【ダイハツ】オプティ(初代L300/310型)

ミラの上級車種として1992年に登場したオプティ。リーザの後継車とされましたが、スペシャリティなクーペスタイルだったリーザから一転、丸みを持たせた可愛らしいクルマに生まれ変わりました。

一般的な軽自動車と比べて高級感のある作り込みで、上級車種らしい存在感をアピールしました。

 
 
 
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ダイハツ・オプティ(初代L300/310型)の歴史】

 

 

1979年のスズキ・アルト(初代SS30/40型)の登場以降、物品税のかからない4ナンバーバンが軽自動車の主流となり、1980年代は軽ボンネットバンブームが続いていました。
スズキは、フロンテクーペを源流に持つクーペモデルのセルボ(2代目SS40型)の生産も続けており、ダイハツはこれに対してリーザ(L100/110型)を1986年に発売して対抗しました。

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1980年代後半になると、スポーティな軽自動車の主流はクーペタイプではなく、ダイハツ・ミラ(2代目L70/71型)の「TR-XX」、アルト(2代目CA71/72/CC71/72型)の「ワークス」といった、ターボ搭載のホットモデルが人気となっていきました。
さらに、1990年代に入ると、ホンダ・ビート(PP1型)やスズキ・カプチーノ(EA11/21型)などの、2シーターオープンモデルも登場し、よりスポーティな軽自動車が登場すると、クーペモデルの需要はさらに低迷。リーザの後継車であるオプティは、高級感のある上級モデルにコンセプトを変えて再出発したのでした。

ベースはミラ(3代目L200/210/220型)で、ホイールベースやサスペンション形式は共通。フロントにマクファーソン式、リアにセミトレーリングアーム式(4WD車は5リンク式)を採用しました。
駆動方式はFFと4WDを設定。4WDは、AT車はフルタイム、MT車はパートタイムでした。

当初のエンジンは「EF-EL型(直列3気筒SOHC・659cc)」。12バルブEFIの55ps仕様で、前年にNA車がEFI化されたミラに搭載されていたものと同一。ターボ仕様はラインナップされませんでした。
トランスミッションは、5速MT、3速AT、4速ATを用意しました。

 
 
 
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ボディサイズは当時の軽自動車規格内に収まる、全長3295mm×全幅1395mm×全高1395/1430mm。室内空間を出来るだけ有効に使うパッケージングのミラとは異なり、ラウンディッシュなフォルムのおしゃれな雰囲気が最大の特徴で、楕円形のヘッドライト、滑らかなラインのフェンダー周り、曲面を用いたルーフ形状など、全てが美しい曲面で構成されていました。

インテリアも高級感のある作り込みがなされており、シートやドアトリムには上質なファブリックを使用。前席シートは十分なサイズを持つもので、乗り心地も上々だった一方、後席の居住性能はやや犠牲にされていました。
全車にパワーステアリングやパワーウインドウ、エアコン、ステレオオーディオなどを装備し、快適機能も十分備わっており、上級モデルであることをアピールしました。
静粛性へのこだわりも見られ、エンジンの振動や騒音をボディに伝達しないフローティングマウントを採用したほか、エンジンヘッドのカバーは二重鋼板を採用。

1992年1月にデビューし、標準仕様の「Ax」、上級仕様の「Ox」、4WD車の「Al-4」の3グレードを展開。Oxには、電動キャンバストップが装着されており、オープン感も楽しめました。発売後は、売れ筋の軽自動車よりも上質なものを求めていたユーザーに高評価を受けました。
一方、1990年にはセルボも同様のコンセプト変更を伴うフルモデルチェンジを受けており、4代目CN21/CP21/22/31/32型の「セルボモード」へと生まれ変わっていました。アルトよりも豪華な装備や、曲線を帯びたスタイリングなど、オプティと同様のコンセプトであるだけでなく、ターボエンジン車のラインナップや、さらにアルトワークス譲りのホットハッチグレードも設定するなど、より広いユーザー層に支持されるクルマに仕上がっており、販売成績はセルボモードが各段上でした。

1992年9月、FF車のラインナップを強化。6バルブEFI仕様で42psの「EF-KL型(直列3気筒SOHC・659cc)」を搭載し、パワーウインドウを省略した廉価グレードの「Ad」、13インチアルミホイールやリアスポイラーを装着したスポーティ仕様の「Ax-S」、運転席エアバッグが標準装備された「Ax-l」が新たに設定されました。

1992年12月には、MOMO製ステアリングや別置タコメーター、スポーツサスペンション、13インチアルミホイール等を装備した特別仕様車「クラブスポーツ」を発売。

1993年8月には新たに5ドア車を追加しました。標準仕様の「Cx」と、4WD車の「Cl-4」がラインナップされたほか、EF-KL型エンジン搭載のお買い得グレード「ピコ」が3ドア/5ドアともに設定されました。
3ドア車の仕様変更も同時に行い、Oxが廃止されてキャンバストップはAxにオプション設定され、クォーターウインドウは固定式に変更されました。

1994年5月、ピコの3ドアをベースに、MOMO製ステアリングや13インチアルミホイールを装備した、特別仕様車「ピコS」を発売。

1995年1月には、ルーフスポイラーを装備した特別仕様車「パルコ」を発売しました。3ドア/5ドアともに設定され、FF車にはEF-KL型、4WD車にはEF-EL型が搭載されました。

1995年2月のマイナーチェンジでは、大きな変更はないものの、外観上ではフロントの車名デカールが立体エンブレムとなりました。

1995年10月には、EF-EL型は「EF-ZL型(直列3気筒DOHC・659cc)」に変更。12バルブEFI仕様のままDOHC化されており、出力は変わらず55ps。

1996年5月、当時流行していたレトロ風デザインの「クラシック」シリーズを追加設定。スバル・ヴィヴィオ(KK/KW/KY型)の「ビストロ」、セルボモードの「C」などの先行車に比べて、ラウンディッシュなスタイリングにより、レトロ風デザインの違和感が少ないのが特徴でした。EF-KL型を搭載する3ドアと、EF-ZL型を搭載する5ドアがラインナップされました。

1997年5月に2度目のマイナーチェンジが実施され、通常グレードはフロントバンパーとテールランプのデザインを変更。クラシックはフロントグリルやホイールキャップのデザインが変更されました。

1997年8月にクラブスポルトが復活。イタリアンな専用フロントマスクを備え、専用ストライプやルーフエンドスポイラーなどでスポーティ感を演出しました。FFと4WDが用意され、3ドアのみの設定でした。

1998年10月の軽自動車規格改正と共に生産を終了し、翌月にはフルモデルチェンジ。2代目L800/810型は、独立したトランクルームを持つ4ドアセダンのデザインとなり、かなり個性的なモデルへと生まれ変わりました。
スポーティな「エアロダウンビークス」が一部のファンに人気となりましたが、あまりに特徴的なことから販売は苦戦し、2002年には生産を終えました。

万人に受け入れられるスタイリングだったセルボモードとは異なり、おしゃれさやかわいらしさをボディスタイルで表現したオプティは、決して正統派モデルではありませんでしたが、よりおしゃれな軽自動車を求める女性ユーザーや、クルマ好きが持つセカンドカーとしても活躍しました。
付加価値や個性をプラスすることで、様々な軽自動車を生み出すことが出来るという、その一例を作った存在でした。

 

 

 

 

【諸元】

 

 

 

ダイハツ・オプティ(初代L300/310型)

全長×全幅×全高 3295mm×1395mm×1395/1430mm
ホイールベース 2280mm
乗車定員 4名
エンジン EF-KL型 直列3気筒SOHC 659cc(42ps/6800rpm)(1992.9~)
EF-EL型 直列3気筒SOHC 659ss(55ps/7000rpm)(~1995.10)
EF-ZL型 直列3気筒DOHC 659ss(55ps/7500rpm)(1995.10~)
駆動方式 FF/4WD
トランスミッション 3AT/4AT/5MT
タイヤサイズ 135SR12
145SR12
145/80R12
145/70R12
145/65R13
155/60R13