【トヨタ】トヨペット・コロナ/コロナライン(2代目T20/30型)

欧州風なスタイリング、広い室内空間、快適装備などを備え、販売に苦しんだ初代モデルから一転した2代目トヨペット・コロナ。

しかし、耐久性に乏しいと不評を買ってしまい、販売面ではダットサン・ブルーバードを前に歯が立ちませんでした。

 

 

 


トヨペット・コロナ/コロナライン(2代目T20/30型)の歴史】

 

 

1950年代、小型車市場を席巻していたのは日産(ダットサン)で、1955年発売のダットサン乗用車(110型)、1957年発売のダットサン1000(210型)、1959年発売のダットサン・ブルーバード(初代310型)の独断場でした。

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トヨタは、これに対抗する小型乗用車として、トヨペット・コロナ(初代T10型)を1957年に発売。「ダルマ」と揶揄された古いボディデザイン、エンジンパワー不足、耐久性の乏しさなどが災いし、販売面ではダットサン勢の足元にも及ばず、大敗を喫しました。
ブルーバードに対抗できるほどの魅力を持つには、フルモデルチェンジで生まれ変わるしかなく、力を注いでゼロから設計されたのが2代目T20型でした。

ボディ構造にはユニフレーム構造を採用。サスペンションは、フロントにダブルウィッシュボーン式を踏襲し、リアには新開発のカンチレバー式のリーフ式を採用しました。
エンジンは、先代から踏襲した45psの「P型(直列4気筒OHV・997cc)」を搭載し、ツーバレルキャブレターを採用しました。

スタイリングが不評だった先代から一転し、直線を基調とした欧州風なデザインを採用。全長3990mm×全幅1490mm×全高1440mmのボディサイズは、若干大きくなった一方、全高は115mmも低いスタイリングとなりました。

1960年4月に4ドアセダンのみを発売。
ライトバン仕様は「コロナライン」として1960年7月に発売され、フロントにトーションバー式、リアにリーフ式のサスペンションを採用し、2名乗車時には500kgの最大積載量でした。
9月には、コロナラインにシングルピックアップとダブルピックアップをラインナップ。

当初の販売成績は好調でしたが、Bピラーが傾斜していたことによるドアの取付不良により、雨漏りが起こるという噂が広まったほか、他の初期トラブルも多々発生。主力市場であるタクシー業界からも、新設計のリアサスペンションの耐久性について不評を買い、コロナは耐久性のないクルマだというレッテルが貼られるようになりました。

その不評解消のため、まず1961年3月には、クラウン(初代RS/S20/S30型)と同じ、60psの「R型(直列4気筒OHV・1453cc)」を搭載した「コロナ1500」を投入しました。小型タクシー枠が1.5Lまで拡大されたことによるもので、同様の理由から1.2L車を投入したブルーバードに対抗しました。
また、コロナラインのエンジンを、1.2Lの「2P型(直列4気筒OHV・1198cc)」に変更し、最高出力を55psに向上。

1961年10月には、自家用向けの「1500デラックス」を追加したほか、不評だったリアサスペンションを一般的なリーフ式に変更しました。

1962年には、日本初のカラーCMとして、1500デラックスのテレビCMを放映。悪路を疾走したり、ドラム缶の上を走行したりするなど、「スタントドライブシリーズ」として制作されたもので、頑丈さをアピールしました。

1963年5月には、第1回日本グランプリのツーリングカー1300~1600クラスに出場。ブルーバードが1.2Lの下位クラスだったため、コロナは1位から3位までを独占しました。コロナの丈夫さや高性能さをアピールするため、この成績を盛んに宣伝し、弱いクルマのレッテル解消に努めました。

1963年8月、それまでラインナップされていた自動クラッチの「サキソマット」に加えて、2速ATの「トヨグライド」仕様車を追加し、女性ドライバー増加に伴うイージードライブ化も積極的に行いました。

1964年9月にフルモデルチェンジを受け、3代目T40/50型にバトンタッチ。優れた乗り心地や走行性能、耐久性を実現した通称「アローラインコロナ」は、発売から4か月後の1965年1月に、ブルーバードを販売台数で初めて追い抜き、大ヒットを記録しました。
日本初のピラーレスハードトップ車の設定や、1600GT(T50型)の派生、上級車種コロナマークⅡ(初代T60/70型)の派生など、一躍コロナはトヨタの車種展開の中心となっていきました。

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発売当初の初期トラブルは、以降の品質管理にも活かされ、高品質なトヨタ車を実現し、イメージアップに繋がっていきました。
またしてもブルーバードには敵わなかった2代目コロナでしたが、この失敗がなければ、ブルーバード越えを果たした3代目モデルは生まれなかったかもしれません。

 

 

 

 

【諸元】

 

 


トヨペット・コロナ/コロナライン(2代目T20/30型)

全長×全幅×全高 3990mm×1490mm×1440mm
4100mm×1490mm×1490mm(コロナライン)
ホイールベース 2400mm
乗車定員 2/5名
エンジン P型 直列4気筒OHV 997cc(45ps/5000rpm)
2P型 直列4気筒OHV 1198cc(55ps/5000rpm)(コロナライン)
R型 直列4気筒OHV 1453cc(60ps/4500rpm)
駆動方式 FR
トランスミッション 2AT/3MT
タイヤサイズ 5.50-13 6P(コロナライン)
5.60-13 4P