【ホンダ】レジェンド(初代KA1-6型)

ハイソカーに沸いた1980年代。トヨタ・マークⅡやトヨタ・クラウンをはじめとする高級車が個人ユーザーにも多く売れ初め、自動車業界ももれなくバブル前夜。

ホンダが他社の高級車に対抗すべく、アコードに代わるフラッグシップとして開発されたのがレジェンドでした。車名のとおり「伝説」にはなれたのでしょうか。

 

 

 


【レジェンド(初代KA1-6型)の歴史】

 

 

 

1981年発売のトヨタソアラ(初代Z10型)で火が付き始めたハイソカーブーム。

kuruma-bu.hatenablog.com

6気筒エンジンを搭載した、白い2ドアクーペや4ドアハードトップが人気を集め、1984FMCトヨタ・マークⅡ/チェイサー/クレスタ(X70型)は爆発的な人気に。好景気も後押しし、さらに高級なトヨタ・クラウン(7代目S120型)も多く売れ、ライバルの日産・セドリック/グロリア(Y30型)との販売競争を繰り広げました。
ハイソカーとして売れた車種のほとんどが白いトヨタ車。他メーカーも、ブームと好景気に乗るために、新たな高級車開発に乗り出しました。

4輪車の歴史が浅いホンダは高級車の製造経験がなく、当時のフラッグシップモデルはアコード(2代目SY/SZ/AC/AD型)と、その姉妹車のビガー(初代SZ/AD型)。
そんな中、ホンダは1979年にブリティッシュレイランド社(後のローバー)と業務提携を結んでおり、レジェンドは2社による共同開発によって生まれました。

それまでのホンダのノウハウを活かせるよう、高級車としては珍しいFFレイアウトを採用。シャシーは新たに設計されたもので、ホイールベースは2760mmと長く設定。

エンジンはホンダ初となるV6エンジンを全車に搭載しました。「C25A型(V型6気筒SOHC・2493cc)」と「C20A型(V型6気筒SOHC・1996cc)」の2種類が用意され、それぞれ165psと145psを発揮。
トランスミッションは4ATと5MTが設定されました。

デビュー当初は4ドアセダンのみで、2.5L車が全長4810mm×全幅1735mm×全高1390mmの3ナンバーボディ、2.0L車は全長4690mm×全幅1695mm×全高1390mmの5ナンバーフルサイズに設定。ロングホイールベースにワイド&ローの上質なスタイルで、ウィンドウエリアは広く、ラップラウンドしたリアウィンドウが特徴的。静粛性の為に追及された空力性能は、Cd値0.32を実現しました。

上級グレードには天童木工製の本木目パネルが採用されたほか、最上級グレードには100%ウールモケットシートを装備し、高級感を演出。また、FFを採用したおかげで、トランク容量がライバル車より大きく、重宝されました。

1985年10月にデビューし、ライバル他車とは一線を画した、どこか英国車のような雰囲気が功を奏し、まだ歴史の浅いホンダにとっては、新規ユーザーも獲得。米国市場向けには、アキュラブランドからも販売されました。

共同開発したブリティッシュレイランドからは「ローバー800」シリーズとして1986年7月に発売されました。

 
 
 
この投稿をInstagramで見る

MG ROVER(@rover.uk)がシェアした投稿

1987年2月、トヨタソアラや日産・レパードに対抗すべく、3ナンバー専用ボディの2ドアハードトップを追加しました。ホイールベースを2705mmに短縮し、ボディサイズは全長4775mm×全幅1745mm×全高1370mmに設定。
エンジンは新開発された「C27A型(V型6気筒SOHC・2675cc)」を搭載し、180psを発揮。4輪ダブルウィッシュボーンのサスペンションも新採用しました。

 
 
 
この投稿をInstagramで見る

@jasa3rがシェアした投稿

同年9月には、セダンの2.5L車もハードトップと同じC27A型に換装。ライバルのクラウンはS130型に、セドリック/グロリアもY31型にモデルチェンジしており、3.0Lエンジンを搭載した3ナンバー車が人気となっていたことから、これに対抗したものでした。

 
 
 
この投稿をInstagramで見る

@headlightwipersがシェアした投稿

1988年10月、マイナーチェンジを実施。セダンのリアサスペンションがダブルウィッシュボーンに変更されたほか、外装デザインの一部変更、内外装色の新色追加、ダッシュボード内のデザイン変更などが行われました。
また、この時にホンダ独自開発の「ウイングターボ」を装着し、190psを発揮する「C20A型(V型6気筒SOHCターボ・1996cc)」を搭載車を設定。

当時のF-1でのホンダの活躍も追い風となり、販売実績は上々の中、1990年10月にセダンが、1991年1月に2ドアが、2代目へモデルチェンジ。基本コンセプトは踏襲しながらも、トヨタセルシオ日産・シーマに対抗するため、ボディもエンジンも大型化され、さらにホンダらしいスポーティなデザインで、ファンを魅了しました。

 
 
 
この投稿をInstagramで見る

@jasa3rがシェアした投稿

ホンダ初の高級車であるレジェンドは、ホンダらしい個性あふれる高級車として、従来ユーザーのみならず、新規ユーザーも多く獲得し、ホンダのイメージアップに大きく貢献しました。そして、フラッグシップスポーツのNSXの開発や、クリエイティブムーバーシリーズの大ヒットなど、1990年代以降のホンダの躍進へと繋がったのです。

 

 

 

【諸元】

 

 

 

ホンダ・レジェンド(初代KA1-6型)

全長×全幅×全高 4690mm×1695mm×1390mm(4ドア・2.0L車)
4810mm×1735mm×1390mm(4ドア・2.5L,2.7L車)
4775mm×1745mm×1370mm(2ドア)
ホイールベース 2760mm(4ドア)
2705mm(2ドア)
乗車定員 5名
エンジン C20A型 V型6気筒SOHC 1996cc(145ps/6300rpm)
C20A型 V型6気筒SOHCターボ 1996cc(190ps/6000rpm)
C25A型 V型6気筒SOHC 2493cc(165ps/6000rpm)
C27A型 V型6気筒SOHC 2675cc(1180ps/6000rpm)
駆動方式 FF
トランスミッション 4AT/5MT
タイヤサイズ 185/70R14
195/65R15