【日産】ダットサン・サニー/サニーエクセレント(2代目B110/120型)

「隣のクルマが小さく見えます」のキャッチコピーでデビューした2代目サニー。最大のライバルだったトヨタ・カローラとの販売競争を繰り広げました。

また、2代目サニートラックは、1994年まで生産されることになる超ロングセラーとなりました。

 

 

 


ダットサン・サニー/サニーエクセレント(2代目B110/120型)の歴史】

 

 

1966年に発売されたダットサン・サニー(初代B10/20型)とトヨタ・カローラ(初代E10型)の2台は、国内市場にマイカー時代を到来させた立役者でした。この2台による熾烈な販売競争の末、1969年9月にカローラが全車1.2Lに拡大。サニーはこれに対抗して、1970年1月にフルモデルチェンジを実施しました。

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1970年代の新たな時代に向けて、大衆車にも豪華なイメージを付加し、室内空間の広さや足回りの良さなどをアピール。
デビュー時にキャッチコピーは「隣のクルマが小さく見えます」で、かつて「プラス100ccの余裕」とコピーを掲げたカローラに対する反逆でした。

FRレイアウトを踏襲したシャシーは、ホイールベースを20mm延長。フロントサスペンションにはマクファーソン式の独立懸架を採用し、リアは先代からリーフリジッド式を踏襲しました。

エンジンは新設計の「A12型(直列4気筒OHV・1171cc)」で、68psを発揮。高回転化のため5ベアリング式を採用し、高い静粛性と吹き上がりの良さを実現しました。
トランスミッションには、3速フロアAT、3速コラムMT、4速フロアMTを用意しました。

当初のボディタイプは、2ドアセダン、4ドアセダン、2ドアクーペ、ライトバンで、トラックは先代が継続生産されました。
セダンは全長3830mm×全幅1495mm×全高1390mm、クーペは全長3825mm×全幅1515mm×全高1350mm、バンは全長3865mm×全幅1495mm×全高1405mmで、先代よりも一回り大きなもの。クリーンなスタイリングは先代譲りで、さらに直線を基調としたデザインを採用しました。

ボクシーなデザインによって室内空間はクラス最大級を誇り、インパネは全面にパッドを配して衝撃吸収構造を取り入れたほか、空調にはクラス初のオートベンチレーションシステムの採用など、先進性にも優れた点をアピールしました。

発売から3ヶ月後の1970年4月には、スポーツグレードの「GX」を追加しました。セダンとクーペそれぞれに設定され、ツインキャブ仕様で83psを発揮するエンジンを搭載。サスペンションも専用チューニング品がセットされたほか、専用のボディストライプや黒で統一されたインパネなど、内外装でもスポーティさを演出しました。

1971年2月に、トラックもフルモデルチェンジとなり2代目B120型へ移行。当初は全長3840mm×全幅1490mm×全高1390mmのショートボディのみで、エンジンは乗用系と同一のA12型を搭載し、3速コラムMTと4速フロアMTを用意しました。

1971年4月には、上級仕様のエクセレントシリーズを追加。半年前からライバルのカローラが1400シリーズをラインナップしていたことへの対抗でした。ホイールベースが40mm、フロントオーバーハングは130mm延長され、ロングノーズ化。ブルーバード用の「L14型(直列4気筒SOHC・1428cc)」を搭載し、シングルキャブ仕様が85ps、SUツインキャブ仕様は95psを発揮しました。サスペンションやブレーキもサニーとは異なる専用品がセッティングされました。

1972年1月にマイナーチェンジを実施し、後期型へ。
フロントとリアのフェイスリフトのほか、メーターパネルのデザインなども変更されました。2か月後の3月には、GXシリーズにも3速ATを採用。

 
 
 
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1972年8月には、GXシリーズに5速MTを搭載した「GX-5」を追加。スカイラインGT-RフェアレディZで好評の5速ミッションが搭載され、5速のギア比は1.000となるクロスレシオで、いわゆる「直結」と言われるもの。シフトパターンも、1速が左下となる通称「ローバック」タイプ。

1973年4月、トラックにロングボディ車を追加。ホイールベースを230mm延長、荷台は295mm延長されました。

1973年5月には、トラックを除いてフルモデルチェンジとなり、3代目B210型へ移行しました。既に1.2Lから1.6Lクラスまでラインナップし、スタンダードグレードから豪華グレードまでを揃え、スポーティなレビンなども登場させていたカローラに、販売面では歯が立たず、登場から約3年4か月という短いスパンでフルモデルチェンジを迎えたのでした。

B210型のスタイリングがトラック化を考慮していないものだったこともあり、トラックはB120型の生産を継続しました。
徐々に小型ピックアップトラック市場が縮小し、撤退するライバル車もある中、逆にサニートラックはシェアを圧倒するようになりました。

1978年4月にマイナーチェンジとなり、サニークーペと共通デザインのフロントグリルに変更されたほか、フェンダーミラー形状やリアコンビネーションランプのデザイン変更、メーターの丸型化、間欠ワイパーの装備などが実施されました。

1979年10月、1981年10月にそれぞれ昭和54年と昭和56年排ガス規制に適合。

1986年11月には、フロント合わせガラスやELR付シートベルトを採用し、安全面でも時代に即したものにリファインされました。

1988年10月にマイナーチェンジを受けて後期型となり、昭和63年排ガス規制とNOx規制に適合。電子制御キャブレターや三元触媒、O2センサーなどを用い、点火はフルトランジスタ化されました。外観上でも規格型角型2灯式ヘッドライトを採用してフロントグリルのデザインも変更。フロントディスクブレーキやラジアルタイヤを標準装備し、カラーリングも一新されました。

そして1994年11月、環境対策や安全対策に係るコストカットを目的に、車種整理の対象となり、23年の長い歴史に幕を閉じました。バネットトラック(2代目C22型)と統合という扱いで、そのバネットトラックもそれ以降はマツダ・ボンゴのOEM車となりました。

乗用系のサニーは早々にモデルチェンジされる運命を辿った一方、旧態化しようが生産され続けたサニートラックは、そのものの出来の良さや、コンベンショナルなFR方式を採用していたこと、シンプルで軽量なボディなど、様々な点で長年愛されるロングセラーモデルとなりました。
後年には、旧車マニアに愛される結果となり、現在でも中古車市場で高い人気を得ており、ある意味日産の歴史の名を残す偉大なモデルとなりました。

 

 

 

 

【諸元】

 

 

ダットサン・サニー/サニーエクセレント(2代目B110/120型)

全長×全幅×全高 3830mm×1495mm×1390mm(セダン)
3825mm×1515mm×1350mm(クーペ)
4000mm×1500mm×1395mm(エクセレント)
3865mm×1495mm×1405mm(バン)
3840/4140mm×1490mm×1390mm(トラック)
ホイールベース 2300mm
2340mm(エクセレント)
2530mm(トラック・ロング)
乗車定員 2/5名
エンジン A12型 直列4気筒OHV 1171cc(68ps/6000rpm)
A12型 直列4気筒OHV 1171cc(83ps/6000rpm)
L14型 直列4気筒SOHC 1428cc(85ps/6000rpm)(エクセレント)
L14型 直列4気筒SOHC 1428cc(95ps/6400rpm)(エクセレント)
駆動方式 FR
トランスミッション 3AT/3MT/4MT/5MT
タイヤサイズ 6.00-12 4P
6.15-13 4P(エクセレント)
5.00-12 4P / 5.00-12 6P(トラック)
155R12 6P(トラック)