【ホンダ】S2000(AP1/2型)

ホンダが1999年に復活させた「S」モデルは、実に29年ぶりに販売されたFR車。2シーターオープンの本格スポーツで、走り好き達を魅了しました。

国内販売台数はそう多くはありませんでしたが、本格スポーツカーとしての評価は上々でした。

 

 

 


【ホンダ・S2000(AP1/2型)の歴史】

 

 

ホンダが四輪車市場へ参入した1963年、軽トラックのT360に次いで発売されたのが、S500(AS280型)。FRレイアウトの小柄な2シーターオープンボディに、531ccのエンジンを搭載したライトウェイトスポーツでした。1964年にはS600(AS285型)、1966年にはS800(AS800型)へと発展した「S」モデルは、1970年に最終型のS800Mがカタログ落ちして生産を終えました。

それから29年を経た1999年4月、ホンダ創立50周年を記念して発売された「S」モデルがS2000。従来のS譲りのFRレイアウトを採用し、ホンダにとってはS800M以来のFR車となりました。エンジンはフロントミッドシップに置かれ、前後バランスは理想的な50:50を実現。

新開発されたエンジンはVTECの「F20C型(直列4気筒DOHC・1997cc)」で、従来のDOHC VTECより高回転、高出力化しつつ、軽量化も図られていて、FR車用のエンジンとなっていることから、S2000専用エンジン。9000回転という許容回転数は、市販車エンジンとしては稀なほど高回転型で、2.0LのNAエンジンとしては脅威的な最高出力250ps/8300rpmを実現。
トランスミッションも新開発された6速MTで、シルトフィール向上のため、ショートストローク化により36mmという短いストロークを実現しました。

フロアトンネルを前後のサイドメンバーと水平につなぐ「ハイXボーンフレーム構造」を採用し、オープンボディながらクローズドボディと同等程度の剛性を確保。
フロントピラーには二重鋼管を内蔵、後方には高強度ロールバーを設置するなど、乗員の衝突安全性もクローズドボディ並みを実現しました。

本格スポーツモデルらしい美しいボディラインは、空力特性を重視したもので、抑揚のあるブリスターフェンダーや、ダックテールのリアスタイルなどがスポーティさを演出。
ソフトトップのルーフには電動開閉式を採用し、約6秒でフルオープンとすることが可能でした。
デュアルエアバッグやABS、ロードリミッター&プリテンショナー付シートベルト、クラッチスタートシステムなどの安全機構を標準装備し、モノグレード(338万円)で販売を開始しました。

2000年7月には、VGS(可変ギアレシオステアリング機構)を世界で初めて装備した「type V」を発売。車速や舵角に応じて、ステアリングのギアレシオを無段階に変化させるもので、運転状況に応じた理想的なハンドリングを実現しました。

2001年9月に初のマイナーチェンジを実施し、エンジンフィールの向上やサスペンションセッティングの見直しを行ったほか、内外装色と幌色の組み合わせを選択することができる「カスタムカラープラン」を導入しました。

2002年10月、ゴールドピンストライプ付の専用ボディカラーを纏った特別仕様車「ジオーレ」を発売。専用タン内装も組み合わされ、内外装を充実させました。

2003年10月に2回目のマイナーチェンジを受け、ヘッドライトの意匠などを変更し、テールライトにはLEDが採用されました。また、17インチアルミホイールの採用と、サスペンションセッティングの見直しにより、ボディ剛性が強化され、より安定性が増しました。

 
 
 
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2005年11月、3回目のマイナーチェンジを実施し、搭載エンジンを変更。2.2Lの「F22C型(直列4気筒DOHC・2156cc)」となり、出力は242psに、許容回転数は8000回転にダウンしましたが、低中速域のトルクが向上しました。
外観上はホイールデザインの変更程度で、内装では時計と外気温計がメーターに追加されました。

2007年10月のマイナーチェンジでは、電子制御システム「VSA」を全車標準装備。VSAは、ABSとトラクションコントロールに横滑り抑制システムを加えたもの。
また、新グレード「TYPE S」を設定し、ワインディング走行を重視したサスペンションセッティングや、前後の大型エアロパーツによって高速での安定性や操舵性を向上させました。

2009年9月に販売を終了し、Sモデルは再びラインナップから姿を消しました。S2000の直接の後継モデルは作られていませんが、再度Sモデルが復活を果たしたのは、S660(JW5型)が発売された2015年のこと。かつてのビート(PP1型)のリバイバルモデルであるS660は、駆動方式もMRであるため、ホンダが最後に作ったFR車はいまだS2000のままです。

FFにこだわってきたホンダが、来たる21世紀を前にリリースしたFRのS2000は、高剛性オープンボディと高回転・高出力エンジンで走り好き達を魅了しました。
未だファンも多く、中古車市場では価格が高騰しており、S2000が完成された本格スポーツカーであることを表しています。

 

 

 

【諸元】

 

 

ホンダ・S2000(AP1/2型)

全長×全幅×全高 4135mm×1750mm×1285mm
ホイールベース 2400mm
乗車定員 2名
エンジン F20C型 直列4気筒DOHC 1997cc(250ps/8300rpm)(~2005.11)
F22C型 直列4気筒DOHC 2156cc(242ps/7800rpm)(2005.11~)
駆動方式 FR
トランスミッション 6MT
タイヤサイズ 205/55R16 / 225/50R16(~2003.10)
215/45R17 / 245/40R17(2003.10~)