテンザスポーツ」をラインナップ。
総じてオーソドックスなスタイリングやデザインをしているのは、輸出を考慮し、様々な国々で受け入れられるクルマを目指した結果。

ボディサイズ(セダン)は全長4670mm×全幅1780mm×全高1430mmで、先代のカペラと比較すると全長80mm、全幅85mm大きくなり、ミドルセダンとして世界に通用するサイズとしました。
それまでの国内向けのミドルセダンは、5ナンバーサイズ内に収めることが重要視されたケースが多く、ダイナミックで流麗なボディラインを実現するには支障となっていましたが、この時期からライバル他車も含め、3ナンバーの動きが活発化していました。

2002年5月にセダンとスポーツが、翌6月にスポーツワゴンが発売されました。
セダンは「20F」「20C」「23E」「23Eラグジュアリーパッケージ」の4グレードで、180万円~236万円。スポーツワゴンとスポーツは「20F」「23C」「23S」の3グレードで、200万円~230万円の価格設定。

8月にスポーツワゴンの2.3L車に4WDを、11月にはスポーツワゴンとスポーツの23Sに5速MT車を追加し、ラインナップの拡充を図りました。

2003年7月には、スポーツワゴンとスポーツの新グレード「23Z」を発売。18インチアルミホイールなどを装備したトップグレードで、5速MTも設定されました。

10月、セダン23Eをベースに、エアロパーツやスポーティグリル、ディスチャージヘッドライト、17インチアルミホイールなどを装備したスポーティ仕様の特別仕様車「23E Sリミテッド」を、500台限定で発売しました。

2005年6月にマイナーチェンジを実施し、4WD車にのみ設定されていた5速ATを、FF車にも採用し、MT車も5速から6速に変更されました。
23Eラグジュアリーパッケージは、新たに「23EX」となり、スポーツワゴンとスポーツにも設定されたほか、スポーツワゴンとスポーツに20Cを、セダンに20Eを新設定しました。

8月には「マツダスピードアテンザ」を発売。セダンに「L3-VDT型(直列4気筒DOHCターボ・2260cc)」を搭載し、272psを発揮する高性能版で、電子制御アクティブトルクコントロールカップリング4WDシステムも搭載。トランスミッションは6速MTのみの設定で、リップスポイラーやサイドスカートなどのエアロパーツを装備し、18インチアルミホイールも標準装備されました。

2006年12月には、スポーツワゴンとスポーツの23Sをベースに、専用のドアトリムやセンターパネル、シートなどを装備した特別仕様車「23SS」と、セダンの20Eをベースに、黒木目調センターパネルなどを装備した特別仕様車「20ES」を発売。

2008年1月、2代目GH型にバトンタッチし販売終了。2代目もキープコンセプトとされ、ヒット作となった初代のコンセプトを受け継ぎました。その後、3代目GJ型では、クリーンディーゼルエンジン搭載車も設定されるなど、マツダの主幹モデルとして活躍し、2019年には国内向けも輸出向けの車名「MAZDA6」に変更され、現代に至っています。

世界的に見てもライバル車の多い激戦地帯に向けて開発されたアテンザは、世界で愛されるクルマとなり、経営不振だったマツダの窮地を救いました。
統一感のある洗練されたデザインコンセプトで人気となったマツダの立役者だったのです。

 

 

 

【諸元】

 

 


マツダ・アテンザ(初代GG/GY型)

全長×全幅×全高 4670/4675mm×1780mm×1430mm(セダン)
4690/4695mm×1780mm×1440/1450mm(スポーツワゴン)
4670mm×1780mm×1445mm(スポーツ)
4760mm×1780mm×1430mm(マツダスピードアテンザ
ホイールベース 2675mm
乗車定員 5名
エンジン LF-DE型 直列4気筒DOHC 1998cc(144ps/6000rpm)(~2005.6)
LF-DE型 直列4気筒DOHC 1998cc(150ps/6500rpm)(2005.6~)
L3-VE型 直列4気筒DOHC 2260cc(178ps/6500rpm)
L3-VDT直列4気筒DOHCターボ 2260mm(272ps/5500rpm)(マツダスピードアテンザ
駆動方式 FF/4WD
トランスミッション 4AT/5AT/5MT/6MT
タイヤサイズ 195/65R15
205/55R16
215/45R17
215/45R18