【マツダ】サバンナRX-7(初代SA22C型)

1978年にマツダが発売したサバンナRX-7は、ロータリーエンジンを搭載した、2+2のファストバッククーペ。薄くて低いボンネットにリトラクタブルヘッドライトなど、スタイリングもスポーティでした。

走行性能の高さの割にリーズナブルだったことが、若者を惹きつける魅力となりました。

 

 

 


【サバンナRX-7(初代SA22C型)の歴史】

 

 

1970年代のスポーツカー市場の中心は、トヨタセリカ(初代A20/30型・2代目A40型)、日産・シルビア(2代目S10型)、三菱・コルトギャランGTO(A50型)、いすゞ117クーペ(PA90型)などの、スペシャリティカー。より上級なマツダ・コスモ(CD22/23/2VC型)や、より小型の三菱・ギャランクーペFTO(A60型)なども、基本的には乗用車をベースにしたスペシャリティカーの一部でした。唯一とも言える本格的なスポーツモデルは、日産・フェアレディZ(初代S30型)。

当時の国内市場の最大のキーワードは「排出ガス規制」。スポーツモデルに限らず、エンジンのパワーダウンを余儀なくされていた中、それまでにはないスポーティさを持ったサバンナRX-7が1978年に登場し、話題となりました。

サバンナRX-7の先代となるモデルは、1971年に発売されたサバンナクーペ(S102/124型)。マツダの代表的な大衆車であるファミリアに、上級モデルのグランドファミリア(STC/SU4/SN/3A型)を追加し、そのロータリーエンジン搭載版をサバンナと称し、セダン、クーペ、ワゴンが販売されました。グランドファミリアとサバンナは、1978年に販売を終了し、セダンやワゴンは実質ファミリアに統合されましたが、サバンナクーペの後継モデルとして位置づけられたのが、このサバンナRX-7でした。

ファミリーカーであるカペラ用のプラットフォームを、スポーツモデル用に発展させたSAプラットフォームが用いられ、駆動方式はFR。エンジン搭載位置は後方に下げられたフロントミッドシップで、前後重量配分に配慮されています。
サスペンションはフロントがマクファーソンストラット、リアは4リンクの車軸式。

搭載されたロータリーエンジンは「12A型(2ローター・573cc×2)」のNAで、130psを発揮。排出ガス規制に対応した「REAPS」と呼ばれる、排出ガスを再燃焼させる方式で、約40%の燃費向上を達成したもの。
トランスミッションは5速MTと3速ATが用意されましたが、圧倒的な人気は5速MTでした。

 
 
 
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ボディサイズは全長4285mm×全幅1675mm×全高1260mmで、サバンナクーペと比べて一回り大型化。スタイルも、セダンベースのクーペから一転し、よりスポーティなスタイリングへと変貌しました。
コンパクトなロータリーエンジンフロントミッドシップに搭載した効果により、フロントは低くて薄いスラントノーズに仕上げられており、さらにリトラクタブル式ヘッドライトを採用したことも、そのスタイリングに大きく貢献しています。
飛行機のキャノピーをイメージしたガラスハッチの採用も、それまでの常識を大きく打ち破ったもの。

車両重量は装備を充実させたグレード「LTD」でも1005kgと十分に軽量で、最高速度はリミッター作動の180km/h、0→400m加速は15.8秒を記録。ロータリーエンジンの魅力を最大限に引き出した性能を実現していました。
1978年3月のデビュー当時、それが123万円~173万円で手に入るとなれば、スポーツモデルを求める若者が飛びついた理由も分かります。

1979年には、排出ガス規制への対応をREAPSからリーンバーン型の触媒方式に変更し、燃費性能が約20%向上しました。

1980年11月にはマイナーチェンジが実施され、リアコンビネーションランプのデザインを変更。中央のナンバープレートによって左右に分割されていたランプは、ガーニッシュによって一続きに見えるデザインとなり、ナンバープレートはバンパー下部に移動しました。また、前後バンパーのデザインも、スタイリッシュなものに変更されました。

1982年には、更なる燃費性能改善のため「12A-6PI型(2ローター・573cc×2)」に変更。6PIとは6ポートインダクションの略で、従来は1ローターあたり2つの吸気ポートを備えていたものを、3ポートに増やしたもので、回転数や負荷に見合った吸気タイミングの最適化を図ったものでした。

1983年9月にもマイナーチェンジを実施し、ターボエンジンが追加されました。「12A-T型(2ローターターボ・573cc×2)」が搭載され、出力165psを実現。NA車はシングルキャブレターでしたが、ターボ車にはインジェクションを採用しました。最高速度は221km/hとされており、0→400m加速は14.97秒を達成。
尚、6PIはターボにはメリットがないため採用されていません。

1985年1月に2代目FC3型へフルモデルチェンジを行い販売を終了。
プラットフォームは一新され、エンジンも13B型となって排気量もアップした通称「エフシー」となり、本格的なスポーツモデルとして進化しました。

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排出ガス規制によって一時は大人しかったスポーツモデル市場でしたが、サバンナRX-7の鮮烈なデビューによって活気が戻り、トヨタセリカや日産・シルビア、ホンダ・プレリュードなどのスペシャリティカーの人気が高まるきっかけとなりました。さらにその人気は、1990年頃になるとより上級スポーツに移行し、日産・フェアレディZトヨタスープラ、三菱・GTO、ホンダ・NSXなど、世界で戦えるスポーツモデルの数々へと発展しました。
サバンナRX-7が日本のスポーツカー市場の歴史に新風を巻き起こしたのは言うまでもありません。

 

 

 

【諸元】

 

 

マツダ・サバンナRX-7(初代SA22C型)

全長×全幅×全高 4285mm×1675mm×1260mm
ホイールベース 2420mm
乗車定員 4名
エンジン 12A型 2ローター 573cc×2(130ps/7000rpm)
12A-6PI型 2ローター 573cc×2(130ps/7000rpm)
12A-T型 2ローターターボ 573cc×2(165ps/6500rpm)
駆動方式 FR
トランスミッション 3AT/5MT
タイヤサイズ 185/70SR13