【日産】エクストレイル(初代T30型)

1990年代、日常使いに優れた快適で実用的なクロスオーバーSUVが人気となる中、日産が2000年に発売したのがエクストレイル。

ライバル他車から遅れて登場したものの、価格を抑えたことや実用的なパッケージングが功を奏し、クラスを率いるほどの人気を獲得しました。

 
 
 
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日産・エクストレイル(初代T30型)の歴史】

 

 

1994年登場のトヨタRAV4(初代XA10型)と1995年登場のホンダ・CR-V(初代RD1/2型)が発端となり、かつての本格SUVとは異なる、乗用車ベースの新たなSUVが大きなブームを起こしました。これらが後に「クロスオーバーSUV」と呼ばれて、現在にまで至っています。1997年に登場したスバル・フォレスター(初代SF型)やスズキ・エスクード(2代目TA02/52/TD02/32/52/62/TL52型)、1998年登場の三菱・パジェロイオ(H60型)など、個性は異なれど各メーカーからライバル車が出揃いつつありました。

日産は、新時代を担うSUVの新たな形として、1994年にラシーン(NB14型)を発売。

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地上高を多めに取り、SUVの味付けをしたステーションワゴンスタイルのラシーンは、他のクロスオーバーSUVとは異なる路線からアプローチし、成功を収めていました。1990年代末になると、日産は経営危機に陥って「日産リバイバルプラン」のもとに車種整理を敢行。その結果、ラシーンもその対象となり生産を終えることとなり、時代の変化とともに、ライバル各車に正面から対抗できる、新たなSUVを開発するに至りました。

1990年代後半から日産車で採用されていた、小型~中型乗用車用のMSプラットフォームを採用し、フロントサスペンションにはストラット式、リアにはパラレルリンクのストラット式で四輪独立懸架。4WDのほかにFF車もラインナップされました。
4WDシステムは「オールモード4×4」と呼ぶもので、センターデフは用いずに、トランスファーに内蔵された油圧乾式多板クラッチを用いたもの。

当初の搭載エンジンは、150psの「QR20DE型(直列4気筒DOHC・1998cc)」1種類のみ。トランスミッションは4速ATで、標準グレードとなる「S」の4WD車には5速MTも設定されました。

全車3ナンバーのボディサイズは全長4445mm×全幅1765mm×全高1675mmで、CR-Vと同等。ボディタイプは5ドアの1種類のみで、3列シート車は設定されませんでした。直線基調としたスタイリングは、シンプルさとSUVらしさを兼ね備えたもの。

インパネの特徴は大型のセンターメーター。シートや内装には水洗いが可能な素材を使用したほか、荷室の床面を取り外して水洗いが可能なウォッシャブルラゲッジボードも装備し、アウトドアやスポーツでの使用を考慮しました。
また、SRSデュアルエアバッグEBD付ABS、ブレーキアシストなどの安全装備も標準化し、乗用車としての使用にも配慮されました。

2000年11月のデビュー時、標準グレードの「S」と上級グレードの「X」が基本で、専用のフロントマスクが備わる特別仕様車「スタイルAX」シリーズもラインナップされました。185万円~239万円の価格設定は、「200万円の使える4駆」のコンセプトそのもの。

2001年2月には、新グレード「GT」を追加。280psを発揮する「SR20VET型(直列4気筒DOHCターボ・1998cc)」を搭載し、4WDの4速AT車のみの設定でした。SR20VET型は、SRエンジン最高のスペックを誇り、エクストレイルのみに搭載されました。GTには、専用のフロントバンパーや大型のフロントグリルが装備され、282.5万円で販売。

2001年10月、専用シートやマッドガード、キセノンヘッドランプを装備した「St」「Xt」を追加したほか、スタイルAXに代わる特別仕様車「ライダー」を追加しました。ライダーには専用のバンパーや内装が装備されました。

2002年10月には、防水加工天井や前席シートヒーター、専用オーディオを装備した「Stt」「Xtt」を追加し、さらにアウトドア色を強調。

 
 
 
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2003年6月にマイナーチェンジを受け、前後バンパーやフロントグリルのデザインを変更し、ルーフレールとドライビングランプの機能を合わせたハイパールーフレールをオプション設定しました。また、グレード設定の見直しも行われました。

2004年5月には、マイナーチェンジから廃止されていた「St」「Xt」を復活させ、キセノンヘッドランプ、バンパー組み込み式フォグランプ、マッドガード、前席シートヒーターなどが装備されました。

2004年12月、「St」「Xt」は廃止され、代わりに「Stt」「Xtt」を追加し、キセノンヘッドランプ、前席シートヒーター、後席リラックスモード付ヘッドレストなどを装備。
また、GTには17インチアルミホイールインテリジェントキーなどが装備されました。

2005年12月の改良では、SttとXttにハイパールーフレールを標準装備し、全車にヘッドランプレベライザーやハイマウントストップランプを標準装備しました。

2007年8月、2代目T31型へバトンタッチし販売終了。2代目以降は、ライバル各車と同等レベルまで大型化はしているものの、大きなコンセプトは変わっておらず、他車に比べて安価な価格設定は健在。2001年から2010年までの間は、SUVトップシェアを誇るなど、安定した人気を誇っています。

 
 
 
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ライバル他車から遅れを取ったエクストレイルでしたが、比較的手の届きやすい価格設定のおかげで、特にアウトドアやスポーツを愛する若者からの人気を獲得しました。
また、SUVを必要とする一部の業種からも一定の人気を得ており、上級志向となっているライバル各車との路線の違いが功を奏しています。

 

 

 

【諸元】

 

 

日産・エクストレイル(初代T30型)

全長×全幅×全高 4445mm×1765mm×1675mm(~2003.6)
4455mm×1765mm×1675/1750mm(2003.6~)
4500mm×1775mm×1655mm(アクシス・~2003.6)
4505mm×1765mm×1655mm(アクシス・2003.6~)
4510mm×1765mm×1750mm(GT・~2003.6)
4455mm×1765mm×1750mm(GT・2003.6~)
4520mm×1765mm×1675/1750mm(スタイルAX)
4560mm×1775mm×1655mm(ライダー・~2003.6)
4560mm×1765mm×1655/1730mm(ライダー・2003.6~)
ホイールベース 2625mm
乗車定員 5名
エンジン QR20DE型 直列4気筒DOHC 1998cc(150ps/6000rpm)
SR20VET型 直列4気筒DOHC ICターボ 1998cc(280ps/6400rpm)
駆動方式 FF/4WD
トランスミッション 4AT/5MT
タイヤサイズ 215/70R15
215/65R16
215/60R17
225/55R17