【三菱】ミラージュ(初代A150型)

三菱初のFF車として1978年に登場した初代ミラージュは、三菱が世界市場へ向けて積極的に踏み出すきっかけになったクルマ。

欧州車のようなスタイリッシュさ、副変速機付きのトランスミッションなど、ライバル他車とは異なる、個性的なモデルとして人気を得ました。

 
 
 
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【ミラージュ(初代A150型)の歴史】

 

 

 

三菱は既に1.5L級のファミリーカーとして、初代ランサーを生産していましたが、まだ当時はFRレイアウトを採用していました。そんな中、クライスラーと業務提携していた三菱としては、北米市場からの要求に応える必要があり、それが「FFハッチバック」でした。北米や欧州では、ルノー・5やホンダ・シビック、さらにはVW・ゴルフの成功など、FFハッチバックへと時代は急速に変化していたのです。

先行していたシビックは、2ドアセダン・4ドアセダン・3ドアハッチバック・5ドアバンに加え、1977年からは5ドアハッチバックも加えてラインナップを強化していました。マツダ・ファミリアは、1977年登場の4代目モデルからハッチバックへと転向していましたが、依然としてFRレイアウトを採用。日産は1978年5月にチェリーの後継としてパルサーを発売、トヨタも初のFF車となるターセル/コルサを同年8月に発売しています。他社もFFハッチバックに力を入れ始めていたことが伺えます。

三菱はミラージュを世界戦略車として発売するため、ゼロベースで開発を開始。1978年3月に発売された3ドアハッチバックボディは全長3790mm×全幅1585mm×全高1350mm。欧州を意識したプレーンなスタイリングで、ピラーを細く仕上げることでウインドウ面積を大きくしました。三菱では「2ドアハッチバック」と呼称。

横置きに搭載されたエンジンは、通称オリオンエンジンと呼ばれる「G11B型(直列4気筒SOHC・1244cc)」と「G12B(直列4気筒SOHC・1410cc)」。それぞれ72psと82psを発揮しました。
組み合わされたマニュアルトランスミッションは、「スーパーシフト」を採用。ロー・ハイ切替の副変速機を装備するもので、前進8段、後退2段を実現。クルージングでは静粛性と低燃費を、ワインディングではスポーティな走りを得ました。

半年後の9月、5ドアハッチバック(当時名称4ドアハッチバック)を追加し、さらに1979年3月には、88psを発揮する「G32B型(直列4気筒SOHC・1587cc)」(通称サターンエンジン)を搭載し、ミシュラン製のラジアルタイヤを装着した「1600GT」を追加しました。この時、1.4L車には3AT車もラインナップ。

 
 
 
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1982年2月、大規模マイナーチェンジで「ミラージュⅡ」と名乗るようになり、ヘッドランプが異形2灯式に変更され、内装デザインも変更されました。
3ドアには、国産最小ターボだった「G12B(直列4気筒SOHCターボ・1410cc)」を搭載したモデルが追加され、105psを発揮。その後ブームとなるホットハッチの先駆車でした。
また、4気筒のうち2気筒のバルブを閉じることで燃費向上を図った「MDエンジン」も採用されました。
この時、5ドアのシャシーに3ボックスセダンのボディを乗せた4ドアサルーンも新しく登場し、
この4ドアサルーンの姉妹車となる「ランサーフィオーレ」も発売。ライバル各車へ対抗しました。

その後も、さらにラインナップを拡大させます。8月には4ドアサルーンと5ドアハッチバックにもターボ車を追加し、三菱がほとんどの車種にターボをラインナップする「フルラインターボ」に寄与しました。10月には、最廉価グレードとして「1200EXスペシャル」を発売し、3ドアハッチバックで69万8000円と、低価格を実現しました。12月、女性向け仕様の「1200ミッシー」、「1400スーパーエディション」を追加。

そして1983年10月、2代目モデルにフルモデルチェンジされ、販売終了となりました。その後もランサーとの姉妹関係を維持しながら5代目までモデルチェンジし、2000年に一旦モデル消滅したものの、2012年にはリッターカーとして復活し、現在に至っています。

初代ミラージュは、副変速機やMDエンジンの採用、さらにターボエンジンの搭載など、ライバル各車に対して一線を画す魅力を持って挑み、最もライバルが多いクラスにも関わらず、販売台数でも健闘したことで、三菱ブランドの人気にも大きく寄与したモデルとなりました。
また、シビックやパルサーと共に、FFコンパクトのブームに一躍買った大きなモデルと言えるでしょう。

 

 

【諸元】

 

 

三菱・ミラージュ(初代A150型)

全長×全幅×全高 3790mm×1585mm×1350mm(3ドア)
4105mm×1590mm×1350mm(4ドア)
ホイールベース 2300mm(3ドア)
2380mm(4/5ドア)
乗車定員 5名
エンジン G11B型 直列4気筒SOHC 1244cc(72ps/5500rpm)
G12B型 直列4気筒SOHC 1410cc(82ps/5500rpm)
G12B型 直列4気筒SOHCターボ 1244cc(105ps/5500rpm)
G32B型 直列4気筒SOHC 1597cc(88ps/6300rpm)
駆動方式 FF
トランスミッション 3AT/4×2MT
タイヤサイズ 6.00-12 4P
6.15-13 4P
155SR13
165/70SR13