【トヨタ】MR2(初代W10型)

トヨタ1984年に発売した小型2シータークーペのMR2は、国産車初のミッドシップスポーツ。ミッドシップの技術的な可能性を探った意欲作でした。

珍しさもあり人気を集めましたが、実用性に乏しい2シーターのためか販売は振るいませんでした。

 
 
 
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トヨタMR2(初代W10型)の歴史】

 

 

エンジンを前後車軸の間に配置するミッドシップレイアウトの利点は、バランスのいい重量配分を実現でき、コーナーリング性能が向上すること。FRで必要なプロペラシャフトなども単純化でき、車両重量自体の軽量化にも繋がります。
一方で欠点としては、室内空間が限られることとなり、多くの場合は2シーター(もしくは2+2)になってしまい、実用的なセダンなどには不向きであることが挙げられます。

ミッドシップはレーシングカーでの採用が始まりで、戦前から一部に採用例がありました。F1やインディ500などのトップレースで、フロントエンジンから本格的に移行したのは1960年頃のことで、1970年代に入るとラリー界でもミッドシップ車が活躍するようになりました。

市販車でも1960年代から採用例がありました。著名な例では1966年発売のロータス・ヨーロッパ(初代46/54/65/74型)、1967年発売のフェラーリ・ディーノ、1969年発売のポルシェ・914などの小型スポーツカーや、1966年発売のランボルギーニミウラ、1973年発売のフェラーリ・365GT/4BBを発端とする、いわゆるスーパーカーなどで、ミッドシップが用いられてきました。
国産車では、軽商用車での歴史が古く、ホープ自動車愛知機械工業で採用されていたほか、1967年にはホンダ・TN360や、その後継であるアクティでも代々採用されました。

トヨタは、1983年の東京モーターショーに「SV-3」と称したコンセプトモデルを出展。1.6Lエンジンをシート背後に横置き搭載したミッドシップレイアウトで、実用的なクルマのイメージが強いトヨタにとっては異彩を放っており、大きな注目を集め、市場では市販を望む声が多く挙がりました。トヨタがこれに応えて、1984年6月に市販化されたのがMR2でした。

足回りはカローラ(5代目E80型)から流用されたストラット式。エンジンは、1983年からカローラレビン/スプリンタートレノ(5代目E80型)で採用されていたものを横置き化した、130psを発揮する「4A-GELU型(直列4気筒DOHC・1587cc)」と、廉価版として83psの「3A-LU型(直列4気筒SOHC・1452cc)」の2種類をラインナップしました。

 
 
 
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全長3925mm×全幅1665mm×全高1250mmとコンパクトな2ドアクーペボディで、薄いボンネットの先にはリトラクタブルヘッドライトを配置。発売当初はバンパーとスポイラーなどは無塗装のウレタン素材を使用するなど、真新しいクルマとしてはシンプル過ぎるほどの造形でした。

「1500S」「1600G」「1600Gリミテッド」の3グレードで販売が開始され、139.5万円~179.5万円と、ミッドシップスポーツとしては世界で最も安価とされました。

1985年1月には、ハイソカーで一躍人気となったボディ色「スーパーホワイトⅡ」を採用し、バンパーやスポイラーなどもボディ同色化、パワーウインドウや電磁ドアロックを採用した特別仕様車「ホワイトランナー」を発売しました。

1986年1月には、専用のブラックメタリックのボディ色に、専用のステアリングやシフトノブ、シート表皮などを装備した特別仕様車「ブラックリミテッド」を発売。

1986年8月のマイナーチェンジでは、屋根を左右別々に取り外すことのできるTバールーフ仕様を追加。さらに、145psを発揮する「4A-GZE型(直列4気筒DOHCスーパーチャージャー・1587cc)」を追加しました。また、バンパーやサイドモールはボディ同色に統一されました。

1988年1月には、ホワイトとベージュメタリックのツートン色を採用し、本革巻ステアリングやシフトノブ、サイドブレーキレバーなどを装着した特別仕様車「スーパーエディション」を発売。

1989年1月には、ブラキッシュブルーマイカのボディ色に、レカロシートや専用ドアトリムなどを装備した特別仕様車「スーパーエディションⅡ」を発売しました。

そして1989年10月に2代目W20型にフルモデルチェンジとなり販売終了。2代目ではエンジンを2.0Lに大型化、ボディサイズも1クラス上に移行、その後1999年にはMR-S(W30型)に後を継いで、MR2の車名は途絶えました。

MR2の発売後、1990年発売のホンダ・NSX(初代NA1/2型)、1991年発売のホンダ・ビート(PP1型)など、ミッドシップスポーツも少数ながら発売されました。
しかし、限られた室内空間や、トランクスペースの少なさなど、実用性に乏しい面は否めなかったことや、スポーツカー人気の衰退も重なり、国産ミッドシップスポーツが大きな人気を集めることはなかったのでした。

 

 

 

【諸元】

 

 

トヨタMR2(初代W10型)

全長×全幅×全高 3925/3950mm×1665mm×1250mm
ホイールベース 2320mm
乗車定員 2名
エンジン 3A-LU型 直列4気筒SOHC 1452cc(83ps/5600rpm)
4A-GELU型 直列4気筒DOHC 1587cc(130ps/6600rpm)(~1986.8)
4A-GELU型 直列4気筒DOHC 1587cc(120ps/6600rpm)(1986.8~)
4A-GZE型 直列4気筒DOHCスーパーチャージャー 1587cc(145ps/6400rpm)
駆動方式 MR
トランスミッション 4AT/5MT
タイヤサイズ 185/60R14