ハイブリッド車は本当にお得なのか?ガソリン車との費用比較

ハイブリッド車の最大の魅力は「燃費の良さ」です。
月々のガソリン代が安くなれば、家計にも優しいのですが、一方で同じ車種・グレードのガソリン車と比べると、車両本体価格が数十万円ほど高いのが一般的です。

イニシャルコスト(車両本体価格)の高さを、ランニングコスト(維持費)で回収できるのは、果てしていつなのか。ガソリン車とハイブリッド車で迷ってしまった場合の判断材料も含めてお伝えします。

 

 

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【車両本体価格の差は○○万円前後であることが多い】

  まずは各車種の車両本体価格を比較してみます(2020年10月1日現在)。

  車種 ガソリン車 ハイブリッド車 価格差
トヨタ ヤリス 1,613,000円
(1.5G・FF)
2,130,000円
(1.5ハイブリッドG・FF)
517,000円
カローラツーリング 2,013,000円
(1.8G-X・FF)
2,480,500円
(1.8ハイブリッドG-X・FF)
467,500円
ヴォクシー 2,813,800円
(2.0ZS・FF)
3,347,300円
(1.8ハイブリッドZS・FF)
533,500円
ハリアー 3,610,000円
(2.5G・4WD)
4,220,000円
(2.5ハイブリッドG・4WD)
610,000円
アルファード 3,520,000円
(2.5X・FF)
4,547,000円
(2.5ハイブリッドX・FF)
1,027,000円
日産 ノート 1,552,100円
(1.2X・FF)
2,059,200円
(1.2e-POWER・FF)
507,100円
セレナ 2,576,200円
(2.0X・FF)
2,997,500円
(1.2e-POWER X・FF)
421,000円
ホンダ フィット 1,557,600円
(1.3ベーシック・FF)
1,997,600円
(1.5e:HEVベーシック・FF)
440,000円
オデッセイ 3,035,186円
(2.4G・エアロ・FF)
3,819,445円
(2.0ハイブリッド・FF)
784,259円
CR-V 3,556,300円
(1.5EX・4WD)
4,145,900円
(2.0e:HEV EX・4WD)
589,600円

 車種によっては排気量の違い等もあるので注意は必要ですが、おおよそ50万円前後の価格差であることが多いようです。
大きな車種になると価格差も大きくなる傾向があり、アルファードでは100万円以上の価格差があることが分かります。

【燃費の良さで元を取るには?】

次に大事な要素は、紛れもなくガソリン代です。
実際の燃費と、その時のガソリン単価に左右されますが、先ほどの車種のうち代表例でシミュレーションしてみます。

ホンダ・フィットの例

 走行状況によって差は出ますが、おおよその実燃費は、
 ガソリン:20km/L前後 ハイブリッド:25km/L前後
であることが多いようです。
レギュラーガソリン単価を130円とした場合、車両本体価格の差(440,000円)を回収するには、約33.8万km走らないといけない計算になります。

トヨタ・カローラツーリングの例

 同様に、おおよその実燃費は、
 ガソリン:13km/L前後 ハイブリッド:23km/L前後
で、車両本体価格の差(467,500円)を回収するには、約10.9万km走らないといけない計算になります。

トヨタ・アルファードの例

 同様に、おおよその実燃費は、
 ガソリン:9km/L前後 ハイブリッド:15km/L前後
で、車両本体価格の差(1,027,000円)を回収するには、約18.0万km走らないといけない計算になります。

年間走行距離にもよりますが、元を取るために20年も30年も乗り続けるのでは、部品劣化による交換費用や、自動車税の重課(13年経過後)などを考えると、決して堅実な選択とは言えないようにも思います。
フィットの33.8万kmというのは、とても現実的な距離ではないですね。

尚、実燃費は参考値です。
一般的には、市街地走行が多いとガソリン車の燃費がさらに落ちますので、市街地での通勤利用が多い方などは、もっと早く価格差を回収できるでしょう。

ハイブリッド車は税金が優遇される?】

 2020年10月現在、ハイブリッド車自動車税・環境性能割(※)・自動車重量税で減税・優遇されています。
(※ 自動車取得税が廃止され、2019年10月に新たに導入された制度。)
一方で、近年はガソリン車の燃費も向上しているため、こちらも優遇の対象になっています。
ハイブリッド車の方がより優遇されるケースが多いですが、それほど大きな差はつかないでしょう。

また、自動車取得税の廃止と環境性能割の導入(2019年10月)、その軽減措置(2021年3月まで)、エコカー減税の延長(2021年4月まで)や、グリーン化特例の延長(2021年3月まで)など、今後、車両の取得時期によって多少変わってくるため、購入時点での税制を調べてみる必要があります。

【意外と重要なのは手放す時?】

 車両本体価格と維持費の面で比較してきましたが、意外と重要になるのが、下取りや買取の際の「リセールバリュー」です。

一般的にはハイブリッド車の方が値崩れしにくい傾向にあるため、数万円~数十万円程度の差額が出ることが想定されます。年式が新しく、走行距離も少ない場合には、30~50万円程度の差がつくこともあり、
新車購入時の価格差の多くは、ここで回収できる可能性があります。
長く乗る場合や、走行距離が多い場合などは、どうしても値崩れが激しくなり、ガソリン車との差額はほとんどなくなってしまうケースが多いです。

ハイブリッド車を購入する魅力・目的とは?】

 一般的には、ハイブリッド車の魅力は「維持費の安さ」です。しかし、新車購入時の価格差を埋められるほどではないことが分かりました。

では、高いお金を出してハイブリッド車を購入する魅力や目的は何でしょうか。

①環境に優しい
停車時や低速時にはエンジンが停止しているハイブリッド車は、言うまでもなくガソリン車に比べてクリーンな車です。
地球温暖化の原因の一つとされている二酸化炭素を減らし、環境に優しい車に乗ることで、エコな生活を。

②静寂性とスムーズな走り
特にモーターのみで走行している低速時は、車内はとても静かです。もちろん外に対しても静かなので、朝早い仕事の方、夜のお帰りが遅い方など、近所迷惑にもなりにくいと思います。
また、停止状態からの加速は非常にスムーズで、ストレスなく発進できます。アクセルをぐっと踏み込めば、エンジンとモーターのどちらの力も使うことが出来るので、スポーティな車にも負けない、意外と速い加速が出来ます。

③デザインや装備の違い
ガソリン車とハイブリッド車では、デザインに違いを持たせている車種も多く、ハイブリッド車の方がスタイリッシュに仕上げられていることが多いです。
また、装備の差にも注目して検討する必要があります。ハイブリッド車の方が「先進的」なイメージを持たせることが多いため、LEDヘッドライトやデイライト、スマートキーシステム、オートエアコンなどに差がある場合があります。
車両本体価格の価格差は、デザインの良さや快適装備の有無で相殺されるかもしれません。

【まとめ】

 「車両本体価格の差を、燃費の良さで元を取る」ことは、安易に思いつく発想ではありますが、現時点では簡単ではありません。将来、ハイブリッドシステムが安価になり、ガソリン車との価格差が埋まれば、もっと簡単に元を取ることが出来るかもしれません。

ガソリン車かハイブリッド車か迷ってしまった時は、最後にお伝えした魅力も考慮しながら、「総合的」に判断することが必要です。
個々人によって魅力の感じ方も違いますので、
「元を取れないのであればガソリン車でいい」と思う方もいると思いますし、
「50万円多く出してもハイブリッド車に乗りたい」と思う方もいるでしょう。

それぞれに合った車で、楽しいカーライフを。